不倫慰謝料請求でのポイントと弁護士に依頼したときの流れ

不倫慰謝料請求でのポイントと弁護士に依頼したときの流れ

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

不倫・浮気が発覚して不倫慰謝料を請求する際には、知っておきたい重要なポイントがあります。

本コラムでは、不倫慰謝料請求のポイントや弁護士に依頼する場合の流れを解説していきます。

1. 不倫での慰謝料請求で知っておくべきポイント

不倫を理由とした慰謝料請求のために知っておくべきポイントをご紹介します。

(1)慰謝料請求が認められる条件

不倫(不貞行為)は配偶者と不倫相手の「共同不法行為」にあたり、不倫の慰謝料は両者が連帯して支払う義務があります(民法719条)。したがって、「配偶者」と「不倫相手」の両方、もしくはどちらかに対して請求することができます。

ただし、不倫の慰謝料を請求するためには一定の条件を満たさなければなりません。

そもそも、不倫の慰謝料請求は、民法709条・710条で定められる法的根拠がある請求です。

民法709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法710条

他人の身体、自由もしくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

引用:e-Gov法令検索「民法 第五章 不法行為(不法行為による損害賠償)

民法709条・710条の規定から、不倫の慰謝料を請求するためには、①故意または過失

②不倫による権利侵害という2つの条件を満たす必要があります。

  1. 故意または過失

    不倫の慰謝料請求は、相手に「故意または過失」が必要です。この場合の「故意」は意図的に不倫すること、「過失」は注意義務違反により不倫してしまったことを指します。

    具体的には、以下のケースは「故意または過失」があったと認められるでしょう。

    ・不倫だとわかっていて不貞行為を続けていたケース

    ・不倫相手は既婚者だと気づける状況にあったにもかかわらず気づかないふりをしていたケース など

    逆にいえば、配偶者が独身だと不倫相手を騙していた場合、故意がある配偶者には慰謝料請求できますが、故意も過失もない不倫相手には請求できません。

  2. 不倫による権利侵害

    不倫による慰謝料請求をするためには、不倫による「権利侵害」を受けたという事実が必要です。

    夫婦には「婚姻生活の平和を維持する権利」があります。不倫によって夫婦関係が破綻した場合、不倫をされた配偶者はこの権利を侵害されたことになるため慰謝料を請求できるのです。

これらの条件を満たしているからといって、自分で慰謝料請求をすることはおすすめしません。

相手に慰謝料を支払ってもらうためには証拠収集や手続き等、自分だけでやろうとすると難しいこともあるからです。

(2)不倫の慰謝料請求には時効がある

不倫の慰謝料請求は、無期限にできるわけではありません。

配偶者の不倫(不貞行為)・不倫相手を知った時から3年間、不貞行為があった時から20年間が経過すると、不倫の慰謝料請求は「時効」によりできなくなってしまいます。

そのため、不倫の慰謝料請求を検討している場合は早めに行動することが大切です。

2. 不倫問題で弁護士に依頼するメリットとは

不倫問題は弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼するメリットを3つ紹介します。

(1)早期解決が期待できる

自分で相手方と交渉をすると感情的になり、冷静に話し合いを進められず長期化するおそれがあります。

弁護士に相手方との交渉を任せることで、話し合いが円滑に進むことで、不倫問題が早期に解決する可能性があります。

(2)精神的ストレスが軽減される

加害者である配偶者や不倫相手との交渉は、精神的なストレスがかかります。

弁護士からアドバイスを受けられることや、相手方との交渉を任せられることで相手方とのやり取りなどによる精神的なストレスが大きく軽減されます。

(3)トラブルをあとに残さない

弁護士に相手方との交渉を任せ、示談書などの書類作成や手続きなども任せることで、紛争の蒸し返しのリスクなくトラブルを解決できます。

3. 弁護士相談から解決までの流れ

弁護士への初回相談から解決までの流れをみていきましょう。

(1)初回相談の準備と流れ

まずは初回相談の前に準備すべきことや、お問い合わせから初回相談までの流れを解説します。

①相談前にしておくべき準備

初回相談の前に、以下の準備をしましょう。

  • 証拠を集める
  • 時系列の整理
  • 資料があればまとめる
  • 自分の希望や質問をまとめる

証拠の具体例は以下のとおりです。

  • 肉体関係を裏付ける証拠(例:写真や動画)
  • 不倫を認める会話の録音
  • 不倫していることがわかる配偶者と不倫相手とのメールやSNS、手紙などのやりとり
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細書
  • 興信所や探偵事務所の報告書 など

