破産管財人とは? 権限・役割についての基本を解説

破産管財人とは? 権限・役割についての基本を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

借金の返済が困難になった場合には、裁判所に破産申し立てをすることになります。ほとんど財産のない個人の破産事件であれば、同時廃止となりますが、法人の破産であったり、個人での財産がある方や借り入れの経緯に問題がある方については、管財事件になり、破産管財人が選任されることになります。

破産管財人とはどのような役割を担う人なのでしょうか。

今回は、破産管財人の権限や役割などの基本的事項を解説します。

1. 破産管財人とは

破産管財人とはどのような役割と権限を有しているのでしょうか。

(1)破産管財人とは

破産管財人とは、破産法上、破産財団に属する財産の管理・処分をする権利を有する人と定義されています(破産法2条12号)。簡単にいえば、破産者が持っている財産を管理し、それを処分してお金に換える人のことをいいます。

裁判所に破産の申し立てをすると、同時廃止事件か管財事件に振り分けられることになりますが、管財事件に振り分けられた場合には、裁判所によって破産管財人が選任されます。

(2)破産管財人の役割と権限

破産管財人には、以下のような役割と権限があります。

①破産者の財産の管理・処分

破産手続き開始決定があった場合には、破産者が有する財産の管理処分権は、破産管財人に移ることになります。借金の支払いができなくなった破産者では適切な管理が期待できないため、破産管財人が破産者に代わって財産管理を行うことになります。

また、破産者の財産は、破産債権者への配当の原資となりますので、金銭以外の財産については、原則として、すべて売却してお金に換える必要があります。そのため、破産管財人は、管理処分権を行使して破産者の財産を換価していくことになります。

②免責調査

裁判所から免責決定を受けることによって、借金をゼロにすることができますが、破産法では、一定の事由がある場合には免責決定を受けることができないとされています。これを「免責不許可事由」といいます。破産管財人は、破産者が破産に至った経緯などを調査して、免責が相当であるかどうかを検討します。

③債権者への配当

破産管財人が換価処分した破産者の財産については、債権者への配当にまわされます。債権者には破産法上優先順位が定められていますので、破産管財人は、各債権者の優先順位に従って公平に配当を実施します。

④否認権の行使

否認権とは、破産者による不当な財産減少行為などがあった場合に、その財産を取り戻すことができる権限をいいます。破産管財人は、破産者から財産を受け取った相手に対して、否認権を行使して財産の返還を求めていきますが、返還に応じない相手に対しては、訴訟を提起することもあります。

2. 破産管財人が必要となるケース

破産管財人が必要になるケースとしては、以下のケースが挙げられます。

(1)法人や事業者の破産の場合

法人や事業者は、個人とは異なり、さまざまな財産を有していますので、破産手続きにおいてその換価処分が必要になります。また、法人や事業者には、債権者、取引先、従業員などの利害関係人が複数存在しますので、利害関係人の利益を調整する必要があります。

そのため、法人や事業者が破産をする場合には、原則として破産管財人の選任が必要となります。

(2)一定額以上の資産を有している個人の破産の場合

個人の場合には、自己破産の申し立て後も生活を続けていかなければなりません。そのため、自己破産の申し立てをしたとしても、生活に必要となる範囲の財産については持ち続けることができます。

しかし、一定額以上の資産を有している場合には、それを換価処分して債権者への配当に回さなければなりませんので、破産管財人の選任が必要になります。破産管財人が選任される基準は、裁判所によって異なりますが、預貯金、保険の解約返戻金といった個別財産の金額が20万円を超える場合には、管財事件になることが多いです。

(3)免責不許可事由に該当する行為がある場合

破産者がギャンブルや浪費によって多額の借金をしたという場合には、免責不許可事由に該当する可能性があります。このような場合には、破産者に免責を与えてもよいかどうかをしっかりと調査する必要がありますので、破産管財人の選任が必要となります。

破産管財人の調査によって破産者の生活状況の改善が認められる場合には、免責不許可事由に該当する場合であっても、裁量免責が受けられる可能性があります。

3. 破産管財人の報酬

破産管財人が選任された場合には、破産管財人に対して報酬の支払いが必要になります。破産管財人への報酬は、破産者が負担しなければならず、破産申し立ての際に裁判所に支払う予納金から管財人への報酬が支払われます。

破産管財人への報酬は、個人の破産事件と法人の破産事件で金額が異なっておりますが、少額管財事件となった場合には、どちらも20万円が管財人への報酬となります。他方、通常管財事件となった場合には、個人の場合は最低50万円、法人の場合は最低70万円が管財人への報酬となります。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年12月02日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

借金・債務整理に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す

関連コラム

借金・債務整理に強い弁護士

  • 藤井 啓太 弁護士

    大阪バディ法律事務所

    大阪府 大阪市北区
    大阪府大阪市北区西天満4-15-18 プラザ梅新1516
    ・東梅田駅徒歩5分
    ・北新地駅徒歩5分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 全国出張対応
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    当日、休日、夜間の相談希望に関しましては、お問い合わせの上、確認くださいませ。

     
    注力分野

    債務整理に強い弁護士が手続を代行します!【相談無料】【電話相談可】【初期費用不要・分割支払OK】返済が困難/元本が減らない/取り立てが苦痛の方はご相談ください。

  • 佐藤 英生 弁護士

    宝塚ともり法律事務所

    兵庫県 宝塚市
    兵庫県宝塚市川面5-2-4 OZFLAT601
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 全国出張対応
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    詳細についてはhttps://tomori-law.com/をご参照ください。

     
    注力分野

    【初回相談無料・現役非常勤裁判官】相談しやすく包容力のある弁護士をお探しなら私にご連絡ください わかりやすい説明と経験に基づいた的確なアドバイスを心がけています

  • 小川 潤 弁護士

    滋賀バディ法律事務所

    滋賀県 草津市
    滋賀県草津市若竹町1-31 ひばりビル3階B号室
    JR草津駅徒歩 約5分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    当日、休日、夜間の相談希望に関しましては、お問い合わせの上、確認くださいませ。

     
    注力分野

    債務整理に強い弁護士が手続を代行します!【相談無料】【電話相談可】【初期費用不要・分割支払OK】返済が困難/元本が減らない/取り立てが苦痛の方はご相談ください。

  • 岩城 相浩 弁護士

    いわしろ法律事務所

    東京都 大田区
    東京都大田区西蒲田8-4-5 コアタカセ605
    JR、東急蒲田駅から徒歩2分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 24時間予約受付
    • 初回相談無料
     
    注力分野

    【年中無休】【弁護士直通】借金でお悩みのかたは、これ以上状況が悪くなる前にご連絡ください。任意整理、自己破産など、状況を改善しましょう。

  • 大塚 唯一 弁護士

    大塚法律事務所

    埼玉県 さいたま市浦和区
    埼玉県さいたま市浦和区岸町7-3-10-503 岸町コーポ
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 電話相談可
    • メール相談可
    • 法テラス利用可
    • 初回相談無料
     
    注力分野

    債務整理の様々な手続きを検討します。諦めずにご相談下さい。