失踪した配偶者と離婚できる? 離婚成立の条件と手続きは?

失踪した配偶者と離婚できる? 離婚成立の条件と手続きは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

突然、配偶者が失踪して行方不明になり、数年間連絡もないという状況だと、夫婦関係を継続することが難しいと感じることもあるでしょう。そのような場合には、離婚を検討することになりますが、失踪して連絡も取れない相手とどのように離婚をすればよいのでしょうか。

今回は、失踪した配偶者と離婚をするための条件および手続きについて解説します。

1. 失踪した配偶者と離婚できる条件は?

配偶者が失踪して連絡が取れない場合には、協議離婚や調停離婚によって離婚請求をすることはできません。このような場合には裁判離婚を選択することになりますが、配偶者の失踪を理由に離婚する場合には、以下の法定離婚事由を満たす必要があります。

(1)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

配偶者が生死不明となってから3年が経過した場合には、法定離婚事由に該当しますので、裁判によって離婚をすることができます。

配偶者が失踪したとしても、生存していることは明らかという場合には、生死不明にはあたりませんので離婚はできません。警察に捜索願を提出したり、知人や勤務先の人に行方を尋ねるなどの捜索活動をしても行方が分からないということが必要です。

(2)悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の基本的な義務である、同居・協力・扶助義務を放棄することをいいます。

居場所を告げずに突然いなくなり、その後も連絡を取らない状態では、夫婦の基本的な義務を果たすことができませんので、悪意の遺棄に該当する可能性があります。

(3)婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻関係が破綻していて回復の見込みがないことをいいます。

婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかどうかは、さまざまな事情を総合考慮して判断することになりますが、突然失踪して行方が分からない、連絡が取れない、行方不明になってから数年が経過しているなどの事情があれば、婚姻を継続し難い重大な事由に該当し、離婚が認められる可能性があります。

2. 失踪から7年以上が経過していた場合は?

失踪から7年以上が経過していた場合には、失踪宣告制度を利用することによって、婚姻関係を解消することが可能です。

失踪宣告制度とは、一定期間生死不明の状態が続いている人に対し、法律上死亡したものとみなすことができる制度です。

生死不明の状態になってから7年を経過している場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行い、裁判所によって失踪の宣告がなされるとその人は死亡したものとみなされます。

失踪宣告は、離婚とは異なりますが、配偶者の死亡によって婚姻関係を解消することができるという効果が得られます。また、配偶者の死亡によって、配偶者の遺産を相続することができるというのも離婚とは異なる失踪宣告のメリットです。

ただし、失踪宣告を受けた人の生存が確認できた場合には、失踪宣告の取り消しによって婚姻関係が復活する点に注意が必要です。

3. どんな手続きが必要?

失踪した配偶者と離婚をするためには、以下のような手続きが必要になります。

(1)離婚訴訟の提起

失踪した配偶者と離婚をするためには、弁護士に依頼をして離婚訴訟の提起を行います。

通常は、離婚調停を行ってからでなければ離婚訴訟を提起することができませんが、失踪した配偶者と調停をしても無意味ですので、例外的に離婚調停をスキップして、いきなり離婚訴訟を提起することが認められています。

(2)公示送達の実施

原告が裁判所に提出した訴状は、裁判所から被告に送達されます。しかし、被告が失踪して行方不明である場合には、被告の住所宛てに送達をすることができませんので、公示送達という方法によって、訴状の送達が行われます。

(3)口頭弁論期日で法定離婚事由の立証

裁判離婚をするためには、民法が定める法定離婚事由のいずれかが存在していることが必要です。被告が失踪して裁判期日に出頭しない場合でも、原告において法定離婚事由があることを立証しなければなりません。

どのような主張立証をすればよいかは、一般の方では判断が難しいといえますので、裁判離婚を進めていくためには弁護士のサポートが不可欠となるでしょう。

(4)判決の確定・離婚届の提出

法定離婚事由があることが証拠によって立証できれば、裁判所によって離婚を認める旨の判決が言い渡されます。

判決を受け取った日から2週間が経過すると離婚判決が確定しますので、原告は、確定判決の謄本、確定証明書を添えて離婚届を提出すれば、離婚をすることができます。

なお、離婚届の提出は、判決確定の日から10日以内に市区町村役場に提出しなければなりませんので、早めに対応するようにしましょう。

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