交際相手を妊娠させてしまった。中絶費用が払えない場合、どうする?
交際相手が妊娠したとしても、男性側・女性側の事情によっては、出産ではなく中絶を選択せざるを得ない状況になることがあります。中絶となれば当然、中絶費用が生じますが、中絶費用としてはどのくらいの金額がかかるのでしょうか。また、中絶費用が払えない場合には、どのように対処したらよいのでしょうか。
今回は、交際相手を妊娠させてしまった場合の中絶費用と中絶費用が払えない場合の対処法について解説します。
1. 中絶の費用
中絶費用は、人工妊娠中絶をする時期によって、以下のように異なってきます。中絶費用をどのように負担するのかは、当事者同士で話し合って決めることになりますが、当事者同士が合意の上で行った性交渉で妊娠し、中絶手術を実施する場合、中絶費用は折半するのが一般的となります。
(1)妊娠初期
妊娠初期(妊娠12週未満)に行う中絶を初期中絶といいます。初期中絶では、子宮内の赤ちゃんをかきだす方法または吸い出す方法で行われ、通常は10分から15分程度の手術で済みます。痛みや出血も少ないことから術後の体調に問題がなければその日のうちに帰宅することもできます。
初期中絶の費用は、具体的なケースや病院によって異なってきますが、10~15万円程度が相場となります。
(2)妊娠中期
妊娠中期(妊娠12週~妊娠21週6日まで)に行う中絶を中期中絶といいます。中期中絶では、子宮収縮剤を用いて人工的に陣痛を起こし、赤ちゃんを流産させる方法で行われます。中期中絶は、体に負担がかかる手術となりますので、通常は数日間の入院が必要になります。
中期中絶の費用は、具体的なケースや病院によって異なってきますが、40~50万円程度が相場となります。また、中期中絶の場合は、死産扱いとなり、火葬や埋葬の費用として、3~10万円程度必要になります。
(3)妊娠後期
母体にかかる負担や倫理的な問題から、母体保護法によって中絶ができる時期は、妊娠22週未満と定められています。妊娠後期(妊娠22週以降)に入ってしまうと、原則として、人工妊娠中絶をすることはできません。
2. 中絶費用が払えない場合、どうする?
中絶費用が支払えない場合はどのように対応したらよいのでしょうか。
(1)公的制度の利用
中絶をする場合には、基本的には健康保険を利用することはできませんので、全額自費負担で支払わなければなりません。しかし、以下のような公的制度を利用することによって、中絶費用の負担を軽減することができる場合もあります。
①出産育児一時金
中期中絶の場合は、健康保険から出産育児一時金として、42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合、40万8000円)が支払われます。なお、2023年4月以降、出産育児一時金の金額は、50万円に増額されます。出産育児一時金は、初期中絶の場合、支給の対象外です。
②医療費控除
年間の医療費が、10万円以上または年収の5%を超える場合には、確定申告の際に医療費控除を行うことによって、支払った医療費の一部を還付してもらうことができます。ただし、確定申告後の還付になりますので、お金が戻ってくるまでに時間がかかるのがネックです。
(2)金銭的に厳しければ早めの中絶を
中絶費用が払えないからといって中絶を先延ばしにしていると、中絶に必要となる費用はどんどん膨らんでいき、母体にも大きな負担がかかります。また、妊娠22週以降は、母体保護法によって中絶が禁止されていますので、原則として中絶をすることはできません。そうすると、子どもを出産することになり、子育てや養育費の支払いといった負担が生じてしまいます。
このように、時間がたてばたつほど金銭的な負担は増えていきますので、中絶を考えている場合には、早めに対応することが大切です。どうしても中絶費用が支払えないという場合には、親族や知人からお金を借りる、クレジットカードで支払う、キャッシングをするなどの対応を検討しましょう。
3. まとめ
合意の上で性交の上、交際相手を妊娠させてしまったという場合で、やむを得ず中絶を選択する場合には、中絶費用は双方が折半で負担するのが基本となります。妊娠週数が進むにつれて、中絶手術にかかる費用も増えていきますので、中絶をする場合には早めに決断をすることが大切です。
なお、交際相手を妊娠させ中絶するに至った経緯や対応によっては、交際相手から中絶費用の全額請求や慰謝料請求をされる可能性があります。そのような場合には、慰謝料の支払い義務があるかどうかや、請求されている金額の妥当性を検討する必要がありますので、まずは、弁護士に相談をすることをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2023年04月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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