モラハラを行う父親のよくある言動・行動やその対処方法について

モラハラを行う父親のよくある言動・行動やその対処方法について

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

幼いころから、父親からひどい言葉を投げかけられて、悩んできた方は決して少なくありません。子どもの時は、自分で対応することもできず、ただただ、傷つくばかりだったかもしれません。しかし、大人になっても、父親のひどい態度が変わらない場合は、家庭内のモラハラとしてしっかりと対応したほうがいい場合もあります。

では、父親のモラハラに対処するにはどんな方法があるのでしょうか。

1. 父親のこんな発言や行動はモラハラの可能性がある

(1)モラハラとは

モラハラとは、モラルハラスメントの略語です。人としての倫理に反した嫌がらせなどの行為を指します。モラハラには、直接的な暴力行為は含みません。あくまで、言葉や態度で行われる、相手に強い不快感や苦痛を与える精神的な暴力行為です。

なお、モラハラというと、夫婦関係の離婚原因や職場の上司の問題として表面化しやすいものですが、実際には親子間でもモラハラは存在します。モラハラは、強い立場の方から弱い立場の方に対して行われることが多いため、親から子に対しても、モラハラが起きる可能性は十分にあるのです。モラハラをする親のことを通称「毒親」と呼ぶこともあります。
では、親子の間で行われる具体的なモラハラ行為とはどんなものでしょうか。

(2)父親から子どもに対するモラハラの例

①ささいなことで怒鳴り散らしたり大きな音を出す

子どもはいろいろな失敗を重ねながら成長するものです。しかし、その失敗一つ一つに対し、大声で怒鳴りつける、物を叩いて大きな音を出す、などの行為は子どもをおびえさせるもので、モラハラにあたる可能性があります。

②人格を否定するようなことを言う

小さい子どもであっても、人として尊重される必要があります。「死んだほうがまし」「生きている価値がない」「そんなことじゃ人としてやっていけない」などの、存在そのものや人格を否定する言葉は、決して許されるものではありません。このような発言は、親から子に対するモラハラの可能性があります。

③理不尽に謝罪させる

子どもの小さな失敗や、時には、失敗といえないようなことを親が指摘して、謝罪させるケースもあります。ごめんなさいと言うことを強要する、反省文を何度も書かせる、土下座させるといった行為が、理不尽な謝罪行為にあたります。これらの行為も、子どもを深く傷つけてしまいます。

④子どもの話を否定する

モラハラ父は、自己中心的で人の話を聞かない傾向があります。家庭内では、子どもを自分より見下している可能性が高く、子どもの話を一切聞かず、ことあるごとに否定する態度をとる場合もあります。親からこのような態度をとられると、子どもは自分を認めてもらう機会が得られず、自己肯定感が育たず苦しむ可能性があります。

⑤子どもの前で母親を罵倒する

子どもにとって両親ともに大切な存在であり、それぞれが自分の半身のような存在です。父親が母親を罵倒している状況は、自分の半身が他方の半身を攻撃しているようなものであり、子どもの精神に対して大きなストレスを与えます。

⑥機嫌が悪いと家族を無視する

モラハラをする人は、気分屋で、自分の機嫌次第で反応が変わる点も特徴です。機嫌が悪い場合に暴言を吐くケースもありますが、家族を一切無視して、冷たい態度をとるケースもあります。

⑦誰のせいで生活できているのか、などと言う

モラハラをする人は、家庭生活が家族の協力で成立しているという意識に乏しいという特徴があります。特に、自分だけが働いている場合や、母親の収入が自分よりも少ない場合、家族に対して「誰のせいで生活できていると思っているんだ!」などの発言に至ることがあります。こうした発言は、家族を精神的に追い詰める原因になります。

2. モラハラを繰り返す父親への対処方法

(1)親と別居して独立する

モラハラをする親を、子どもの側から変えようとすることは至難の業です。一緒に暮らしていれば、今後も父親から否定されて、モラハラを受け続ける可能性が十分にあります。もし、ご自身が社会人で、実家を出ても生活できる収入が得られているなら、思いきって親と別居して独立することも検討していいでしょう。モラハラは、自分ではなく、相手がする行為ですから、一緒に暮らす以上、その被害を止めることは自分だけではできません。被害を受けないためには、モラハラな親から離れること、物理的な距離をとることが最善の策とも言えるのです。

(2)心理カウンセラーに相談する

モラハラは、暴力を伴わないため、警察などの公的な機関に相談して対応を求める機会が少ないのが特徴です。また、モラハラをする父親は、外では、いい父親として振る舞っていることも多く、モラハラの実態を理解してもらえないこともあるでしょう。

しかし、モラハラは家族にとっては深刻な問題であり、時には耐え難い状況もあり得ます。家庭内で解決できない場合は、心理カウンセラーや臨床心理士など心の専門家に相談しましょう。家族関係のカウンセリングや親子間のモラハラ問題に経験の多い心理の専門家に相談すれば、具体的なアドバイスをもらえる可能性があります。

(3)電話相談を利用する

抱えている問題を相談できず、苦しんでいる方のための電話相談サービスがあります。

  • こころの健康相談統一ダイヤル
  • よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
  • いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)

全て無料で電話相談ができます。中には、SNSによる相談ができるところもあります。

(4)損害賠償請求の可能性もある

親であっても、ひどいモラハラによって精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。とはいえ、幼少期からのモラハラの証拠を出すことは難しいうえ、法的な手段をとっても親子関係が改善するとは限らないため、実際に裁判などになるケースは多くはありません。

モラハラをする父親の元で育った方は、精神的な苦痛を抱えて育ってきたことでしょう。大人になって独立できる状況になっているなら、これ以上、モラハラを受けないように、できるだけ距離をとる方が安全です。

また、自分や家族の心の安定のためにも、一人で抱え込まずに相談窓口にあたってみることも検討してみましょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年08月05日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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