養子縁組とはどんな制度? 里親制度との違いや条件について
  • 2021年06月29日
  • 家族・親子

養子縁組とはどんな制度? 里親制度との違いや条件について

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

血縁関係のない子どもと法的な親子関係を構築するための制度として養子縁組制度は利用されています。養子縁組は、聞いたことがあるという人も多いと思いますが、その種類や条件について詳しく理解しているという方は少ないでしょう。
今回は、普通養子縁組と特別養子縁組の違いや里親制度との違いなどについて見てみましょう。

1. 普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組は、法的な親子関係を構築するもので、子どもがいない一族の家名や財産の承継、実親を亡くした子どもの養育、相続権の付与、相続税対策など、さまざまな目的で行われています。養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組という2種類があり、それぞれの目的や条件に応じて使い分けられています。

(1)養子縁組の種類

養子縁組とは、血縁関係のない子どもとの間に法律上の親子関係を構築する制度のことをいいます。養子縁組には、以下の2種類のものがあります。

①普通養子縁組

普通養子縁組とは、実親との間の親子関係を維持したまま、養親との間で新たに親子関係を生じさせる制度のことをいいます。普通養子縁組をすることによって、養子は、実親と養親の2組の親を有することになります。一般的に「養子縁組」といわれているのは、この普通養子縁組のことを指します。

普通養子縁組をした養子は、2組の親を有することになりますので、実親と養親の双方の法定相続人となる権利を有しています。

養親と養子は互いに扶養義務を負います。養子が未成年者である場合は、養子の親権者は実親から養親になります。

養子は養親の戸籍に入り、養親の名字(氏)となります(結婚時に氏を変更した養子は除かれます。)。続柄には養子、養女と記載されます。実親の名前も記載されます。

②特別養子縁組

特別養子縁組とは、実親との親子関係を断ち切って、養親との間で新たに親子関係を生じさせる手続きのことをいいます。普通養子縁組と特別養子縁組の大きな違いは、実親との親子関係を終了させる効果があるかどうかという点です。

特別養子縁組は、いろいろな事情で実の親と生活ができない子どものために、新しく養親子関係を構築し、温かい家庭で、子どもの健全な養育を図ることを目的として設けられた制度です。

特別養子縁組した養子は、実親との親子関係が終了しますので、実親が亡くなった場合でも、実親の遺産を相続する権利はありません。実親の扶養義務もなくなります。養親と養子の間で相続権、扶養義務が生じます。

養子は養親の戸籍に入り、養親の名字(氏)となります。続柄は長男、長女と記載されます。実親の名前は記載されません。

(2)養子縁組の条件

養子縁組をするためには、以下の条件を満たす必要があります。

①普通養子縁組ができる条件

  • 養子が養親よりも年下であること
  • 養親が20歳以上、もしくは婚姻していること
  • 養子が養親の叔父や叔母などの尊属でないこと
  • 養親になる人が養子になる人の養親になる意思があること
  • 養子になる人が養親になる人の養子になる意思があること
  • 後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可を得ていること
  • 婚姻している人が未成年者を養子にするときは夫婦一緒に養親になること
  • 養親や養子になる人が婚姻しているときは配偶者の同意を得ること
  • 養子になる人が未成年者のときは家庭裁判所の許可を得ていること
  • 養子になる人が15歳未満の場合は、法定代理人による本人に代わる縁組の承諾があること
  • 養子縁組届を提出していること

②特別養子縁組ができる条件

  • 養親となる者から家庭裁判所に審判の請求をすること
  • 実親の同意があること(実親が意思表示できない、又は父母による虐待、悪意の遺棄などがある場合は不要となりうる)
  • 養親は配偶者のある者(夫婦)であり、夫婦が一緒に養親になること
  • 家庭裁判所への審判の請求時に、養子が15歳未満であること
  • 養親のうち少なくとも一方が25歳以上であり、もう一方が20歳以上であること
  • 実親の監護が著しく困難または不適当であって、子どものために特別養子縁組が特に必要であること
  • 養親となる者が養子となる子どもを6か月以上監護していること
  • 家庭裁判所が特別養子縁組の成立を審判で決定すること

2. 里親制度との違い

養子縁組制度と似た制度に里親制度というものがあります。養子縁組制度と里親制度はどのような違いがあるのでしょうか。

(1)里親制度とは

里親制度とは、経済的な事情や虐待など、いろいろな事情で親元で暮らすことができない子ども(原則18歳まで)を、一時的あるいは継続的に、他の家庭で預かって育てる制度のことをいいます。行政が提供する福祉サービスの一種であり、児童養護施設などと同様の役割を一般家庭が担います。

里親とは、要保護児童(保護者がいない子どもや保護者に監護させることが不適当である子ども)の養育を希望する者で、都道府県知事が適当と認める者、のことをいいます。

里親には下記の種類があります。

  • 養育里親
  • 専門里親
  • 親族里親
  • 養子縁組里親

里親希望者は、児童相談所に連絡し、面接や所定の研修を受けます。そして子どもに適する住環境であるか、里親として適任かなど審査され、都道府県知事により里親として認定、登録されます。登録された里親に対し、児童相談所が子どもを紹介し、交流を経て、都道府県知事が適当と判断するときは、子どもを里親へ委託します。

里親に対しては、行政から里親手当や生活費、教育費、医療費などが支給されます。

(2)養子縁組制度と里親制度の違い

養子縁組制度(とくに特別養子縁組制度)と里親制度は、どちらも保護を必要とする子どもに対し、家庭内での養育を提供するための制度という共通点があります。

しかし、里親制度は、里親と子どもとの間に法律上の親子関係はなく、親権者は実親のままです。養子縁組制度は、養親との間に法律上の親子関係を生じさせるものですので、里親制度とは、法律上の親子関係があるかどうかという違いがあります。

また、里親制度は、原則として0歳から18歳までの要保護児童を、里親が、都道府県知事の委託により、一定期間預かり養育する制度であり、実親の状況が改善されたり上限年齢に達したりした場合には委託が解除されます。

これに対して、普通養子縁組制度は、養子縁組を解消するためには、協議や調停、裁判での離縁をする必要があります。特別養子縁組制度は、原則として養子縁組の解消はできず、養親による虐待、悪意の遺棄がある場合などに、例外的に家庭裁判所の審判によって解消できるに過ぎません。

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