子どもが児童相談所に一時保護された! 今後の流れと保護者がとるべき行動

子どもが児童相談所に一時保護された! 今後の流れと保護者がとるべき行動

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

児童相談所から、子どもを一時保護したという連絡を突然受けたら誰しも平静ではいられないことでしょう。一時保護とは何か、なぜ一時保護されてしまったのか、子どもはいつ帰ってくるのかが一番気になるところだと思います。

本コラムでは、一時保護の流れや、一時保護の理由、一時保護終了後の流れについて解説します。

1. 一時保護の流れ

児童福祉法上、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を「要保護児童」といいます(同法6条の3第8項)。「要保護児童」を発見した者は、これを児童相談所などに通告することとされています(同法25条第1項)。

通告された「要保護児童」については今後の適切な対応を判断できるまでの間、児童相談所長や都道府県知事が、子どもと両親などの監護者を引き離すことがあります。これが、一時保護というものです。一時保護は、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するために行われます(同法33条1項)。子どもは、一時保護の間、全国に存在する一時保護所で生活することになります。

また、非行を行った18歳未満の少年のうち、児童相談所長や都道府県に送致された事件の少年についても一時保護がなされることがあります(同法33条1項、26条1項、4条1項、少年法第6条の6第1項、18条1項)。

一時保護をするには、保護者の同意は不要です。ですから、保護者にとってはいきなり子どもと引き離されたと感じることもあります。

一時保護の期間は、原則として一時保護を開始した日から2か月とされており、子どもはこの期間内に帰宅できることが多いです。ただし、法律上は、親権者などの同意がある場合には、2か月を超えて一時保護を継続することが可能とされています。親権者などの同意がない場合には、家庭裁判所の承認を受けて2か月を超えて一時保護を継続する場合もあります(同法33条4項、5項)。

2. 一時保護される理由とは

(1)虐待をしていなくても一時保護されるケースもある

保護者が子どもに対して、虐待を実際に行っていなくても、子どもが一時保護されるケースはあります。一時保護を行う児童相談所等は、虐待を予防する目的でも動くからです。

もし虐待などに身に覚えがない場合には、児童相談所の調査に進んで協力し、一時保護を早期に解いてもらえるように努めましょう。

(2)虐待とは

子どもに対する虐待とは、殴る、蹴るなどの身体的暴行や、性的暴行によるものだけではなく、ネグレクトや心理的虐待も含むものとされています(児童虐待防止法第2条)。

このうち、ネグレクトに関しては、子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない(愛情遮断など)ことが含まれます。

心理的虐待に関しては、言葉による脅かし、無視、拒否的な態度を示すこと、子どもの心を傷つけることを繰り返し言うこと、子どもの自尊心を傷つけるような言動をすること、他のきょうだいとは著しく差別的な扱いをすること、子どもの面前で配偶者やその他の家族などに対し暴力をふるうことなどが含まれます。

子育ての最中にはやむを得ず以上のような行為をしてしまうこともあり、そのすべてが虐待としての実質を有するというわけではありません。しかし、親がいくら一生懸命で、その子をかわいいと思っていても、子どもにとって有害な行為であれば虐待と考えられていることは、認識しておく必要があります。

この点について詳細を知りたい方は、「子ども虐待対応の手引き」(令和4年6月20日時点で厚生労働省HPに記載されています)を参照してください。

以上のとおり、虐待の定義は広いので、保護者が気付いていないうちに虐待してしまう場合があります。この場合には、保護者自身が虐待をしたことを自覚し、児童相談所と協力して速やかに養育環境を整えることが、子どもを早期に帰宅させるうえで重要になってきます。

3. 一時保護終了後の流れ

一時保護が終了した後の流れとしては、大きく2つあります。一つは、子どもを家に帰したうえでの在宅指導です。2つ目は、子どもを家に帰さずに児童養護施設等へ入所させる方法です。

施設入所には、原則として親権者等の同意が必要です(児童福祉法第27条第4項)。親権者等が安易に同意してしまうことにより、一時保護後子どもと離れて暮らさなくてはならない期間が長くなる可能性が高まることに注意が必要です。

4. まとめ

子どもが一時保護されたという話は、他人にしにくいことであり、不安も大きいと思います。しかし、一時保護の期間やその後の手続き選択を決めるうえで、保護者の対応は重要な考慮要素となることから、早期に専門家のアドバイスを受ける必要があります。子どもが一時保護されたらできるだけ早く、子どもの一時保護に詳しい弁護士に相談してみることをおすすめします。

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