特待生が退学するとき、返金は必要なのか。学校とお金の問題
学業やスポーツにおいて秀でた学生を、入学金や授業料を減免して入学させる「特待生」の制度を利用している方は、退学を選択した場合にトラブルになる恐れがあります。退学を申し出た際に、学校側から「入学金を支払ってもらう」「免除してきた授業料を請求する」などと言われてしまい、困惑した経験をもつ方も少なくありません。
入学金や授業料などの減免を受けた特待生は、退学の際に返金する必要があるのでしょうか?
1. 特待生と退学の問題
そもそも特待生とはどのような制度なのでしょうか。退学する際に起こり得るトラブルについても確認していきましょう。
(1)特待生とは
学校経営においては、学業やスポーツなどで優秀な成績を収める学生が集まるほどメリットが多くなります。そこで、法人化している学校の多くは「学業優秀である」「スポーツや芸術などに秀でている」などを条件に、一部の志願者を特待生として入学させる制度を設けているのです。特待生として入学した学生は、入学金や授業料の免除・減額といった優遇が受けられるため、経済的にも大きなメリットが得られるでしょう。
一方で、特待生であるために思い通りの進路選択ができないといった不利益や、一定の成績・成果を収めないと特待生としての優遇が取り消されてしまうといった強いプレッシャーを感じながら学生生活を送ることにもなります。
(2)特待生が退学すると起こり得るトラブル
特待生は金銭面で強く優遇される制度であるため、進路変更や素行不良などを理由に退学となった場合は、それまで免除・減額されていた入学金や授業料などについて、返金を求められることがあります。特待生として減免されていた学費は決して安いものではなく、納得できない学生側と、返金を求める学校側とでトラブルになってしまう恐れがあるのです。
2. お金は返金しないといけないのか
当初は減免されていた入学金や授業料について、特待生でなくなったという理由で返金する義務はあるのでしょうか?
(1)入学時に交わした条件によって変わる
実際に減免された入学金や授業料を返金する必要があるかどうかは、入学時に学校と交わした条件によって変わります。
もし「特待生としての資格を失った場合に、減免された入学金・授業料を支払う義務がある」という条件だった場合は、特待生としての資格を失った経緯や退学に至った経緯によっては学校側からの請求が正当である可能性があります。学校の寮で生活していた場合は、当初の合意内容によっては、寮費や生活費などについても返金義務が生じる可能性があります。
一方で、特段の定めがない限りは、返金を拒んでも学生側の主張が認められる可能性があります。
いずれにしても、解決するには学校側との交渉を重ねる必要があり、場合によっては裁判所で争う事態も避けられないでしょう。
(2)退学・返金のトラブルは弁護士に相談を
特待生として減免されていた入学金や授業料などの返金請求を退学時に受けている場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士はまず、入学時の条件を書類から読み解き、返金する義務がないと判断できれば、代理人として学校側との交渉を重ねます。もし学校側が強硬姿勢を取るのであれば、裁判所の手続きによって学校側の請求に根拠がないことを主張し、事態の解決を目指します。
一方で、入学時の条件から入学金や授業料などの返金義務が生じる場合でも、弁護士のサポートは有効です。弁護士が代理人として交渉を進めれば、一部の減額や、分割による支払いなど、経済的な負担が軽くなる可能性もゼロではありません。
また、退学を選択するに至った原因がいじめなどであれば、加害者や学校側の責任を追及し、精神的苦痛を理由に損害賠償を請求することも可能です。直ちに弁護士に相談してアドバイスを受けた上で、学校側との交渉や、法的措置に向けたサポートを受けるのが望ましいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2022年02月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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