
- 離婚・男女問題
配偶者との話し合いがこじれている……。弁護士なしで離婚調停はできるの?
協議離婚の交渉がまとまらずに離婚調停に発展する場合、基本的には弁護士に依頼する方が無難です。
弁護士なしでも離婚調停を進めることは可能ですが、その場合はいくつかのデメリットが生じることを覚悟しつつ、慎重に手続きを進めてください。
この記事では、離婚調停に関する基礎知識に加えて、弁護士なしで離婚調停を進める際のデメリットなどを解説します。
1. 離婚調停の流れと話し合うべき内容
調停離婚を目指す場合、離婚調停の場では諸々の離婚条件について話し合いが行われます。
まずは離婚調停に関する基礎知識として、手続きの大まかな流れと話し合うべき内容を知っておきましょう。
(1)離婚調停の大まかな流れ
離婚調停は、大まかに以下の流れで進行します。
①家庭裁判所への申立て
相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に、離婚調停を申し立てます。
②調停期日での話し合い
家庭裁判所が指定した調停期日において、調停委員の仲介の下、離婚条件などを話し合います。
③【調停成立の場合】調停調書の作成・離婚届の提出
夫婦双方が裁判官作成の調停案に合意した場合、双方を拘束する調停調書が作成されます。調停成立後は、成立日を含めて10日以内に、市区町村役場へ離婚届を提出します。
④【調停不成立の場合】手続き終了・離婚裁判へ
調停成立の見込みがないと判断された場合、離婚調停は不成立として終了します。その後は離婚裁判(離婚訴訟)に発展するケースが多いです。
(2)話し合うべき内容|主な離婚条件
離婚調停では、以下の離婚条件のうち、夫婦間で意見が食い違っているポイントを話し合うことになります。
①財産分与
夫婦の共有財産として何があるのか、それをどのように分けるかが問題となります。
②慰謝料
離婚原因を作った側が、相手方が受けた精神的な損害を賠償すべきかどうか(および賠償額)が問題となります。
③年金分割
婚姻期間中の厚生年金加入記録をどのように分割するかが問題となります。
④親権
子どもの親権をどちらが持つかが問題となります。親権の帰属は、子どもの利益を最優先に考慮して決定しなければなりません(民法第766条第1項)。
⑤養育費
子どもと離れて暮らす親が子どもと一緒に暮らす親に対して支払う子どもを養育するための費用(養育費)の額や支払い方法が問題となります。
⑥面会交流の方法
子どもと同居しない親が子どもに会う頻度や方法などが問題となります。
2. 離婚調停の参加者・雰囲気について
離婚調停に臨む際、過度に不安を抱くことがないように、参加者の顔ぶれや雰囲気などについても基礎知識を備えておきましょう。
(1)離婚調停の参加者|裁判官・調停委員・当事者の夫婦
離婚調停の参加者は、以下のとおりです。
①裁判官
離婚調停の実質的な主宰者です。夫婦双方の言い分を聞いてバランスを取りつつ、最終的に調停案を作成することもあります。
②調停委員
夫婦双方から個別に言い分を聴き取り、相手方に言い分を伝えたり、時にはどちらかを説得したりします。民間の有識者から選ばれるのが一般的です。
③当事者の夫婦
当然ながら、離婚の当事者となっている夫婦も離婚調停に参加します。代理人として弁護士を選任している場合には、弁護士も同席します。弁護士に出席を任せて当事者は出席しないケースもあります。
(2)離婚調停の雰囲気は?
離婚調停は、男女1名ずつの調停委員が夫婦双方から個別に言い分を聞き取る形で行われるため、夫婦同士で顔を合わせることはほとんどありません。相手方と調停の場で険悪な雰囲気になることを心配する必要はありません。特にDVやモラハラなどにより直接話すことが難しい場合には、調停は非常に有効です。
調停の進行は調停委員によって行われるため、調停の雰囲気は調停委員のキャラクター次第とも言えます。話しやすい方もいれば、厳しいことを言う方もいるので、初回期日で調停委員と話してみて、自分で話すのが難しいと思われた場合には、弁護士に相談されると良いでしょう。
3. 離婚調停は弁護士なしでも可能?
弁護士費用を節約したいなどの理由から、離婚調停を弁護士なしで進めたいと考える方もいらっしゃいます。
実際に、弁護士なしで離婚調停を進めることは可能なのでしょうか。
(1)弁護士への依頼は必須ではない
法的には、離婚調停で弁護士をつけることは必須ではありません。そのため、当事者の選択により、弁護士なしで離婚調停に臨むことも可能です。
(2)離婚調停を弁護士に依頼しない場合のデメリット
ただし、離婚調停を弁護士に依頼しない場合、以下のようなデメリットがあります。
- 相手方の言い分や調停委員の説得内容が妥当かどうか判断するのが難しい
- 離婚調停に毎回出席しなければならず、労力がかかる
- 提出書類の準備が大変
- 手続きに戸惑った際に相談できる相手がいない
など
弁護士なしで離婚調停を進める場合、当事者の負担が大きくなってしまうことや、不利な調停案を受け入れてしまうおそれがあることが主なデメリットといえます。
離婚調停の手続きに不安がある場合には、弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2022年02月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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