DV・モラハラで離婚したい! 慰謝料相場や離婚の方法を徹底解説

DV・モラハラで離婚したい! 慰謝料相場や離婚の方法を徹底解説

倉内 怜

監修弁護士

倉内 怜 ベリーベスト法律事務所 新宿オフィス

第二東京弁護士会 / 登録番号:59047

配偶者によるDVやモラハラは、程度によっては法定離婚事由に該当します。その場合、被害を受けている方は離婚して、慰謝料も請求することが可能です。

ただし、家庭内で行われるDVやモラハラは裁判所などの第三者からは認識しにくいため、明確な証拠がなければ離婚や慰謝料請求が認められないことにもなりかねません。

本コラムでは、DVやモラハラを理由として離婚する方法や、慰謝料の相場などについて解説します。

1. DV、モラハラとは

まずは、DV、モラハラとは何か、基本的なことを確認しておきましょう。

(1)DVとは

DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略称であり、夫婦や恋人など親密な関係にあるパートナー間でふるわれる暴力のことです。

殴る・蹴るなどの身体的暴力はもちろんのこと、怒鳴る・無視するなどの精神的暴力や、生活費を渡さないなどの経済的虐待、性行為の強要などの性的虐待も、DVに含めて考えるのが一般的です。

(2)モラハラとは

モラハラとは、モラルハラスメントの略称であり、倫理や道徳に反した嫌がらせのことです。

身体的な暴力は含まれませんが、暴言や無視、威圧的な態度、人格否定など、言葉や態度によって相手に精神的苦痛を与える行為全般がモラハラに該当します。

DVのうち身体的暴力を伴わない行為とモラハラは似ていますが、両者を厳密に区別する必要はありません。

(3)DV・モラハラのチェックリスト

DV・モラハラは人格権を侵害する重大な不法行為ですが、自分が不法な被害に遭っていることに気づいていない方も多いです。そこで、以下にDV・モラハラのチェックリストを掲げますので、ご自身のケースに該当するものがないかをご確認ください。

【DV・モラハラ チェックリスト】
※モラハラについては、身体的暴力以外の欄をご参照ください。

類型 具体的な行為
身体的暴力
  • 殴る、叩く、蹴る
  • 髪の毛を引っ張って引きずり回す
  • 物を投げつける、物を壊す
  • 刃物を突きつけて脅す
  • タバコの火を押し付ける
精神的暴力
  • ささいなことで怒鳴る
  • 何を言っても無視する
  • スマホをチェックする
  • 交友関係を制限したり、外出を禁止したりする
  • 相手を見下した発言をする
  • 人前で侮辱する
経済的虐待
  • 生活費を渡さない
  • 配偶者の収入もすべて預かり、厳しく管理する
  • 自由に物を買わせない
  • 外で働くことに反対する
性的虐待
  • 正当な理由なく性行為を拒否する
  • 無理に性行為を強要する
  • 避妊に協力せず、妊娠したら中絶させる
  • アブノーマルな性的行為を要求する
  • 見たくない性的映像を見せられる

2. DV・モラハラによる離婚でもらえる慰謝料

ここでは、DV・モラハラによる離婚でもらえる慰謝料について解説します。

(1)慰謝料をもらえるケース

そもそも慰謝料とは、他人の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。

したがって、DV・モラハラにより離婚で慰謝料を請求できるのは、相手の行為によって精神的苦痛を受け、それが婚姻関係を破綻させるほどの不法行為と認められる場合です。

具体的には、人格を否定されるような相手の言動により、夫婦関係を続けることが難しいと感じるほど精神的に苦しい場合は、慰謝料を請求できる可能性が高いといえます。

一方、ちょっとした身体的暴力や暴言があったとしても、夫婦げんかの範囲に収まる場合には、慰謝料請求は難しいでしょう。

(2)DV・モラハラの慰謝料相場

DV・モラハラによる離婚で慰謝料請求が認められる場合の相場は、数十万円~300万円程度です。

加害者による強度の身体的暴力により被害者が重大なけがをした場合や、被害者がうつ病などの精神疾患を発症した場合、悪意を持ったDV・モラハラ行為が長期間にわたって継続された場合などでは、慰謝料が高額となる傾向にあります。

一方、軽微なDV・モラハラがあったにすぎない場合や、短期間にとどまった場合、被害者にも落ち度がある場合、DV・モラハラが直接的な離婚原因にならなかった場合などでは、慰謝料が低額にとどまることもあります。

(3)慰謝料請求に必要な証拠

慰謝料請求をする際には、証拠が重要となります。相手が事実を否定して慰謝料の支払いを拒否する場合は、裁判を起こしても証拠がなければ慰謝料請求が認められないことにご注意ください。

DV・モラハラ行為の証拠は、日々の生活の中で集めていくことが大切です。

相手の言動を明確に記録した動画や音声などのデータがあれば、強力な証拠となりやすいです。けがの状況や、荒らされた室内の様子なども写真に撮っておくとよいでしょう。

けがをしたり、心身に不調を来したりした場合は、医師の診断書も有効な証拠となります。

第三者の証言も証拠となることがありますので、親族や友人などに家庭内の状況を相談しておくのもよいことです。

相手の日々の言動を継続的に記録した日記やメモなども証拠となりますので、日々、記録していきましょう。

倉内 怜

弁護士
倉内 怜

(動画撮影や音声録音するに際し、相手の同意は必要ありません。客観的な証拠は多ければ多いほど良いので、突発的な発言なども常に記録できるように備えておくとよいでしょう。日時なども合わせて記録すると、証拠価値が高まると思われます。)

