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自己破産で車は没収される? ローンがあるケースについても解説
いくつもの金融会社からの借り入れや、カードローンによる借金で多重債務に陥り、返済が困難になった場合には、自己破産を検討する方もいらっしゃるでしょう。しかし、自己破産をするにあたってネックになるのが資産を没収されるということです。居住エリアによって車がなければ移動手段がなく、車が生活に欠かせないものとなっていることもあります。
車が生活必需品であっても、自己破産をした場合には手放さなければならないのでしょうか。今回は、自己破産でも車を没収されない条件などについて解説します。
1. 自己破産しても車が没収されない条件とは?
自己破産をした場合には、債務者の資産を清算し、債権者への返済にまわすのが原則です。車も資産として清算の対象になりますが、以下の条件を満たす場合には、例外的に、自己破産後も引き続き車を保有することができます。
(1)車の価値が20万円以下であること
自己破産をした場合には、自由財産に該当する財産を除き、すべての財産を清算し、換価処分するのが原則となります。自由財産とは、破産開始後に取得した財産、生活必需品(洗濯機、調理器具、29インチ以下のテレビ、冷暖房機器など)、当面の生活費として考慮される99万円以下の現金などです。
車は、基本的には自由財産には該当しませんので、他の財産と同様に換価処分されてしまいます。
しかし、車が減価償却期間を経過している場合には、多くのケースで、価値がゼロであるとみなすことができます。たとえば、普通乗用車であれば、初年度登録から6年、軽自動車であれば初年度登録から4年を経過していれば、減価償却期間を経過しており、原則として、無価値とみなされるため、換価処分は不要となります。
また、一般的に処分見込額が20万円以下の車については、自由財産の範囲を拡張することによって換価処分を免れることができる可能性があります。処分見込額は、車の買い取り業者などの査定によって明らかにしていきますので、複数の業者に査定をしてもらうか、日本自動車査定協会を利用するとよいでしょう。
(2)カーローンが残っていないこと
車をローンで購入しており、ローンが残っている場合には、車を手元に置いておくことはできません。ローンで購入した車は、ローンの完済まで車の所有権がローン会社に留保されているのが一般的です。
ローンが残っている状態で自己破産の手続きを進めていくと、ローン会社は留保していた所有権に基づいて車を引きあげてしまいます。引きあげられた車については、ローン会社によって売却処分され、残ローンの支払いに充てられることになります。
2. カーローンがある場合の対策
上記のとおりカーローンが存在している場合には、車を手元に残したまま自己破産の手続きを進めていくことは困難です。どうしても車を手放したくないという場合には、以下の方法を検討してみるとよいでしょう。
(1)第三者がローンの返済をする
カーローンが残っている状態で自己破産手続きを進めていくと、車が引きあげられてしまいます。そのような事態を回避するための方法としては、自己破産の手続きを進める前に、カーローンを完済してしまうということが挙げられます。カーローンを完済してしまえば、ローン会社による引きあげを回避することができます。
もっとも、自己破産前に債務者本人が一括返済をする行為は、偏頗(へんぱ)弁済という不公平な弁済行為であるとして、破産による免責を受けられない可能性があります。そのため、カーローンの一括返済をする場合には、必ず本人以外の第三者が行うようにしましょう。
(2)任意整理によってカーローン以外の借金を整理する
一括返済を頼める第三者がいないという場合には、カーローン以外の借金を任意整理することで毎月の負担を軽減することができる場合があります。任意整理は借金返済の手続きのひとつであり、裁判所を介さずに債権者と債務者が直接話し合い、将来かかる利息のカットや返済期間の見直しを行い、無理のない計画に沿って返済する手段です。
任意整理は、対象の債権者を選ぶことができます。そのため、カーローンを任意整理の対象から外してしまえば、車を引きあげられることはありません。
3. 借金を整理する法的手段
借金を整理する法的手段としては、以下の3種類が存在します。借金返済に困っているが、車などどうしても手元に残したい資産がある場合は、検討してみましょう。
(1)任意整理
前述のとおり、任意整理とは、債権者との協議によって将来の利息カットや、返済期間を見直す手続きのことをいいます。自己破産や個人再生のように借金の総額を大幅に減免するということは難しいですが、自動車ローンが残っている車を保有している場合のように、自己破産や個人再生を選択することができない事情がある方には、有効な手段となります。
(2)自己破産
自己破産とは、裁判所を利用する法的整理のひとつであり、裁判所から免責決定を受けることによって借金をゼロにすることができます。多額の借金を抱えて返済不能になっている方には大きなメリットのある手続きですが、破産者が一定以上の資産を有している場合には、すべて手放したうえで換価処分をしなければなりません。
(3)個人再生
個人再生とは、自己破産同様に裁判所を利用する法的整理のひとつであり、裁判所の決定によって、借金を大幅に減額することができます。債務者は、減額後の借金を3年から5年の分割払いによって返済をしていくことになります。住宅ローンのある自宅を所有している方が自宅を残したまま債務整理をしたいという場合に利用される手続きです。
どの手段が最適な手段であるかは個別具体的な状況に応じて異なってきますので、まずは弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年12月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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