
離婚問題に親が介入してきた! スムーズな解決方法は?
離婚を決断し、夫婦で話し合いを進めていたところ、相手の親が介入してきて話が進まなくなったといったケースは少なくはありません。
離婚問題に親が介入してきた場合、スムーズに解決するにはどうすればいいのでしょうか?
本コラムでは、離婚問題に親が介入してきた場合の対処法を解説します。
1. 離婚問題に親が介入してくるのはなぜ?
本来、離婚問題は夫婦の問題のはずです。ではなぜ親が介入してくるのでしょうか?
離婚問題に親が介入してくるケースや、親の介入によるリスクについて説明します。
(1)離婚問題に親が介入してくる主なケース
夫婦の離婚問題について親が介入してくる、よくあるケースを3つみてみましょう。
- 離婚するなと言われる
- 親同士が揉める
- 子どもの親権について口を挟まれる
1. 離婚するなと言われる
最初にご紹介するのは、親から「離婚するな」と言われるケースです。
たとえば、夫がいわゆるマザコン(母親への愛情・執着が強い人)のケースでは、それまで離婚に同意していた夫が「お母さんが離婚するなっていうから」といって離婚を拒否し、話し合いが振り出しに戻ってしまうことがあります。
このように、離婚の話し合いが円滑に進んでいても、義両親から「離婚するな」と介入されると、思うように離婚の話し合いが進まなくなってしまうことがあるのです。
2. 親同士が揉める
離婚問題で親が介入するケースでは「親同士が揉める」というケースもよくあります。
たとえば、夫が不倫をした妻に対して離婚を請求したところ、妻の両親が「娘の不倫は夫の責任」など、娘をかばって夫を非難したとしましょう。この場合、妻の両親に対して夫の両親が反論をすることで、夫婦間の離婚問題が両家の両親を巻き込んでの紛争になってしまうのです。
親同士が揉めると、その分離婚問題の解決に時間を要するでしょう。
3. 子どもの親権について口を挟まれる
「子どもの親権について口を挟まれる」というケースもよくあります。
親権について当事者同士で納得した上で親権者が決まっていたとしても、非親権者となった側の親が納得できずに「子供の親権をうちの子に渡しなさい」などと口を挟むことで、離婚成立に時間がかかってしまうことがあるのです。
(2)離婚問題での親の介入によるリスク
離婚問題で親が介入すると、以下のリスクが生じます。
- 家族関係の悪化
- 法的な問題の発生
- 精神的負担の増加
それぞれのリスクについて、詳しい内容をみていきましょう。
1. 家族関係の悪化
親が介入するまで話し合いが円滑に進んでいたとしても、親の介入を受けることで親子関係が悪化する場合もあります。
たとえば、我が子のためを思うがゆえに、夫の親が妻に対していやがらせをしたり、法的な問題になる行為(次に詳しく解説)をしたりして、結果的に夫に不利な条件で離婚が成立した場合、夫と親との親子関係が悪化する可能性があるでしょう。
2. 法的な問題の発生
親の介入が、以下のような法的問題になる場合もあります。
-
器物損壊罪(刑法261条)
たとえば、離婚協議中に相手の親が夫婦の財産を勝手に処分した場合、その行為は「器物損壊罪」が成立する可能性があるほか、相手親に対し損害賠償を請求できる可能性があります。
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未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)
自分の子どもが親権を取れないことに納得がいかない親が勝手に「子どもを連れ去る」といったケースでは、「未成年者略取・誘拐罪」に問える可能性があるでしょう。
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名誉毀損罪(刑法230条)
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した者に対して成立する罪です。たとえば、義両親が会社の前で、「あの人は不倫をした」「子供を虐待した」などの発言をした場合、「名誉毀損罪」が成立する可能性が高いでしょう。
このように、親の「子どものために」という思いが犯罪行為に該当してしまう場合もあるのです。
3. 精神的負担の増加
親の介入によってトラブルが発生すると、ただでさえ精神的負担がかかる離婚問題が複雑になります。結果として、当事者の精神的負担が増加してしまうでしょう。
2. 離婚問題に親が介入してきた場合の対処法と注意点
離婚問題に親が介入してきた場合の3つの対処法と、注意点を解説します。
(1)夫婦だけで話し合いを進める
離婚問題は、なるべく夫婦だけで話し合いを進めることが大切です。そのため、親が介入してきた場合は、はっきりと「夫婦だけで話し合いたい」ということを親に伝え、親からの理解が得られるようにしましょう。
(2)離婚の話がまとまるまで親との連絡を控える
「夫婦だけで話し合いたい」と親に伝えても、介入をやめない親もいます。その場合は、離婚問題が解決するまで親との連絡を控えましょう。
親と同居している場合も、話し合いは別の場所で行うなど、なるべく親が介入しにくい状況をつくることが大切です。
(3)弁護士に相談する
どうしても親の介入を防ぐことができない場合、弁護士に相談しましょう。弁護士が間に入ることで、離婚問題が解決に向けて進むといったメリットもあります(4章で詳しく解説)。
なお、離婚協議中に子どもを預けたり、離婚届の証人になってもらったりなど、場合によっては親の協力が必要なケースもあるため、関係を無闇に悪化させるような方法は取らないようにしましょう。
3. 親の介入で離婚の話が進まないときはどうする?
親の介入で離婚の話が進まないときは、「離婚調停」の申し立てや、「離婚訴訟」の提起を検討しましょう。
「離婚調停」と「離婚訴訟」の詳しい内容について説明します。
(1)離婚調停
「離婚調停」は、家庭裁判所に申し立て、調停委員会の仲介の元で話し合って離婚問題を解決していく制度です。
離婚調停で合意すると調停調書が作成され、離婚調停が成立します。
(2)離婚訴訟
離婚調停が不成立になった場合に行うのが、「離婚訴訟」の提起です。当事者の主張・提出された証拠などをもとに、裁判官によって争いについての判断が下されます。
4. 弁護士に相談するメリット
離婚問題に親が介入しそうな場合や、すでに親の介入がある場合、弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士という第三者が入ることで、親に干渉されにくくなり、話し合いが円滑に進むことが期待できます。
また、不利な条件での離婚を避けられるというメリットがある他、違法行為があった場合に損害賠償(慰謝料)を請求する手続きも任せることが可能です。
さらに、調停・訴訟に発展した場合も裁判手続きなどの対応を一任できるなど、弁護士に相談するメリットは多岐に渡ります。
離婚問題に関する疑問への回答も弁護士から得ることができますので、親の介入で離婚が進まない場合は、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2025年01月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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