離婚したいなら知っておくべき条件、手続きと必要な準備、相談先を解説
「離婚したい」と思い、感情に任せて行動してしまうと、後で後悔してしまうかもしれません。離婚は人生に大きな影響を与える重要な決断になるからこそ、冷静に準備を進めることが重要です。
離婚を決断する前に一度整理しておきたいポイントを確認しておくとよいでしょう。
- 離婚後の生活費や住まいの確保が可能か
- 子どもの生活環境や教育への影響はどうか
- 財産分与や年金分割など経済面の見通しは立っているか
- 離婚を急ぐ必要が本当にあるのか
- 話し合いで解決できる可能性は残っていないか
これらを冷静に整理し、必要に応じて専門家に相談して進めるとよいでしょう。
本コラムでは、離婚する方法や主な注意点、困ったときの相談先などを解説します。
1. 主な離婚原因と「法定離婚事由」
まず、主な離婚原因や離婚が認められるケースについて確認しておきましょう。
(1)実際の離婚原因はどのようなものか?
離婚に至る理由は人それぞれですが、令和6年の司法統計年報(家事編 第19表)によると、離婚を申し立てた理由として多いのは、「性格が合わない」「精神的に虐待する」「異性関係」などでした。
参照:令和6年 司法統計年報(家事編 第19表)
やはり、日常生活に支障が出る深刻な問題がきっかけになっているといえます。
(2)離婚が認められる要件(離婚事由)とは
離婚は、夫婦間の話し合いで決まるケースがほとんどです。しかし、夫婦のいずれか一方が離婚に応じない場合でも、民法第770条で定められた「法定離婚事由」に該当すれば、裁判での離婚が認められる可能性があります。
法定離婚事由は、以下の5つが規定されています。
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不貞行為
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悪意の遺棄
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3年以上の生死不明
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回復の見込みのない強度の精神病
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その他婚姻を継続しがたい重大な事由
このうち「⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、①〜④の事項と匹敵する、夫婦関係が回復不能なほどに破綻しているような事情を意味します。たとえば、離婚原因として多く挙げられる「性格が合わない、暴力を振るう、性的不調和、浪費する」などの事由が該当する可能性があります。
2. 離婚の種類と手続き
離婚には以下の4種類があります。
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協議離婚
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調停離婚
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審判離婚
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裁判離婚
まず「①協議離婚」を打診し、合意できなければ「②調停離婚」・「③審判離婚」・「④裁判離婚」へと段階的に手続きを進めるのが一般的です。
ここから、それぞれの手続きについて解説します。
①協議離婚(民法第763条)
夫婦双方の話し合いにより離婚する方法です。日本における離婚の多くは、この方法によって行われます。
離婚について合意した後に市区町村役場に離婚届を提出すると、離婚が成立します。
| メリット | デメリット |
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②調停離婚(家事事件手続法第244条)
夫婦の一方が家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を交えて離婚条件について話し合う方法です。
調停期日に調停委員が双方からの言い分を聞き、意見の調整を図ります。調停は1回あたり約2時間で、約30分ずつ交互に話を聞くのが一般的です。
調停の結果、双方が合意した場合は調停が成立し、「調停調書」が作成されます。その後、調停成立日から10日以内に離婚届と調停調書謄本を市区町村役場に提出することが必要です。
| メリット | デメリット |
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③審判離婚(家事事件手続法第284条)
調停が不成立となった場合に、家庭裁判所の判断によって離婚条件を取り決める方法です。裁判所が必要と判断した場合に実施されるので、審判離婚を開始するための手続きは不要です。
審判が下されると「審判書」が作成され、審判の翌日から2週間以内に異議が申し立てられなければ審判が確定します。その後、審判確定日から10日以内に、離婚届と審判書謄本を市区町村役場に提出する必要があります。
| メリット | デメリット |
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審判離婚は制度上設けられていますが、裁判官が決定した内容に対して当事者が異議を申し立てることができるため、実務上はほとんど利用されていません。
審判離婚が利用されるのは、「当事者がほぼ合意済みだが細かい条件調整だけ裁判所に委ねたい場合」や、「片方が無断欠席している等で実質的争いがない場合」など、ごく例外的な事例のみです。
調停が成立しない場合は、通常は訴訟(裁判離婚)へ移行するのが一般的です。
④裁判離婚(民法第770条)
協議・調停でも離婚が成立しない場合に、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚する方法です。訴訟提起後は、月1回程度のスパンで裁判開廷日が設定され、口頭弁論等が行われます。
双方が合意すれば和解により離婚が成立する場合もありますが、和解が成立しない場合には判決が下されます。離婚を認める判決内容であれば、離婚が成立します。判決に納得がいかない場合には、判決から2週間以内に控訴を提起できます。
その後、判決確定日から10日以内に、離婚届と判決謄本を市区町村役場に提出する必要があります。
| メリット | デメリット |
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3. 離婚するための準備や手続きは?
