保育園で子どもがケガしたら責任追及・損害賠償請求はできる?
  • 2021年04月08日
  • 学校・教育

保育園で子どもがケガしたら責任追及・損害賠償請求はできる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

保育園や幼稚園は、多数の園児が一緒に活動する場所です。そのため、遊んでいて転倒しケガをする、他の園児とケンカをしてケガをする、園内に設置された物が倒れてきてケガをするなど、ケガやトラブルも発生しやすい場所でもあります。

もしも子どもが、保育園や幼稚園でケガをした場合、誰にどのように責任を追及すればいいのか、迷われる親御さんも少なくないでしょう。今回は、保育園や幼稚園で子どもがケガをした場合の責任追及・損害賠償について解説します。

1. 保育園や幼稚園で子どもがケガをしたら責任は誰にある?

保育園や幼稚園で子どもがケガをした場合に損害賠償をする責任は誰にあるのでしょうか。子どもが自分でケガをしたケースと、他の園児に負わされたケガのケース、2つの観点から解説していきます。

(1)自分でしたケガ

保育園や幼稚園で、子どもが1人で走っていて転んでケガをしてしまった場合でも、子どもが責任を負うことはありません。

なぜなら、保育園や幼稚園は、預かっている子どもの安全に配慮して、子どもがケガなどをしないように注意しなければならない義務を負っているからです。この義務を、安全配慮義務といいます。そのため、保育園や幼稚園の管理下において子どもがケガをした場合は、義務を果たさなかったとして、保育園や幼稚園に損害賠償請求ができる場合があります(民法第415条)。

(2)他の園児に負わされたケガ

保育園や幼稚園に通う子どもはまだ幼く、感情をコントロールすることが難しいので、大人では想像もつかないことが原因で相手にケガをさせてしまうこともあるでしょう。

しかし、他の園児によって子どもがケガをした場合、ケガをさせた園児の責任を追及することはできません。園児はまだ幼く判断能力が十分ではないので、自分の行為に対する責任が取れないからです(民法712条)。

したがって、他の園児にたたかれてケガをした場合、治療費などを損害賠償請求するには、その園児の親を相手として請求します。他の園児に負わされたケガの賠償責任は、日頃から園児を監督する立場である園児の親が負うことになるからです。

また、預かり時間内に他の園児によってケガをさせられた場合は、保育園や幼稚園がきちんと義務を果たしていなかったとして、保育園や幼稚園に対して責任を追及できる可能性があります。

2. ケース別にみる損害賠償請求

保育園や幼稚園で子どもがケガをしてしまった場合に、誰にどのように損害賠償請求をするのか、注意点も併せてケース別に解説します。

(1)保育園や幼稚園が相手の場合

保育園や幼稚園は、預かっている子どもの安全に配慮し、ケガや事故がないように注意する義務を負っています。そのため、以下のような法律を根拠として損害賠償請求ができる可能性があります。

  • 債務不履行責任(民法415条):子どもの安全に配慮する義務を怠ったことに対する責任
  • 使用者責任(民法715条):園の先生が原因で子どもにケガをさせた場合の責任
  • 工作物責任(民法717条):園内に設置された物が原因で子どもがケガをした場合の責任

注意点として、公立の保育園や幼稚園でケガをした場合は、その園自体ではなく、園が属する国や公共団体を相手として、損害賠償請求をすることになります(国家賠償法1条1項)。公務員の責任を追及するための法律は民法ではなく、国家賠償法という、公共団体や公務員に対して責任を追及するための法律になるからです。

(2)先生が相手の場合

先生が目を離したことが原因で子どもがケガをしてしまった場合などは、その先生に対して損害賠償を請求できる可能性があります(民法709条)。ただし、先生はあくまで個人なので、損害を賠償できる十分な資力があるかという問題はあります。

また、公立の保育園や幼稚園で子どもがケガをした場合は、先生本人を相手にして請求をするのではなく、国や公共団体を相手として損害賠償請求をすることになります。

(3)園児の親が相手の場合

園児の親を相手にする場合、監督義務者としての責任を追及する方法があります(民法714条)。自分で責任を取れる状態にない子どもの監督者である親は、その子どもが他人に対して与えた損害を賠償すべき立場にあることが、法律で規定されているからです。

いずれにせよ、ケガをした責任を追及するためには、相手がきちんと対応しなかったからケガが発生したなど、相手の責任を証明するための証拠をきちんと集められることが重要です。

また、相手に責任を追及する場合は、相手との関係が悪化して園に通いにくくなるなどの悪影響が生じないように適切な配慮するなど、法的な知見とともに交渉術も必要です。

保育園や幼稚園のケガでお困りの際は、まずは弁護士への相談をおすすめします。依頼の際は、学校・教育問題のトラブル解決の実績が豊富な弁護士を選びましょう。問題解決のために力をつくしてくれるでしょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

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