- (更新:2021年07月15日)
- 家族・親子
養子縁組の手続き方法から条件、メリットとデメリットを解説
養子縁組制度については、血縁関係のない子どもに財産を与える手段、相続税対策、再婚相手の連れ子と法的な親子関係を築くためなどさまざまな目的で利用されています。
比較的身近な養子縁組という制度ですが、その種類や利用するための条件などについては、十分に知られていません。養子縁組を利用するときは、そのメリットやデメリットを理解したうえで行うことが重要です。
今回は、養子縁組を検討している方に向けて、養子縁組の手続き方法から条件、メリットとデメリットについて解説します。
1. 養子縁組の種類とできる条件
養子縁組を行う目的はさまざまですが、利用目的に応じて養子縁組の種類や要件が異なってきます。以下では、養子縁組の種類と養子縁組ができる条件について説明します。
(1)養子縁組の種類
養子縁組とは、血縁関係のない方との間に法律上の親子関係を生じさせる手続きのことをいいます。養子縁組には、法律上2種類のものがあります。
①普通養子縁組
普通養子縁組とは、実の親との間の親子関係を継続した状態で、養親との間で新たな親子関係を生じさせる手続きをいいます。その結果、普通養子縁組で養子になった方は、実の親と養親の2組の親を持つことになります。
そのため、普通養子縁組をした養子は、養親が亡くなったときと実の親が亡くなったときのいずれも相続人として遺産を相続する権利を有することになります。
②特別養子縁組
特別養子縁組とは、実の親との親子関係を解消して、養親との間で新たな親子関係を生じさせる手続きをいいます。普通養子縁組との違いは、実の親との親子関係を解消するかどうかという点です。
特別養子縁組制度の利用をした養子は、実の親との親子関係を解消していますので、実の親が亡くなったとしても、実の親の遺産を相続することはできません。
(2)養子縁組の条件
養子縁組をするためには、それぞれの種類に応じて以下の要件を満たす必要があります。
①普通養子縁組ができる条件
- 養子が養親よりも年下であること
- 養親が20歳以上、もしくは婚姻していること(2022年4月1日からは「20歳以上であること」)
- 養子が養親の祖父母や叔父や叔母などの尊属でないこと
- 養親になる人が養子になる人の養親になる意思があること
- 養子になる人が養親になる人の養子になる意思があること
- 後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可を得ていること
- 婚姻している人が未成年者を養子にするときは夫婦一緒に養親になること
- 養親や養子になる人が婚姻しているときは配偶者の同意を得ること
- 養子になる人が未成年者のときは家庭裁判所の許可を得ていること(ただし、養子になる人が自分や配偶者の直系卑属(子ども・孫など)に当たる場合、許可は不要)
- 養子縁組届を提出していること
②特別養子縁組ができる条件
- 実親の同意があること(実親が意思表示できない場合や実親による虐待など養子になる者の利益を著しく害する事由がある場合、同意は不要)
- 夫婦が一緒に養親になること
- 原則として、養子が請求時において15歳未満であること
- 養親のうち少なくとも一方が25歳以上であり、もう一方が20歳以上であること
- 実親による監護が著しく困難または不適当であることなど特別な事情があり、子どもの利益のために特別養子縁組が特に必要であると認められること
- 6か月以上の監護状況を踏まえて家庭裁判所が適当と認めること
2. 養子縁組を行うメリットとデメリット
養子縁組を利用するときには、以下のようなメリットやデメリットがあります。これらをよく理解したうえで養子縁組の制度を利用するようにしましょう。
(1)養子縁組のメリット
養子縁組をするメリットとしては、以下のものがあります。
①子どもの福祉を図ることができる
実親から虐待を受けているときや実親の経済状況からして実親のもとでの養育が難しいときには、特別養子縁組を利用することによって、子どもにとって最適な環境で養育することができるというメリットがあります。
なお、養子縁組とは別ですが、家庭環境に問題のある子どもに対しては、里親制度というものがあり、児童相談所から一定期間、里親委託された方が子どもを養育するというものもあります。
②相続税対策になる
養子縁組をすることによって、法定相続人の人数が増えることになります。相続税の計算の際には、相続人の人数が多いほど控除を受けられる金額が増えることになります。そのため、養子縁組を利用することは、相続税対策としても有効です。
(2)養子縁組のデメリット
養子縁組をするデメリットとしては以下のものがあります。
①養育費が減額される可能性がある
再婚相手の連れ子と養子縁組をすると、養親と養子との間には法律上の親子関係が生じ、扶養義務が発生します。再婚相手が元配偶者から子どもの養育費をもらっているときには、再婚をし、養子縁組をしたという事情は、養育費の減額事由となります。元配偶者から養育費の減額請求があったときには、養育費が減額されるか場合によっては支払われなくなる可能性もあります。
②相続争いになることがある
養子縁組によって血縁関係のない方に相続権が発生することになります。養親の実子と養子との関係性によっては、養親の死亡後に遺産を巡って相続争いが生じるおそれがあります。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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