離婚する際に知っておきたいポイントがあるので、確認しておきましょう。
(1)離婚をするにあたって事前に準備しておくべきこと
感情だけで離婚を進めると、思わぬトラブルが生じる可能性があります。相手に離婚を切り出す前に、「確認しておくべきこと」と「やってはいけないこと」に目を通しておくと安心です。
| 確認しておくべきこと | やってはいけないこと |
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(2)別居を開始する場合の注意点
離婚を見据えて別居を始めるケースもありますが、注意が必要です。別居中でも夫婦間には扶養義務があるため、婚姻費用(生活費)を請求できる場合があります。また、親権を争う場面では、どちらが主に子どもを養育していたか(監護実績)が重要視されます。
一方で、相手に無断で別居すると、後の交渉や調停で不利になるおそれもあります。別居を開始する前に、弁護士に相談しておくと安心です。
(3)離婚時に決めておくべき5つの条件
離婚手続きは様々ありますが、どの手続きを利用したとしても、以下5つの条件を決める必要があります。不利な条件とならないよう、各項目について理解しておきましょう。
①慰謝料
相手方に不倫やDVなどの事実があれば、慰謝料を請求できます。慰謝料は夫婦間で自由に決められますが、相場は100万円〜300万円程度です。
慰謝料の算定基準や慰謝料請求の方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
②年金分割
年金分割とは、夫婦が婚姻期間中に納めた年金を分け合うことをいいます。離婚後の年金受給額の夫婦間格差を調整し、年金保険料の納付が少ない方の老後を支えるための制度です。
相手方が厚生年金または共済年金に加入していれば、年金分割を請求できます。
③財産分与
財産分与とは、婚姻後に形成された夫婦の共有財産を公平に分け合うことをいいます。
財産分与の対象となるのは、現金や預貯金、不動産、車などのほかにも、退職金、保険(解約返戻金がある場合)、株式・投資信託、仮想通貨など多岐にわたります。資産の種類によっては評価方法が難しいこともあるため、専門家の助言を受けながら整理しておくと安心です。財産分与の割合は2分の1ずつとなるのが原則ですが、夫婦間で自由に決定できます。不動産や自動車などは、金銭換算して分け合うのが一般的です。
④婚姻費用
婚姻費用とは、婚姻期間中に夫婦や子どもが生活を維持するために必要な生活費をいいます。夫婦や親子には扶養義務があるため、離婚前であれば別居中であっても請求できます。
金額は家庭裁判所が作成する算定表をもとに決定されることが多いですが、夫婦間で自由に決定できます。
⑤親権・養育費・面会交流
未成年の子どもがいる場合は、親権者を決めなければ離婚できません。協議や調停で決まらない場合には、裁判で親権者を決定します。
親権のほか、養育費の金額や支払方法、面会交流の具体的な内容についても取り決めておく必要があります。
養育費の相場や算定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
なお、調停離婚では調停調書、審判離婚では審判書、裁判離婚では判決書に合意内容が記載されます。しかし、協議離婚の場合は書面の作成は必須ではありません。口約束だけだとトラブルになりやすいので、合意内容を「離婚協議書」として書面に残すようにしましょう。
●親権を決める際に考慮されるポイント
親権を争うことになった場合、裁判所は以下のような事情を総合的に見て判断します。
- 子どもの年齢や健康状態
- これまでの監護状況(誰が主に養育してきたか)
- 住まいや生活の安定性(経済状況や教育環境など)
- 子どもの意思(年齢によって考慮される)
- 兄弟姉妹をなるべく分けない配慮
親権について争いが生じそうな場合は、早めに弁護士へ相談し、方針を整理しておくことが大切です。
4. DVやモラハラが原因で離婚を考えている方へ
配偶者からの暴力(DV)や精神的な嫌がらせ(モラハラ)に悩んでいる場合は、まず身の安全を確保することが最優先です。各自治体の配偶者暴力相談支援センターや女性相談センター、警察の相談窓口に早めに相談してください。
状況によっては、一時的なシェルターでの保護や、接近禁止命令・保護命令といった法的な保護措置も利用できます。これらの手続きや今後の方針についても、弁護士の助言を受けることをおすすめします。
5. 離婚について誰に相談すればよい?
