離婚したいけどお金がない! かかる費用やもらえる費用を確認
離婚をしたくても離婚をするにはどれくらいの費用が必要なのかわからず、不安を感じる方も少なくありません。離婚をするときは、離婚成立までにかかる費用と合わせて、離婚後にかかる費用やもらえる費用を知っておくことが大切です。
本コラムでは、離婚をするときに必要な費用や受け取ることができる費用について解説します。
1. 離婚したいけど費用が不安! どれくらいの費用が必要?
離婚をしたくても実際に離婚をするのに必要な費用がどれくらいあるのかわからず不安を感じる方も少なくありません。離婚に必要な費用をみていきましょう。
(1)別居をするための費用
離婚をする場合、持ち家に住んでいたとしてもどちらかが賃貸物件を契約するか実家に戻ることになります。実家に戻る場合は引っ越し費用のみで済む可能性がありますが、賃貸物件を契約する場合はそうはいきません。具体的には以下の費用が必要になります。
- 引っ越し費用
- 敷金礼金
- 保証金
- 仲介手数料
- 新しい家具や家電の購入費用
など
費用はおおよそ50万円用意しておいた方がよいでしょう。
(2)別居後・離婚後にかかる費用
別居後や離婚後には、家賃以外にも食費や水道光熱費、通信費などの生活費が必要になります。
最低でも、3か月分の生活費として50万円は用意しておいた方がよいでしょう。
(3)離婚にかかる費用
離婚をする方法は「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの方法があります。それぞれ必要な費用をみていきましょう。
①協議離婚の場合
協議離婚は夫婦で話し合って離婚届を提出し離婚を成立させる方法です。離婚届の提出にはお金がかからないため、この方法であれば特に費用はかかりません。
ただし、後のトラブルを防ぐためにも離婚条件(養育費や財産分与など)の内容は「公正証書」にすることをおすすめします。公正証書は公証役場で公証人に作成してもらう公文書です。
離婚に関して公正証書を作成する場合は、手数料として数万円は必要になるでしょう。
②調停離婚
協議離婚が不成立に終わった場合、家庭裁判所に「離婚調停」の申し立てを行い、調停委員や裁判官の仲介のもと話し合いを行います。離婚調停が成立すると、調停調書と離婚届を市町村役場に提出して離婚に至る方法が「調停離婚」です。
離婚調停には、おおよそ数千円必要になります。
③裁判離婚
離婚調停が不成立になると、「離婚裁判(離婚訴訟)」の申し立てを行いましょう。離婚裁判では、当事者の主張や資料・証拠をもとに裁判官に判決を下されます。判決書の謄本を添えて市町村役場に離婚届を提出すれば「裁判離婚」が成立です。
離婚裁判には、おおよそ数万円必要になります。
(4)弁護士費用
協議離婚で配偶者との交渉や公正証書の作成を弁護士に依頼する場合や、離婚調停や離婚裁判の手続きを依頼する場合は前述の費用とは別に費用が必要です。
弁護士費用には着手金、報酬金、実費などがあります。弁護士費用は案件の内容や弁護士事務所ごとに異なりますが、数十万円以上は用意しておいた方がよいでしょう。
2. 離婚することでもらえるお金がある?
離婚をするためにはさまざまな費用が必要になりますが、受け取ることができる費用もあります。別居中に受け取れる費用や、離婚することで受け取れるお金、国や自治体から受けられる支援についてみていきましょう。
(1)別居中は婚姻費用を請求できる
別居開始から離婚成立までの期間は「婚姻費用」を請求することができます。婚姻費用は家族が生活していくために必要な費用です。具体的に含まれる費用は以下のとおりです。
- 衣食住の費用
- 出産費
- 医療費
- 未成熟子の養育費
- 教育費
- 交通費
など
婚姻費用はまずは話し合いによって毎月いくらの金額にするのか決めていきます。金額の参考にするのは裁判所が公表している「婚姻費用算定表」です。
話し合いで決められない場合は調停、調停が不成立の場合は「審判」で裁判官によって金額を決められます。
(2)離婚することで受け取れるお金がある
離婚することで主に4つの費用を受け取ることが可能です。
- 養育費
- 財産分与
- 慰謝料
- 年金分割
①養育費
養育費は未成熟子に対して支払われる費用です。未成熟子は経済的・社会的に自立していない子どものことで、親には教育費や医療費など、未成熟子の監護・教育のための費用を支払う義務があります。
養育費の金額は自由に決められますが、婚姻費用と同様、裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に決めることが一般的です。
②財産分与
婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産を離婚するときに分けることを「財産分与」といいます。財産分与の対象となる財産(共有財産)は以下のとおりです。
- 現金や預貯金
- 家具家電
- 自動車
- 家や土地などの不動産
- 退職金
など
原則、夫婦で半分ずつに分けます。
③慰謝料
離婚が法的に認められる離婚原因(法定離婚事由)を作った配偶者には損害賠償請求として慰謝料を請求することが可能です。民法770条には以下の5つが法定離婚事由として定められています。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
たとえば離婚原因が相手の不貞行為だった場合、相手の不貞行為によって精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償として慰謝料を請求することができるのです。
ただし、そのためには証拠を集めておく必要があります。証拠がないと相手が事実を認めず、支払いを拒否されてしまう可能性があるからです。したがって、慰謝料の請求をする前に必ず証拠集めを行いましょう。
④年金分割
「年金分割」は夫婦が離婚する場合に婚姻期間中に納付した厚生年金を分割し、それぞれの年金にすることができる制度のことです。年金分割できるのは「厚生年金」に限るため、将来受け取れる年金は分けられません。
年金分割をしないと、たとえば長期間専業主婦だった場合、将来受け取れる年金の金額が減ってしまうため、必ず年金分割の話をしましょう。
なお、年金分割は「年金事務所」または「街角の年金相談センター」に「標準報酬改定請求書」を提出する必要があります。また、離婚の翌日から2年が経過すると原則請求できなくなることを留意してください。
(3)国や自治体からさまざまな助成金や税金の減免といった支援を受けることができる
国や自治体で実施している支援策を3つご紹介します。
-
生活保護
-
児童扶養手当
-
自治体で実施している育成手当
①生活保護
「生活保護」は生活が困窮している人に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長する制度です。生活保護を受けると「保護費」を支給されます。保護費がどれくらいもらえるかは地域や家庭状況によっても異なるため、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に確認しましょう。
②児童扶養手当
「児童扶養手当」は父母の離婚や死別などの事情で児童をひとりで養育している「ひとり親世帯」に支給されるお金です。申請先はお住まいの市町村役場で、子どもの人数や所得によって支給額が決まります。
③自治体で実施している育成手当
育成手当は児童が18歳になるまでひとり親世帯に支給される手当です。自治体によっては実施していないところもあります。各自治体により受給の制限が異なるため、お住まいの自治体にご確認ください。
この他にも特別児童扶養手当や母子家庭等の住宅手当、ひとり親控除や保育料の減免など、自治体ごとにさまざまな支援策があります。離婚に備えて、引っ越す場合は引っ越し先の自治体、そうでない場合は現在お住まいの自治体に利用できる支援策について確認しておきましょう。
3. 弁護士に相談するメリット
弁護士に相談をすると、離婚をするためにどれくらいの金額が必要か、どれくらいのお金を得ることができそうかといったアドバイスが受けられます。
また、相手との交渉や裁判手続きを一任することも可能です。
弁護士費用がご心配であれば無料相談を行っている場合もありますので、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2024年09月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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