同性婚(同姓カップル)で養子縁組できる? 法律や関連制度を解説

同性婚(同姓カップル)で養子縁組できる? 法律や関連制度を解説

日本では同性婚が認められておらず、法律上は異性婚と同じ扱いを受けるのは難しい状況です。そうした中で、法的なつながりを築くための手段として、養子縁組が活用されています。

しかし、養子縁組には注意点もあるので、事前に理解しておくことが大切です。

本コラムでは、日本での同性婚の法的位置づけや裁判の動向を解説します。また、養子縁組を活用できるケース、関連する制度なども紹介します。

1. 同性カップルが結婚したいときは「養子縁組」を活用できる

まずは、日本での同性婚の取り扱いについて見ていきましょう。

(1)日本で同性婚が認められていないことによる当事者の不利益

民法第739条1項や戸籍法第74条1号などの規定は、男女間の婚姻を前提にしていると解釈されています。そのため、日本では同性婚は認められておらず、同性同士が婚姻届を提出しても受理されません。

同性婚が認められないことで、同性カップルは以下の不利益を受けるおそれがあります。

  • パートナーに不貞行為があっても慰謝料請求が難しい場合がある
    (同性カップルには法律上の「貞操義務」が明文化されていないため。ただし、裁判例によっては同性カップル間でも不貞行為が不法行為と認められたケースもあります。)
  • 法定相続人になれず、遺産を相続できない
    (遺言による遺贈は可能だが、遺留分や税金面で配偶者と同様に扱われない)
  • 医療機関で同意書への署名や病状説明、面会を断られる
  • 公営住宅や賃貸物件への入居を拒まれる
  • 性的指向や性自認が知られることで差別やいじめを受ける

(2)同性婚をめぐる裁判

同性婚を認めないことが憲法に違反するかをめぐり、2019年2月に札幌、東京(一次・二次訴訟)、名古屋、大阪、福岡の5つの地方裁判所で訴訟が提起され、各高裁でも判決が下されました。

一審では判断が分かれましたが、控訴審では、以下のとおり札幌・東京・福岡・名古屋・大阪の5件すべてで「違憲」とされました。

日付 裁判所 憲法の各条文に対する合憲性
13条(幸福追求権) 14条(法の下の平等) 24条1項(婚姻の自由) 24条2項(個人の尊厳)
2024年3月 札幌高裁 合憲 違憲 違憲 違憲
2024年10月 東京高裁(一次訴訟) (判断せず) 違憲 (判断せず) 違憲
2024年12月 福岡高裁 違憲 違憲 (判断せず) 違憲
2025年3月 名古屋高裁 (判断せず) 違憲 (判断せず) 違憲
2025年3月 大阪高裁 合憲 違憲 (判断せず) 違憲
出典:日本経済新聞「同性婚認めぬ規定、5高裁すべて「違憲」 一審合憲の大阪も

2025年11月28日には東京高裁の二次訴訟判決も控えており、最終的には最高裁が統一的な判断を下す見込みです。同性婚の制度化は立法の問題でもありますが、裁判所の判断は、同性婚を認めるための法改正の後押しにつながると考えられます。

(3)同性カップルでも利用できる「普通養子縁組」

同性婚が認められない現状で、同性カップルが法律上の家族となる方法として現実的な手段となっているのが「普通養子縁組」です。

普通養子縁組とは、養親と養子の間に親子関係を創設する制度です(民法第727条)。本来は家系の存続などを目的とする制度ですが、年上を「養親」、年下を「養子」とすれば、同性カップルでも法律上の親子になれます。

主な要件

  • 養親が20歳以上
  • 養親本人と養子本人の合意(養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者など)の合意)
  • 養子縁組を役場に届け出る

主な効果

  • 双方に扶養義務が発生する
  • 養子の氏が養親の氏に変更される
  • 養親が死亡したとき、養子は養親の相続人になれる
  • 養子が死亡したとき、養子に子や孫などがいなければ、養親が養子の相続人となれる

届出は、養親または養子の本籍地または所在地の市区町村役場におこないます。

届出の際には、主に以下の書類が必要です。

届出の必要書類

  • 養子縁組届(届出人と証人2名の署名が必要)
  • 届出人の本人確認書類
  • 家庭裁判所の許可書謄本(※未成年者を養子にする場合)
  • 養親と養子の戸籍謄本(※養親または養子の所在地の市区町村役場に届け出る場合)

届出にあたって費用は基本的に発生しません。ただし、以下のケースでは費用が発生します。

届出に費用が発生するケース

  • 養親または養子の所在地の市区町村に届け出る場合
    →戸籍謄本:1通あたり450〜750円程度
  • 未成年者を養子にする場合(家庭裁判所へ審判申し立てのために必要な費用)
    →申し立て手数料:1人あたり800円(収入印紙で納入)
    予納証券:1,000円前後

手続きや相続の取り扱いに不明な点があれば、弁護士への相談がおすすめです。

2. 養子縁組のメリットと注意点

同性カップルが養子縁組を利用する場合、メリットと注意点がそれぞれあります。主なものを、以下の表にまとめました。

同姓カップルにおける養子縁組のメリットと注意点を解説する図

(1)養子縁組のメリット

養子縁組を利用する主なメリットは、以下の3つです。

 

