
- (更新:2023年02月07日)
- 遺産相続
相続手続き、進め方の基本。遺産相続が発生したら確認すべき項目
初めて遺産相続の手続きを行うことになった方は、「何から手を付けてよいのか」「相続手続きは大変そう」といったことで悩まれることが多いです。
確かに、遺産相続は、さまざまな手続きを行わなければならないため複雑な手続きですが、相続人同士で争いがない場合には、一つずつ確実に処理していけば難しい手続きではありません。
今回は、遺産相続の手続きの基本的な流れについて確認していきます。
1. 遺産相続で行う手続きの流れ
遺産相続は、一般的には以下のような流れで進めていきます。
(1)遺言書の有無の確認
遺産分割手続きでは、遺言書がある場合には、遺言書に従って相続手続きを行わなければなりません。そのため、まずは、被相続人が遺言書を残していたかどうかを確認します。
自筆証書遺言であれば、自宅の金庫や大事な物を保管している場所を探し、公正証書遺言であれば、公証役場で確認をしてみるとよいでしょう。
なお、自筆証書遺言が残されていた場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。
(2)相続人の調査
遺言書がない場合には、相続人同士の話し合いによって遺産を分割することになります。遺産分割協議においては、相続人全員の参加が必要になります。
もし、相続人のうち1人でも欠いた場合には、当該遺産分割協議は無効になってしまい、再度、遺産分割協議をやり直さなければならなくなります。
そのため、戸籍謄本などから誰が相続人であるかを正確に調査しなければなりません。
(3)相続財産の調査
遺産分割手続きは、被相続人の遺産を分ける手続きですので、被相続人がどのような遺産をどのくらい有していたかを調査しなければなりません。
相続人が被相続人の遺産をすべて把握していないことも少なくありませんので、金融機関、市区町村、証券会社などに対して財産照会を行い、被相続人の遺産を調査していきます。
遺産には、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も含まれますので、漏れのないように調査しましょう。
(4)遺産分割協議
相続人の調査と遺産の調査が終了した段階で、相続人全員でどのように遺産を分けるかという遺産分割協議を行います。
遺産が現金や預貯金だけであれば法定相続分に従って按分して分割すればよいので簡単ですが、不動産が含まれている場合には、どのように評価して、どのように分割するかで揉めることがあります。そのため、遺産分割協議で争いが生じる可能性がある場合には、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
なお、借金が多いなどの理由で遺産を相続することを希望しない場合には、自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申し立てをすることによって相続放棄をすることができます。
(5)相続税申告
被相続人の遺産が相続税の基礎控除である以下の金額を超えている場合には、相続税の申告をしなければなりません。相続税の申告は、死亡日の翌日から10か月以内にする必要があります。
相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
(6)相続登記
遺産に不動産が含まれる場合には、被相続人から相続人名義に所有権を移転する相続登記を行います。
相続登記には特に期限はありませんが、長期間放置すると将来2次相続が発生し、権利関係が複雑となりますので、できる限り早めに手続きを行うようにしましょう。
2. 遺産相続を進める上で必要な書類は?
遺産相続を進める上では、以下のような書類が必要になります。
(1)遺産分割協議に必要な書類
遺産分割協議では、相続人の調査を行うために、以下のような戸籍謄本を取得します。
- 被相続人の戸籍謄本(被相続人が生まれてから亡くなるまで)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 直系尊属が死亡しているときはその死亡の記載のある戸籍(直系尊属が相続人の場合)
- 被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本(兄弟姉妹が相続人の場合)
また、相続財産の内容を明らかにするために、以下のような書類が必要になります。
- 預貯金口座の残高証明書、取引明細書
- 不動産登記事項証明書、名寄せ帳
- 有価証券の取引残高報告書
- 借入金明細書
(2)金融機関で必要になる書類
金融機関で遺産である預貯金口座の払い戻し手続きを行う際には、以下の書類が必要になります。
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の戸籍謄本(被相続人が生まれてから亡くなるまで)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
(3)相続登記で必要になる書類
遺産分割協議の結果を踏まえて、相続登記をする場合には、以下の書類が必要になります。
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の戸籍謄本(被相続人が生まれてから亡くなるまで)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産を取得する相続人の住民票
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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