母子家庭、親権者が死亡したら子供の親権はどうなる?

母子家庭、親権者が死亡したら子供の親権はどうなる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

母子家庭で子どもを育てている母親としては、自分が亡くなった後の子どもの将来について不安を抱いている方もいるかもしれません。病気や事故によって、幼い子どもを残して死亡してしまった場合には、誰が子どもの親権者になるのでしょうか。

今回は、母子家庭で母親が死亡した場合における親権者の問題について解説します。

1. 母子家庭の母親が死亡したら親権はどうなる?

母子家庭の母親が死亡したら、未成年の子どもの親権はどうなるのでしょうか。

(1)死亡しても親権者は自動的に移行しない

離婚によって母子家庭になった場合には、母親が親権者となり子どもと一緒に生活をすることになります。この状況で、母親が死亡した場合には、離婚した子どもの父親に親権が移ると考える方も多いと思います。

しかし、親権者が死亡したとしても、他方の親に親権が自動的に移ることはありません。これは、他方の親が常に親権者としてふさわしいとは限らないというのが理由です。たとえば、虐待などが原因で離婚をしたにもかかわらず、親権者が死亡して自動的に虐待をしていた親に親権が移ってしまうのは不適当であることは容易に想像できるでしょう。

(2)親権者変更と未成年後見人選任の方法がある

親権者の死亡によって後見が開始した場合、子どもの親権者を決めるには、「親権者変更」または「未成年後見人の選任」という2つの方法があります。

親権者は、あらかじめ遺言を作成し、その中で子どもの未成年後見人を指定しておけば、自分が死亡した後に、指定した未成年後見人に子どもの親権を委ねることができます。自分が亡くなった後の子どもの将来が不安だという場合には、遺言によって未成年後見人を選任しておくとよいでしょう。

2. 親権者変更と未成年後見人

親権者である母親が死亡した場合、子どもの親権者は、親権者変更または未成年後見人の選任という方法によって決定します。以下では、それぞれの手続きの概要について説明します。

(1)親権者変更

母子家庭の母親が死亡し、離婚した父親が子どもの親権者になることを希望する場合には、家庭裁判所に親権者変更の審判の申立てを行います。

審判では、裁判官の審問や家庭裁判所調査官による調査などが行われ、申立人である父親が親権者にふさわしいかどうかの審理が行われます。子どもの年齢が15歳以上である場合には、子どもの意見も踏まえて、親権者の適格性が判断されます。

家庭裁判所の審判によって、親権者の変更が認められた場合には、新たな親権者は、審判確定から10日以内に市区町村役場で親権者変更の届け出を行わなければなりません。

(2)未成年後見人の指定・選任

未成年後見人を決める方法には、親権者が遺言によって指定する方法と家庭裁判所の審判によって選任するという2つ方法があります。

親権者による遺言がない場合には、子どもの親族や利害関係人は、家庭裁判所に未成年後見人選任申立てを行うことができます。未成年後見人の選任申立てがなされると、裁判官の審問や家庭裁判所調査官による調査が行われ、申立時に未成年後見人の候補者とされた人が子どもの未成年後見人にふさわしいかどうかが審理されます。候補者を立てたとしても、必ず候補者から選任されるとは限らず、候補者以外の専門職(弁護士、司法書士など)が選任されることもあります。

未成年後見人に選任された人は、未成年者の財産の調査をして,1か月以内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出するほか、財産の管理状況や後見業務の状況について、年1回、家庭裁判所に報告を行わなければなりません。

3. 子どもの親権については弁護士へ相談

子どもの親権についてお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

(1)遺言による未成年後見人の指定をサポート

母子家庭の母親が生前に子どもの親権の悩みを解決する方法には、遺言によって未成年後見人を指定する方法があります。自分が死亡した後、子どもが不自由なく生活することができるようにするためにも、自分の信頼できる人を子どもの未成年後見人に指定しておくことが大切です。

遺言の作成にあたっては、法律上厳格な要件が定められていますので、正確な知識がなければ有効な遺言書を作成するのは難しいといえます。そのため、まずは専門家である弁護士に相談をして、遺言書の作成についてのアドバイスやサポートを受けるようにしましょう。

(2)親権者変更や未成年後見人選任をサポート

遺言によって未成年後見人が指定されていない場合には、親権者変更や未成年後見人の選任申立てをする必要があります。

申し立てにあたっては、子どもの親権者や未成年後見人にふさわしいということを裁判所にしっかりと伝えていく必要がありますが、不慣れな方ではどのような対応をすればよいかわからないことも多いと思います。弁護士であれば、裁判所の判断のポイントを押さえた上で効果的な主張を行うことができますので、期待どおりの結果になる可能性が高くなるでしょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年05月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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