どこまでが養育費に含まれるもの? 知っておきたい養育費内訳

どこまでが養育費に含まれるもの? 知っておきたい養育費内訳

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

離婚して養育費の請求をお考えの方のなかには、「養育費に含まれるものは何だろう」といった疑問を抱くこともあるでしょう。養育費に含まれるものを正確に理解しておかなければ、相手に対して、適正な養育費を請求することができません。

今回は、養育費に含まれるものや養育費を受け取ることができる期間について解説します。

1. 養育費はどこまで含まれる?

養育費にはどこまでの費用が含まれるのでしょうか。以下では、養育費に含まれるものについて説明します。

(1)衣食住に必要な費用

子どもが生活するのに必要となる衣服代、食費、住居費用(家賃)などは、養育費に含まれるものにあたります。

(2)教育費

養育費に含まれる教育費とは、標準的な家庭を想定した教育費ですので、平均的な公立学校の学校教育費が含まれます。教育費には、公立高校を卒業するまでのものが含まれますので、大学(国公立、私立問わず)や専門学校に進学する場合には、別途協議をする必要があります。

(3)医療費

子どもが独立するまでに生じる平均的な医療費についても養育費に含まれています。あくまでも平均的な医療費ですので、重い病気にかかったり、事故に遭ったなど突発的に発生する医療費については、養育費には含まれていません。

(4)娯楽費

子どもが成長していくには、ある程度の娯楽費も必要になりますので、平均的な娯楽費についても養育費に含まれます。

2. 養育費としては請求できないものは?

養育費の金額は、養育費算定表を基準に決めるのが一般的です。以下では、養育費算定表に含まれない費用の内訳について説明します。

(1)私立学校の学費

養育費算定表で想定している養育費は、あくまでも公立学校に通う場合の平均的な教育費です。子どもが私立学校(幼稚園、小学校、中学校、高校)に通う場合の学費については、養育費算定表には含まれていません。そのため、私立学校への通学を予定している場合には、養育費の増額事由として考慮してもらう必要があります。

(2)大学の授業料

養育費算定表では、公立高校卒業までの教育費が含まれていますが、それ以降の大学や専門学校の学費については含まれていません。大学進学を予定している場合には、それを含めて養育費の金額を決めるか、大学進学時に別途考慮する内容にする必要があります。

(3)海外留学費用

海外留学をするかどうかは不確実な予定ですので、養育費算定表には含まれていません。海外留学の予定が明確であれば相手との話し合いのときに増額事由として考慮してもらうこともできますが、そうでない場合には、将来海外留学をすることになった際に別途協議することになります。

(4)突発的な病気や怪我の治療費

養育費算定表では、標準的な医療費については含まれていますが、突発的な病気や怪我の治療費、入院費などは含まれていません。子どもが突発的な病気や怪我をした場合には、相手と話し合って費用の負担を決めていくとよいでしょう。

(5)習い事の費用

養育費算定表では、子どもの習い事の費用については含まれていません。相手が同意してくれれば習い事の費用を上乗せすることもできますので、まずは相手と話し合いをしてみましょう。

(6)親権者の生活費

離婚をすることによって、配偶者に対する扶養義務は消滅しますので、養育費には、配偶者の生活費は含まれません。

3. 養育費を受け取ることができる期間は決まっている?

養育費は、いつまで受け取ることができるのでしょうか。

(1)一般的には20歳になるまで

養育費は、未成熟子の養育に関する費用です。未成熟子とは、簡単にいえば自分の力で生活する能力がない人のことをいい、一般的には20歳未満の子どもは未成熟子であると考えられています。

そのため、養育費を受け取ることができるのは、20歳までとするのが一般的です。ただし、法律上の決まりがあるわけではありませんので、権利者と義務者の話し合いによって、これとは異なる年齢を養育費の終期にすることも可能です。

たとえば、高校を卒業して就職するのであれば18歳まで、大学に進学する予定があるのであれば22歳までとすることもあります。

(2)成年年齢引き下げによる影響は?

令和4年4月1日から民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。しかし、養育費の終期は、子どもが経済的に成熟したといえるかどうかが基準になりますので、成年年齢引き下げによって当然に養育費の終期が18歳に引き下げられるわけではありません。

また、離婚時に養育費の終期を「子どもが成人するまで」と取り決めている場合でも、取り決め時の成年年齢が20歳であれば、成年年齢引き下げ後も養育費の終期は、20歳となると考えられます。

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