ゲーム依存の家族の対応に悩む方へ、法的な対応とは
  • 2021年04月15日 (更新:2021年07月15日)
  • 家族・親子

ゲーム依存の家族の対応に悩む方へ、法的な対応とは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「ゲーム依存」は、若者や子どもに限らず、心身ともに成熟しているはずの大人にも起こり得るもので、社会的に重大な問題です。

ゲーム依存により生活に支障を来すのは本人だけでなく、同居の家族も同様です。そこで本記事では、家族のゲーム依存に苦しむ方にむけて、ゲーム依存への対処法を解説します。

1. ゲーム依存とは

WHOが認定したゲーム障害の診断基準

平成31年5月、WHOがゲーム障害を疾病に認定しました。ゲーム障害の診断基準は以下の様な症状が12か月以上継続し、社会生活に重大な支障が出ている場合、ゲーム障害と診断される可能性があります。

  • ゲームの時間や頻度を自分で制御できない
  • 仕事や家事、その他の物事よりもゲームを優先する
  • 仕事や生活に支障を来してもゲームを止められない

家族がゲーム障害になった場合に想定できる状況

家族がゲームに依存していると、そのご家族もさまざまな影響を受けます。

  • ゲームに依存しすぎて会社を辞め当人の収入がゼロになるまたはゲームへの過度の課金によって、家族全体の家計が苦しくなる
  • 家事や育児を放置され、他の家族の負担が増えてしまう
  • 攻撃的な言動に悩まされる

ゲーム依存の治療法

ゲーム依存の治療方法は症状に応じて選択されます。通院治療だけでなく、入院治療となる可能性も考えられます。ゲーム依存は、ゲームを強制的に止めさせるのではなく、ゲームとの上手な使い方を覚えることに主眼がおかれます。

2. 家族がゲーム依存になった場合の対処法

家族がゲーム依存になった場合にやるべきこと、注意点を解説します。

ゲームを無理やり取りあげない

家族がゲーム依存になった場合、ゲームを取りあげたり、きつく注意したりすると隠れてゲームをするリスクがあります。また家以外の場所でゲームをしてさらに家庭を顧みなくなるおそれもありますので無理に止めないほうがよいといわれています。

ゲームをしたいがために家族に暴力をふるったり、暴言をはいたりして、家族にさらなる苦痛がもたらされるリスクもあります。

適切な治療機関に連れて行く

ゲーム依存は病気ですので、家族だけの対処では限界があります。ゲームに限らず各種依存症の治療に取り組んでいる医療機関や支援団体などがありますので、治療を受けるようにしましょう。

3. 家族がゲーム依存になった場合に法的にできること

家族がゲームに依存して困っている方が、法律的にできることを解説します。

配偶者がゲームに依存している場合

配偶者がゲームに依存しており夫婦関係が破綻している場合は、別居、離婚を考えることになるでしょう。夫婦として再構築したいのであれば、一度別居をした上で適切な治療を受けるように促すことも検討できます。
配偶者の方が、収入が多い場合には、別居中の婚姻費用分担請求が可能です。婚姻費用とは、夫婦とその未成熟な子どもが生活するために必要な費用の一切を指し、その分担請求とは、婚姻費用分担義務を負う当事者に対し、収入に応じた婚姻費用の分担を請求することをいいます。

離婚を検討している場合ですが、ゲーム依存を理由として法的に離婚を請求できる可能性があります。日本では法的離婚事由(民法第770条1項各号)があれば裁判上、離婚が認められます。なお、裁判によらず、話し合いや調停で離婚をする場合は、法的離婚事由がなくても離婚することが可能です。

ゲーム依存によって生ずると考えられる具体的な事実の中で、法的離婚事由またはそれを基礎づける事実に該当すると考えられるのは以下のようなものです。

  • ゲームをするために仕事を辞めて一切働かない。
  • ゲームに多額の課金をして生活費を渡さない。
  • ゲームをするための部屋を借りて自宅にほとんど帰ってこない。
  • ゲームをやめるように伝えると激怒して暴力をふるう、暴言をはく。
  • ゲームに対する価値観の違いからけんかが絶えない。
  • ゲームに没頭するあまり夫婦のコミュニケーションを一切拒否する、セックスレスになる。

これらの行為があったことを証明しなければならないので、ゲームへの依存を示す事実の記録を証拠として残しておきましょう。具体的には、動画や音声データ、日記やメモ、課金履歴などです。

未成年の子どもがゲームに依存をしている場合

未成年の子どものゲーム依存でお困りの場合は、専門の医療機関を受診してできるだけ早く治療を受けましょう。また学校との連携も重要です。保健所も各種依存症、家族の問題についての相談を受け付けていますので、連絡を取っておきましょう。

また子どもがゲームに勝手に課金をする場合は、ゲームのハードやWebサイトに登録されているクレジットカードを使用できないようにしておきます。ただし、ゲームへの依存が強い場合には、家庭内でお金が調達できなくなると、犯罪行為に手を染めるリスクもありますので注意が必要です。

子どもの場合は、ゲームに依存をすることでインターネット内での犯罪の被害者になったり加害者になったりするリスクもありますので、できるだけ早い対応が望ましいでしょう。

日本の戸籍制度上、兄弟姉妹や親子関係において、法的な家族関係を消滅させることは、特別な手続き(特別養子縁組や親子関係不存在訴訟等)を取らない限り、できません。家族がゲーム依存になってお困りの方は、まずは役所や保健所にご相談ください。離婚問題などになる場合は、弁護士に相談したほうがよいケースがあります。弁護士であれば、やるべきこと、できることを適切にアドバイス可能です。

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