離婚前に別居したい! その準備とポイントを解説

離婚前に別居したい! その準備とポイントを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「夫(妻)との関係が悪く離婚を考えているが、ひとまず別居したい」。このような状況にある方もいらっしゃるでしょう。

離婚前に別居することは、お互いに冷静に関係を見つめ直す機会にもなりえます。しかし反面、別居では、多くの生活費がかかり、家族としてのつながりを感じる機会が少なくなるなどの問題も生じます。また強引に別居を開始すれば、離婚で不利に働くこともあります。

そのため、離婚前の別居を考えている場合には、万全の準備をしてポイントを押さえた行動をとることが大切です。

1. 離婚前に別居できる?

(1)離婚前に別居することもできる

夫婦には法律上、同居義務がありますが、夫婦関係が悪化していたり、配偶者に非があったりするような場合にまで、同居の義務を課すものではありません。

そのため離婚する前に、別居することはできます。

ただし、理由もなく勝手に別居をはじめて、相手に生活費を渡さないなどといった行動は、民法上の法定離婚理由、「悪意の遺棄」にあたります。この場合、相手からの離婚請求や慰謝料請求に応じなければならない可能性があるので、注意が必要です。

(2)離婚前に別居が必須なわけでもない

別居しなければ離婚できないということはありません。話し合いや離婚調停で合意できれば同居中であっても離婚することができます。

もっとも、話し合いや調停で合意できずに裁判になったときには、民法第770条で定められている「法定離婚事由」がなければ離婚が認められません。

不貞など同条第1号から第4号に挙げられている事由がある場合には別居していなくても離婚が認められますが、そのような事由がない場合には、別居をある程度の期間継続することで同条5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められなければ離婚できません。

すなわち、不貞等の事由がない場合には、別居をしなければ離婚できないことがあるということです。そのため、性格の不一致などを理由に離婚したいが、配偶者が離婚に反対しているという場合には、別居をある程度の期間継続して離婚を成立させるという流れになります。

(3)別居中は婚姻費用を請求できる

別居を検討している方にとって、別居中の生活費などは大きな心配事でしょう。しかし、ご自身が配偶者より収入の少ない場合には、別居中であったとしても他方に生活費(婚姻費用)を請求できる権利があります。

これは、夫婦には、結婚生活で生じるお金について、お互いに負担しなければならない義務(婚姻費用分担義務)があるためです。

婚姻費用分担義務は、離婚するまで継続します。そのため別居期間中も離婚が成立するまでは、婚姻費用を請求できるのです。

ただし婚姻費用によって、生活費のすべてを十分にまかなえるとは限りません。婚姻費用については裁判所の公表する算定表が基準となることが一般的ですので、算定表を参考に金額を把握して、公的な扶助なども調査したうえで、別居後の生活設計をされるとよいでしょう。

2. 別居の準備とポイントは?

(1)別居条件を相手と話し合う

別居に際しては、できる限り、配偶者と別居条件を話し合うことが望ましいです。別居条件としては、請求する婚姻費用の金額や子どもとの面会交流の内容などを決めておくと、別居後の生活がスムーズにスタートできるでしょう。

もっとも配偶者からモラハラやDV(家庭内暴力)を受けているような場合には、離れることを優先すべきです。ご不安な方は別居前から弁護士にご相談されるとよいでしょう。

(2)別居先の家を探す

別居するのであれば、実家に戻る、新たに賃貸物件を探すなど、別居先となる住居を探さなければなりません。

家を借りる場合には、敷金礼金用のまとまったお金を準備し、配偶者や親戚、保証会社などに保証人をお願いすることも必要です。

(3)子どもの養育環境を準備する

子どもを連れて別居するのであれば、別居先の地域の学区を調べたり、習い事はどうするのかを決める必要があります。

また、別居後に仕事をする場合には、入園できる保育園があるのか、学校の放課後に利用できる学童保育はあるのかなども調べて、手続きできるよう準備することが大切です。

(4)生活に必要な物をそろえる

別居に向けて、新たに必要になる生活必需品をそろえます。自宅からどのようなものを持ち出せるのかも考えておくとよいでしょう。

(5)離婚に備えた準備をしておく

離婚を念頭においた別居であれば、別居する前に、離婚時に有利になる証拠を収集しておいたり、夫婦の共有財産を明らかにしておいたりするのがよいです。

もし相手に不貞行為などがあれば、同居しているときの方が証拠を収集できる可能性が高くなります。不貞行為など法定離婚原因にあたる事実を示す証拠があれば、裁判となった場合に離婚事由として認められるだけでなく、慰謝料を請求できる可能性があります。

また離婚時には、夫婦が結婚生活で築いた財産を清算して分配する「財産分与」を行うので、共有の財産がどれくらいあるかを把握しておくことも大切になります。

なお共有財産とは、夫婦が同居期間中に協力して築いた財産です。そのため別居後に得た収入は、基本的に財産分与の対象にはなりません。

また、離婚を検討しているのであれば、別居準備と並行して、離婚について早期に弁護士に相談することもおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年05月30日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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