停学と謹慎はどう違う? 不当な処分に対してできることとは?

停学と謹慎はどう違う? 不当な処分に対してできることとは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

子どもが集団で何か問題を起こして処分を受けるとき、友人同士で、処分に違いが出ることがあります。一緒にいた友人よりも、自分の子どものほうが重い処分を受けたようなとき、保護者としては納得がいかない場合もあるでしょう。

学校の処分には、謹慎、停学などがありますが、それらにはどんな違いがあるのでしょうか。そして、子どもが受けた処分に不服があるときは、どんな方法をとることができるのでしょうか。

1. 停学と謹慎の違い

停学と謹慎は、具体的に何が異なるのか、先に整理しておきましょう。

(1)謹慎と停学の違い

学校教育法に定める懲戒処分には、「退学」、「停学」及び「訓告」の3つだけが規定されています。そのため、実は謹慎は学校教育法上の懲戒処分ではないのです。

この点、謹慎とは各学校が独自の指導方法として導入している生徒指導の方法の一種を指します。謹慎処分は、停学よりも軽い処分とされ、各学校が独自の取り決めで行う措置ですので、記録上は、謹慎期間も単なる欠席として扱われることが一般的です。

これに対して、停学は学校教育法で定める生徒に対する懲戒処分の一種であり、法律的な効果を有する重い処分です。停学処分は、法律上の処分であることから、通常は教育委員会に届け出されます。停学期間中は出校することができず、記録にも残る可能性が高いです。

なお、「訓告」とは学校長が生徒に対して行うお叱りのようなものですから、学校生活に影響はありません。

(2)謹慎も停学も期間は学校長の裁量で決まる

このように、謹慎と停学には違いがありますが、いずれにしても、学校が定めた期間は学校に行けず、自宅待機する点は同じです。謹慎も停学も、実施の期間は学校長が事案を考慮して相当な期間を決定します。

2. 学校処分(停学、退学)に納得できない場合の対応方法

子どもが停学や退学処分を受けたけれども、納得ができない場合、どのように対応していけばよいのでしょうか。

(1)調査結果や理由の開示を求める

停学や退学は、学校教育法および学校教育法施行規則上の懲戒処分に該当します。正当な理由がなければ、懲戒処分を下すことはできません。

しかし、保護者としては、学校で何が起きたのか、詳細を知ることはできません。そこで、停学や退学処分に至った具体的な理由について、学校側に開示を求めましょう。

時には、事実関係の調査が不十分で、あいまいなままに処分が下されていたり、時には、誤った事実認定がなされていることもあります。また、事実は正しく把握されているけれども、事実に対して、処分が不当に重いような場合もあります。

こうした場合には、処分の有効性について法的に争っていく可能性も視野に入ります。とにかく、学校や教育委員会に対して、調査結果と処分の理由を、しっかり開示してもらうことが大事です。

(2)停学・退学の取り消しを求める

停学や退学について学校側から説明がある段階であれば、まだ処分が決まっていないかもしれません。この場合は、学校側に処分が不当であるという意見をはっきりと出しましょう。生徒と親がそのまま受け入れてしまうと、不当な処分でもあっという間に下されてしまいます。また、停学や退学処分が出された場合は、処分の違法性を主張して取り消しを求めることもあり得ます。

なお、停学や退学処分の取り消しを裁判に訴えることになります。そして、退学と異なり、停学処分は一定期間(長くても数か月)で終了してしまうため、裁判が終わるまでに停学期間が終わってしまう可能性が十分あります。

この場合、停学処分を取り消しても、すでに処分が終わり、訴えの利益がなくなっているため、裁判所では判断を出してもらえない(却下される)可能性があります。実際に、ある医科大学の学生が、学長に対して停学処分の取り消しを求めて訴訟を提起していますが、裁判が終わるまでに停学処分が終了していたことを理由に、訴訟は却下されています。

退学処分であれば、生徒としての地位を失ってしまうので、裁判で退学処分の取り消しを求めて争うことができます。

(3)学校側に対して損害賠償を請求する

違法な停学・退学処分を受けた場合、それによって子どもが受けた精神的な苦痛に対して慰謝料を請求することが考えられます。この場合も裁判所に対して、裁判を提起して行います。

謹慎と停学はどちらも、一定の期間、学校に行けなくなるという意味では同じです。ただし、停学処分のほうが学校教育法上の懲戒として、重い処分にあたります。納得がいかない場合は、学校と十分に話し合って、事実関係についても積極的に開示を求めることが大事です。

とはいえ、保護者と学校が率直に話をするのは難しい場合もあります。プライバシーなどを理由に学校が調査結果を開示しない場合も増えています。学校側が話し合いに応じない場合は、教育委員会や弁護士などに相談してみてもいいでしょう。

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