【年収別に解説】子どもが2人いる場合の養育費の相場はいくら?
「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、子ども2人の場合における養育費の1世帯平均月額は、母子世帯で5万7954円、父子世帯で2万8777円でした。
養育費の金額相場は、子どもの人数・年齢や両親の収入バランスによって決まります。上記の額はあくまでも平均であり、子ども2人のケースすべてに当てはまるものではありません。弁護士のアドバイスを受けながら、適正額の養育費を取り決めましょう。
本コラムでは、子どもが2人いる場合の養育費相場や、養育費に関するその他のポイントについて解説します。
1. 養育費とは
養育費とは、子どもを養育するために必要な費用です。子どもがいる夫婦が離婚した場合、親権者でない側(=義務者)が親権者(=権利者)に対して、養育費を支払う義務を負います。
(1)養育費の法的根拠
養育費の支払義務は、親の子に対する扶養義務(民法第877条第1項)に由来します。
親同士が離婚しても、親子関係が終わるわけではありません。したがって、親の子に対する扶養義務は、親同士が離婚しても残ります。
子どもと一緒に住まなくなった親は、生活の中で養育費を負担することがなくなります。その代わりに、親権者である元配偶者に対して養育費を支払うことで、子どもに対する扶養義務を果たします。
(2)養育費に含まれる費用
養育費には、子どもの生活費・教育費・医療費など、子どもを育てるのに必要となる費用全般が含まれます。子どもが自立できるまでにかかる費用を、両親が収入バランスに応じて公平に分担するというのが、養育費の基本的な考え方です。
2. 【年収別】子どもが2人いる場合の養育費相場
養育費の金額については、子どもの人数・年齢や両親の収入バランスによって相場が決まっています。
たとえば、子どもが2人いるケースでは、子どもの年齢と義務者(=支払う側)・権利者(=受け取る側)の収入バランスに応じて、養育費の相場は下表のとおりとなります。
- ※権利者は給与所得者で、年収は200万円とします。
- ※給与所得者の収入は、保険料等が引かれる前の総支給額を用います。
- ※自営業者の収入は、確定申告を基にした実質収入を用います。
(1)義務者が給与所得者の場合
義務者の収入 | 子どもの年齢 | 養育費の相場額 |
---|---|---|
300万円 | 2人とも14歳以下 | 約3万4000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約3万7000円 | |
2人とも15歳以上 | 約3万9000円 | |
400万円 | 2人とも14歳以下 | 約5万1000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約5万5000円 | |
2人とも15歳以上 | 約5万8000円 | |
500万円 | 2人とも14歳以下 | 約6万8000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約7万3000円 | |
2人とも15歳以上 | 約7万8000円 | |
600万円 | 2人とも14歳以下 | 約8万4000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約9万円 | |
2人とも15歳以上 | 約9万5000円 |
(2)義務者が自営業者の場合
義務者の収入 | 子どもの年齢 | 養育費の相場額 |
---|---|---|
300万円 | 2人とも14歳以下 | 約5万2000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約5万6000円 | |
2人とも15歳以上 | 約5万9000円 | |
400万円 | 2人とも14歳以下 | 約7万2000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約7万8000円 | |
2人とも15歳以上 | 約8万2000円 | |
500万円 | 2人とも14歳以下 | 約9万4000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約10万1000円 | |
2人とも15歳以上 | 約10万7000円 | |
600万円 | 2人とも14歳以下 | 約11万5000円 |
1人は14歳以下、もう1人は15歳以上 | 約12万4000円 | |
2人とも15歳以上 | 約13万1000円 |
裁判所が公表している「養育費算定表」を用いれば、養育費の大まかな金額を簡単に求めることができます。子どもが2人のケースでは、その年齢に応じて表3・表4・表5のいずれかを用います。
出典:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」3. 養育費について、金額以外に取り決めるべきこと
養育費については、金額以外に以下の事項を取り決めておきましょう。
- 養育費の支払時期・支払方法
- 養育費の支払期間
(1)養育費の支払時期・支払方法
養育費の支払時期は、「毎月1回」とするのが一般的です。いつまでに養育費を支払う必要があるのかを明確に合意しておきましょう。
なお、両親の間で合意すれば、何か月分かの養育費をまとめて支払ったり、養育費全額を一括で支払ったりすることも認められます。その場合も、どのような形で養育費を授受するかを明確に合意することが大切です。
養育費の支払方法は、基本的には「銀行口座への振り込み」とするのが便利です。後から支払いの履歴を確認できるような方法を選択し、夫婦間で合意しましょう。
(2)養育費の支払期間
養育費をいつまで払うべきであるかは、個々の事情によって異なります。
養育費は、子どもが経済的に自立できるまで支払うというのが基本的な考え方です。しかし、自立年齢には子どもによって差があります。中学や高校を卒業してすぐ働くケースもありますし、大学卒業後も進学や留学などで経済的に自立できないケースもあります。
養育費の支払期間は、「高校を卒業するまで」「20歳になるまで」「大学を卒業するまで」などさまざまなパターンが考えられますが、子どもがいつ自立するのかを見据えて決めるべきです。また、当初の計画とは異なるキャリアを子どもが歩むようであれば、養育費の支払期間についても柔軟に変更することが求められます。
4. 養育費とその相場に関するQ&A
養育費とその相場について、よくある質問と回答をまとめました。
- Q1. 養育費が支払われなくなったらどうすればよい?
- Q2. 自分や元配偶者が再婚したら、養育費はどうなる?
Q1. 養育費が支払われなくなったらどうすればよい?
養育費が支払われなくなった場合には、「強制執行の申し立て」を検討しましょう。強制執行を申し立てれば、元配偶者の財産や給与などを差し押さえて、養育費の支払いに充てることができます。
強制執行を申し立てる際には、養育費に関する「債務名義」を提出しなければなりません。債務名義として用いることができるのは、「確定判決・和解調書・調停調書・審判書など」です。また、養育費の不払いが生じたら直ちに強制執行に服する旨が記載された「離婚公正証書」も、強制執行の債務名義として用いることができます。
また、強制執行の申し立てにあたっては、差し押さえる元配偶者の財産を特定しなければなりません。たとえば、「給与を差し押さえる場合は勤務先」、「預貯金を差し押さえる場合は金融機関名と支店名」を特定する必要があります。
差し押さえる財産の情報が分からないときは、「財産開示手続(民事執行法第196条以下)」や「第三者からの情報取得手続(同法第204条以下)」を利用する方法が考えられます。これらの手続きの利用については、弁護士にご相談ください。
Q2. 自分や元配偶者が再婚したら、養育費はどうなる?
再婚や再婚相手の連れ子との養子縁組により、義務者が扶養すべき人が増えた場合には、養育費の減額が認められることがあります。また、権利者の再婚などによって子どもを扶養する義務を負う人が増えた場合にも、養育費の減額が認められることがあります。
養育費の減額は、両親同士の協議または家庭裁判所の調停・審判によって取り決めることになります。
出典:裁判所「養育費(請求・増額・減額等)調停の申立て」- こちらに掲載されている情報は、2024年05月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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