① 法的に「家族」と認められる

養子縁組が成立すると親子関係が生じるので、双方の名字を同じにでき、戸籍上も同じ世帯として記録されます。

② 相続が可能になる

お互いに法定相続人となれるので、パートナーが亡くなったときに財産を相続できます。

③ 扶養認定が可能になる

パートナーが会社員として社会保険に加入している場合、もう一方を被扶養者として登録できる場合があります。医療費の軽減や年金受給の面で有利になるでしょう。

(2)養子縁組の注意点

養子縁組を利用する際の主な注意点は、以下の4つです。

①実方の親族も相続人となることに変わりはない

普通養子縁組を利用しても、実方の親族との血族関係は消滅しません。そのため、パートナーの財産を相続する際は、他の相続人との遺産分割協議が必要です。

②配偶者とはなれない

養子縁組により法律上の親子となれますが、配偶者とは扱われません。パートナーに不貞行為があったときに慰謝料を請求したり、関係解消時に財産分与を求めたりはできません。

③同性婚が認められた場合に結婚できない可能性がある

民法第736条では、養親と養子の婚姻を禁止しています。そのため、将来的に同性婚が法律で認められたとしても、結婚できないおそれがあります。

特例が設けられる可能性はありますが、現時点では不透明です。

④離縁する際に難航するケースもある

双方が養子縁組の解消(離縁)に合意した場合は、協議離縁届を作成して役所に提出すれば「協議離縁(民法第811条第1項)」が成立します。

ただし、相手が離縁に同意しない場合は、「離縁調停」や「離縁訴訟」といった手続きに進む必要があります。裁判で離縁を認めてもらうには、パートナーに民法第814条第1項に定められた以下の事由が認められなければなりません。

  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 親子関係を継続しがたい重大な事由があった

つまり、双方が同意せず、離縁事由もなさそうな場合は、離縁が難航するおそれがあります。

3. 同性カップルが子どもを持つ方法

同性カップルが子どもを持つ方法には、「養子縁組」、「里親制度」または「人工授精・代理出産」などが考えられます。

(1)養子縁組

新たに子どもを迎え入れる場合、カップルの両方がそれぞれ子どもと普通養子縁組をすれば、双方が養親となれます。

パートナーに連れ子がいる場合、もう一方が子どもを養子とすれば、法律上の親子関係が生じます。ただし、養子縁組をしていないパートナー(実親)には子どもの親権が与えられず、養親のみが単独で親権を行使します(民法818条第2項)。

(2)里親制度

里親制度とは、さまざまな事情により家庭で暮らせない子どもを、第三者が家族として迎え入れることを指します。

認定されれば、養育期間中は里親手当、生活費、学校教材費、医療費などが支給されます。

ただし、里親になるには法定研修を受ける、経済的に困窮していないといった要件を満たす必要があります。

(3)人工授精・代理出産

女性カップルの場合は精子提供による人工授精、男性カップルの場合は卵子提供による代理出産を利用して子供を授かる方法が考えられます。

ただし、日本では代理出産が認められていないので、海外で手続きが必要です。また、数百万から数千万円程度と高額で、国ごとに法律に異なるため手続きが複雑な点も注意が必要です。

4. 同性カップルが知っておくべきその他の制度

同性カップルは、養子縁組のほか、「パートナーシップ制度」や「準婚姻契約」なども活用できます。

(1)パートナーシップ制度

パートナーシップ制度は、自治体が同性カップルに「結婚に相当する関係」とする証明書を独自に発行して、社会的配慮を受けやすくする制度です。

証明書を交付してもらえば、以下のようなメリットを受けられます。

  • 病院で家族と同様の扱いを受けられる
  • 公営住宅に入居できる
  • 携帯電話会社の家族割を使える
  • パートナーを生命保険の受取人に指定できる

ただし法的効力はなく、相続や税制上の優遇は受けられません。内容も自治体により異なるため、お住まいの地域の制度を確認しておきましょう。

(2)準婚姻契約

準婚姻契約とは、事実上の夫婦関係にあるカップルが、婚姻関係に準じた法律関係を構築するための契約をいいます。

契約内容は双方で自由に決定できますが、主に以下の事項を取り決めます。

  • 相互の婚姻意思の確認(届出をしない旨を記載)
  • 同居や扶助の義務
  • 貞操の義務
  • 生活費の分担
  • 日常家事の代理権
  • 子どもに関する取り決め

ただし、相続については契約書に定めても効力は有しません。財産を残したい場合は別途遺言書を作成する必要があります。

準婚姻契約書の書式は問われませんが、公正証書にすれば契約の証明力が高まります。

なお、弁護士に依頼すれば、公正証書で契約書を作成してくれます。契約内容が不利にならないためのアドバイスももらえるので、契約書を作成する際は弁護士に相談しましょう。

弁護士JP編集部
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  • こちらに掲載されている情報は、2025年11月18日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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