離婚は今後の人生を左右する大きな決断となるので、不安があれば、信頼できる人や専門家に相談しましょう。
(1)主な相談先6つ
ここでは、主な相談先や特徴、向いているケースをまとめました。
| 相談先 | 向いているケース | 特徴 |
|---|---|---|
| ①知人・家族 | 離婚するか迷っているとき |
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| ②夫婦カウンセラー | 夫婦関係を修復したいとき | 第三者による適切なサポートを受けられる |
| ③市区町村の窓口 | 離婚の際の手続きや必要書類を知りたいとき | 無料で制度や書類などの案内してもらえる |
| ④配偶者暴力相談支援センター | DVを受けているとき | カウンセリングや緊急時における一時保護などを受けられる |
| ⑤探偵 | 不倫の証拠を掴みたいとき | 裁判で使える証拠を秘密裏に収集できる |
| ⑥弁護士 | 離婚問題全般を相談したいとき |
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上記のうち、おすすめの相談先は弁護士です。なぜなら、弁護士には離婚問題全般を相談でき、離婚に関わる重要なポイントについて法的アドバイスを受けられるからです。
また、法律や判例に基づき離婚条件を適切に調整するため、不利な条件で合意してしまうリスクを下げられます。
相談先に迷ったら、まずは弁護士に相談しましょう。
(2)弁護士費用の相場
離婚の合意だけを争点とした場合の弁護士費用の相場と費用内訳は、以下の通りです。
| 費用項目 | 協議離婚 | 離婚調停 | 離婚裁判 |
|---|---|---|---|
| 相談料 | 30分あたり0円〜1万円 | 30分あたり0円〜1万円 | 30分あたり0円〜1万円 |
| 着手金 | 20万~40万円 | 30万~40万円 | 30万~50万円 |
| 報酬金 | 30万~60万円 | 30万~60万円 | 30万~60万円 |
| 実費 | 数万円程度 | 数万円程度 | 数万円程度 |
| 日当 | 2万円〜5万円 | 2万円〜5万円 | 2万円〜5万円 |
| 合計 | 60万~70万円 | 60万~80万円 | 80万~100万円 |
なお、弁護士に養育費や財産分与、慰謝料などの交渉も依頼した場合には、獲得した金額に応じた10%〜16%程度の成功報酬が追加で発生することが多いです。
(3)弁護士費用を抑える方法
弁護士費用をできるだけ抑えたい場合、以下の手段を検討しましょう。
①法テラス(日本司法支援センター)を利用する
法テラスは、国が設立した法的トラブルを解決する総合案内所です。無料法律相談や弁護士・司法書士費用等の立替えを行っていますが、利用するには収入と資産が一定額以下でなければならない点に注意が必要です。
②複数の事務所から見積もりを取る
サービス範囲や料金体系は事務所ごとに異なります。複数の事務所から比較するために複数から見積もりを取ることで、自分に合った弁護士が見つかるでしょう。
③早めに相談する
早めに弁護士に相談することで、夫婦間の話し合いで解決できる可能性が高くなり、結果として弁護士費用を抑えられます。
離婚を考え始めた段階で弁護士に相談して、円滑に離婚手続きを進めましょう。
なお、離婚準備についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
- こちらに掲載されている情報は、2025年08月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。