中国人の妻の相続にはどの国の法律が適用される?日本法と中国法の違い
  • 2021年07月07日
  • 国際・外国人問題

中国人の妻の相続にはどの国の法律が適用される?日本法と中国法の違い

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

亡くなった被相続人が外国人の場合、相続に関しては外国の法令が適用される場合があります。
特に最近では、日本人と中国人が結婚する例も少なくないため、国際相続に関するルールが問題となる機会も多いです。

この記事では、中国人の妻が亡くなったケースにおいて適用される法律や、日本法と中国法の違いなどについてご紹介します。

1. 中国人の妻が亡くなったら、どの国の法律が適用される?

外国人が被相続人となる相続では、「国際私法」のルールに従って準拠法が決定されます。

では、中国人の妻が亡くなった相続のケースでは、どの国の法令が適用されるのでしょうか。

(1)原則として中国法が適用される

準拠法決定のルールを定める「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)第36条では、「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。

「本国法」とは、原則として国籍がある国を指しますので、中国人の妻が被相続人となる場合、相続には基本的に中国法が適用されます。

(2)日本にある不動産の相続には、例外的に日本法が適用される

ただし、中国相続法では、不動産に関する相続に限り、不動産所在地の法を適用する旨が定められています。

もし亡くなった中国人の妻が日本に不動産を所有している場合、通則法第41条に定められる「反致」の規定により、その不動産の相続に限っては日本法が適用されます。

2. 日本と中国、それぞれの相続法の主な違いは?

日本と中国では、文化的背景・法令制定の歴史・財産制度などが異なるため、相続に関するルールも大きく異なっています。

以下では、日本の相続法と中国の相続法の主な違いを紹介します。

(1)相続分の決定方法が異なる

日本の相続法では、相続人と被相続人の続柄により、以下のように異なる相続分が定められています(民法第900条)。

①配偶者と子が相続人の場合

配偶者2分の1、子2分の1

②配偶者と直系尊属が相続人の場合

配偶者3分の2、直系尊属3分の1

③配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者4分の3、直系尊属4分の1

これに対して、中国の相続法では、同順位相続権者の相続分は、原則として均等であるという違いがあります。
また、中国の相続法では、自活能力の有無や扶養義務の履行状況により、相続分が変動するケースがあることも特徴的です。

(2)中国法では限定承認が原則

日本の相続法では、相続人は「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの中から選択して、相続を承認するかどうかについての意思表示を行うことになります。

①単純承認(民法第920条)

相続財産中の資産と債務を無制限に相続すること

②限定承認(民法第922条)

相続財産中の資産のすべてを相続したうえで、債務は相続によって得た資産の範囲内でのみ弁済すること

③相続放棄(民法第939条)

相続財産中の資産と債務をいずれも相続しないこと

これに対して、中国の相続法では、上記のうち「限定承認」が原則となります。
つまり、中国法が適用される相続では、特段の意思表示を行わずとも、相続人は相続によって得た資産の範囲内でのみ、相続債務を弁済すればよいのです。
ただし、相続人が扶養義務を怠ったことが原因で被相続人が負担した債務については、上記の限度を超える分についても、相続人が弁済する義務を負います。

(3)中国法では遺留分が認められていない

日本の相続法では、兄弟姉妹以外の法定相続人には、相続できる遺産の最低保障額である「遺留分」が認められています(民法第1042条第1項)。

一方、中国の相続法では、遺留分のように、法定相続分の保護を画一的に行う制度は存在しません。
ただし、自活能力のない相続人に必要な遺産を与えない遺言がある場合には、個別事情に応じて遺言が無効とされる可能性があります。

(4)上記以外にもさまざまな違いがあるため詳しくは弁護士にご相談を

これまで紹介した日本の相続法と中国の相続法の違いは、全体からするとほんの一部であり、それ以外にも遺言や相続登記など、さまざまな違いが存在します。

中国人の妻が亡くなった場合に、相続全体を中国法に従って適法に処理するためには、中国法に精通した弁護士の協力が必要不可欠です。
国際相続を多数取り扱う弁護士に相談すれば、必要に応じて現地の法律事務所と連携したうえで、適切に対応してもらえるでしょう。

中国人の妻が亡くなり、相続への対応にお悩みの方は、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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