3. DV・モラハラを理由に離婚する方法

次に、DV・モラハラを理由に離婚する方法と、その流れを解説します。

(1)証拠を確保する

まずは、相手のDV・モラハラ行為を立証できる証拠を確保しましょう。

一般的にDV・モラハラは家庭内で継続的に行われるものですので、上でもご説明したとおり、日々の生活の中で証拠を集めていくことが大切です。

別居後に証拠を集めるのは難しくなることが多いので、離婚が頭をよぎったら早めに証拠集めを始めましょう。

(2)別居する

証拠がそろったら離婚を切り出すことになりますが、DV・モラハラを行う配偶者は、離婚を突きつけられると逆上するおそれがあります。身の危険を感じるときは、別居を開始した後に離婚を切り出した方がよいでしょう。

苦痛に耐えて夫婦生活を継続していると身体的・精神的に深刻なダメージを受けるおそれがありますので、とくに急を要する場合は証拠集めよりも身の安全の確保を優先し、早めに別居した方がよいといえます。

(3)離婚協議

離婚を切り出した後は、離婚するかどうかや、離婚条件などを夫婦間で話し合うことになります。この話し合いのことを離婚協議といいます。

DV・モラハラの加害者は離婚に反対することが多く、冷静に話し合うことが難しいケースも多いので、無理に面と向かって話し合う必要はありません。メールやLINE、手紙など、安全な方法で話し合いを進めましょう。

弁護士を通じて離婚協議を行うのもおすすめです。

(4)離婚調停

夫婦だけで話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。

調停では、裁判所の調停委員会が中立・公平な立場で当事者双方から個別に言い分を聞き、調整しながら話し合いを進めていきます。そのため、冷静かつ建設的に話し合いを進めやすくなり、合意による解決も期待できます。

夫婦が一定の内容で合意に至れば調停が成立し、その時点で調停離婚が成立します。慰謝料についても調停手続きを通じて話し合い、金額や支払い方法を取り決めます。

合意できなかった場合は調停不成立となり、次の離婚裁判に進みます。

(5)離婚裁判

離婚裁判では、当事者双方が言い分をまとめて記載した書面や、主張を裏づける事実を立証できる証拠を提出し合います。

原告・被告の本人尋問や証人尋問などの証拠調べ手続きを経て、最終的には裁判所が判決で離婚の可否や、慰謝料請求の可否・金額などを決めます。

離婚成立と適正な金額の慰謝料を獲得するためには、有力な証拠が必要不可欠ですので、事前に証拠を集めておくことは重要です。

4. DV・モラハラ加害者からの避難方法

DV・モラハラを理由として離婚する場合には、くれぐれも身の安全を第一にお考えください。安全に離婚するためにも、必要に応じて相手から避難することが重要です。

避難方法としては、以下のことをチェックしておきましょう。

(1)避難するための相談先

避難先としては、実家や一般の賃貸住宅の他にシェルター(一時的に居住できる保護施設)もあります。

適切な場所に避難するためには、以下の窓口にご相談ください。

  • DV相談ナビ(電話:#8008)
  • DV相談+(プラス)(電話:0120-279-889)
  • 警察相談専用電話(電話:#9110)
  • 配偶者暴力相談支援センター(各地の女性相談支援センター、男女共同参画センター、児童相談所、福祉事務所など)

急を要する場合は、最寄りの警察署や交番に駆け込んでいただいても構いません。落ち着いたら、弁護士に相談して今後の検討を進めることをおすすめします。

(2)身の安全を守るための法的措置

別居後も配偶者からのDV・モラハラ行為が続くなどして身の危険を感じるときは、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV防止法)に基づく以下の保護命令を申し立てることができます。

  • 被害者への接近禁止命令
  • 被害者への電話等禁止命令
  • 被害者の同居の子への接近禁止命令
  • 被害者の同居の子への電話等禁止命令
  • 被害者の親族等への接近禁止命令
  • 退去等命令

保護命令が発令されると、一定の期間にわたって特定の行為が禁止されます。相手が保護命令に違反してDV・モラハラ行為を継続した場合は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という刑事罰の対象となります。

保護命令を発令してもらうためには裁判所への申し立てが必要なので、スムーズに身の安全を確保するためにも、速やかに弁護士へ相談した方がよいでしょう。

(3)弁護士への依頼

DV・モラハラ加害者と離婚し、慰謝料を請求するためには、弁護士へ手続きを依頼するのがおすすめです。

弁護士は、代理人として離婚協議から離婚調停、離婚裁判、さらには証拠集めに至るまで、全面的にサポートします。被害者が直接、加害者とやりとりする必要はありません。

慰謝料についても、弁護士が事案の内容に応じて適切な金額を請求し、加害者との交渉や裁判の手続きを進めますので、満足できる結果が期待できます。

配偶者からのDV・モラハラで離婚をお考えの方は、ひとりで抱え込まず、お気軽に弁護士へご相談ください。

倉内 怜弁護士によるポイント解説

(弁護士に相談すれば、状況に応じて、請求の可否やどの手続を選択するのがよいのか、メリットデメリットも踏まえて、最適な判断材料を提供してくれるでしょう。まずは相談してみて、信頼できる弁護士を見つけることが肝要です。)
倉内 怜

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

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  • こちらに掲載されている情報は、2026年04月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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