なお、証拠集めに関して、証拠がない・乏しい・弱いのではないかと心配な場合でも、弁護士に相談することで良い方法が見つかる可能性もあります。

②お問い合わせから初回相談までの流れ

お問い合わせから初回相談までの流れは以下のとおりです。

  1. 弁護士事務所のHPから電話やメールで問い合わせる
  2. 初回相談の日程を調整する
  3. 初回相談をする

電話でお問い合わせの場合は電話受付時間を確認のうえ、お問い合わせください。

また、相談時には以下の持ち物を持参しましょう。

  • 証拠
  • 時系列をまとめたものなどの資料
  • メモや筆記用具
  • 本人確認書類や認印(その場で契約する場合)

また、初回相談では相談内容や慰謝料に関する希望、持参した証拠をもとに慰謝料請求が可能なのかなどを話します。

(2)弁護士と契約する際の手順

相談内容をもとに、弁護士から今後のプランや弁護士費用の見積書が提示されますが、その場で契約しなければならないというわけではありません。

依頼をすると決めた場合には、契約書を交わします。

(3)弁護士依頼後の慰謝料請求までの流れ

不倫相手のみに請求する場合と、不倫相手と配偶者に請求する場合それぞれに応じた請求の流れについて説明します。

①不倫相手のみに請求する場合

不倫相手のみに請求する場合の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 証拠収集や資料作成などの準備をする
  2. 内容証明郵便を送付して慰謝料を請求する
  3. 不倫相手と話し合う
  4. 示談内容を示談書などの書面にする

話し合いで解決しない場合や、内容証明郵便を無視された場合は次に裁判を起こします。その後の手続きや流れを専門家と相談することが必要になります。

②不倫相手と配偶者に請求する場合

不倫相手と配偶者に請求する場合の主な流れは以下のとおりです。

  1. 証拠収集や資料作成などの準備をする
  2. 配偶者と不倫相手に直接、あるいは内容証明郵便で慰謝料請求する
  3. それぞれ、あるいは同時に慰謝料についての交渉をする
  4. 交渉成立の場合、それぞれと示談書を作成する

配偶者と慰謝料請求と同時に離婚する場合、交渉が決裂したら「離婚調停」、調停不成立なら「離婚裁判」を起こして慰謝料問題や離婚問題の解決を目指します。

以上が慰謝料請求の流れです。

4. 不倫慰謝料請求の注意点

自分が不利にならないために、不倫の慰謝料請求時に注意していただきたいポイントをご紹介します。

(1)証拠集めは慎重に

不倫に気がついて証拠集めをしていることが相手にバレてしまうと、証拠隠滅をされてしまう可能性が高いでしょう。

それを防ぐためにも、たとえば「興信所や探偵事務所に依頼し、自分で行動しすぎない」というように、証拠集めは慎重に行うべきです。

(2)不倫相手のみに請求する場合は「求償権」に注意

不倫相手のみに請求する場合、不倫相手から「求償権」を行使される場合があります。

「求償権」は、連帯債務者の一方が、自分の負担割合を超える部分を被害者に支払った場合、超える部分について他方の連帯債務者に求償できる権利です。

不倫の慰謝料については、配偶者と不倫相手が連帯債務を負っていることから、不倫相手のみに慰謝料請求をすると、不倫相手に支払った慰謝料の半額を不倫した配偶者が請求される可能性が高いでしょう。

配偶者と離婚しない前提で不倫相手にのみ慰謝料を請求するのであれば、示談交渉で求償権を放棄させる方法もあるので、弁護士に相談してみてください。

(3)弁護士費用は慰謝料と併せて請求はできないことが多い

示談が成立した場合、弁護士費用は依頼者が負担するのが一般的です。ただし、訴訟に発展し、慰謝料請求が認められた場合は弁護士費用も相手に請求できるケースもあります。

不倫の慰謝料請求の際は、以上のポイントに注意して行うようにしましょう。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2025年03月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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