不貞行為なしでも精神的苦痛を受けた配偶者に慰謝料を請求したい!

不貞行為なしでも精神的苦痛を受けた配偶者に慰謝料を請求したい!

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

不倫というと、一般的には不貞行為(肉体関係)があることを意味しますが、配偶者が第三者と肉体関係はなくても親密な関係になれば、配偶者に不倫されたと感じ、精神的苦痛を感じる方もいらっしゃると思います。特に、それによって離婚に至った場合には、第三者と親密な関係にあった配偶者に慰謝料を請求したいと考えることもあるでしょう。

また、配偶者と第三者の間に肉体関係があったかどうかは、証拠がない限り、当人以外はわかりません。そのため、肉体関係があったことについて証拠がない場合も、裁判になった場合には、肉体関係はない親密な関係という限度でしか裁判所に認めてもらえない可能性があります。その場合でも、被害者は、そのような親密な関係から相当な精神的苦痛を受けることはあるでしょう。

このように、不貞行為(肉体関係)が立証できない、または、不貞行為(肉体関係)が本当にない場合に、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。この点について解説していきます。

1. 精神的苦痛を理由に慰謝料を請求できるケース

慰謝料とは、精神的な苦痛に対する損害賠償のことです。離婚の場合に「慰謝料を払え」などということがよく言われるので、離婚のケースしか認められないと思っている人もいらっしゃるかもしれません。しかし、法律的には離婚に限らず広く精神的な苦痛を受けた場合の損害賠償として慰謝料は認められるものです。

たとえば、誰かの行為によってケガをして入院したような場合に、精神的苦痛を被ったとして加害者に慰謝料を請求することもできます。

このように、人が精神的苦痛を受けた場合には離婚に限らず慰謝料を請求することができます。親密な関係にはあるが肉体関係がないという場合であっても、慰謝料を請求することはできますし、肉体関係がある場合と比較して金額は低くなりますが、請求が認められる可能性もあります。

また、配偶者の一方が、第三者との間で、肉体関係のない親密な関係だったことにより離婚をすることになった場合には、離婚に伴う慰謝料を請求できる可能性もあります。

離婚をすることに他方の配偶者が同意しない場合は、最終的に裁判で離婚を求めることになりますが、裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由と呼ばれる以下5つのいずれかの事由が必要です。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

配偶者が不貞行為(肉体関係)を認めず、証拠もない場合には1.の事由が認められませんので、2.から5.の事由が認められなければ離婚することはできません。

2. 慰謝料を請求するための準備行為

慰謝料を請求するにあたっては、証拠を準備する必要があります。請求された配偶者や不倫相手が不倫を認める場合には証拠は必要ではありませんが、通常認めないことが多く、その場合に、親密な関係にあった、精神的な苦痛があったと主張をするだけでは、裁判所は慰謝料を認めてくれません。

肉体関係のない不倫について言えば、肉体関係があったとは認められなくても、密会を重ねている事実が明らかになれば、親密な関係にあったことを理由として慰謝料を請求し、認められる可能性があります。

これを請求する際には、具体的には、以下のようなものが証拠となる可能性があります。

  1. 不倫相手とのメールのやり取り
  2. 不倫相手と会っている写真やビデオ
  3. 高価なプレゼントやホテル代などのクレジットの履歴
  4. 会社の人など第三者の証言
  5. 親密な関係にあることを疑わせる記載のある手帳やメモ
  6. 不倫相手または配偶者が親密な関係にあること(キスやハグ、頻繁に食事に行っていること等)を認めた際の音声や映像データ

上記証拠によって密会等の事実が明らかになれば、慰謝料請求が認められる可能性もあると言えるでしょう。

家に帰らない日が多い場合には、メモやカレンダーに帰宅しないことをメモしておくことも、他の証拠との組み合わせ方次第では証拠となることもあります。

慰謝料の額は、事情に応じて決まりますので、できるだけ多くの証拠を集めておくことが重要です。

配偶者に不倫されたとき、それがどの程度の関係だったとしても、精神的なダメージを受けることと思います。肉体関係がないとしても慰謝料請求ができる可能性はありますので、あきらめずに証拠を集めるとよいでしょう。

どのような証拠が必要なのか、また、慰謝料請求をどのようにしてよいかわからないという場合には、弁護士にご相談されるとよいでしょう。弁護士から必要な証拠やその集め方についてアドバイスを受けることができますし、依頼をすれば、相手への請求も代わりに行ってくれます。交渉や裁判のストレスを軽減することができますので、精神的にも楽になるでしょう。

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