奨学金が返せない! 救済制度と債務整理について解説
奨学金を借りて大学や専門学校に通っていた方が、さまざまな事情によって奨学金の返還ができなくなっていることが社会問題となっています。奨学金も借金ですので、返済を滞納している場合には、信用情報機関に登録されたり、財産の差し押さえをされたりするなどのリスクがあります。
今回は、奨学金返済ができないときの債務整理の方法について解説します。
1. 日本学生支援機構が定める救済措置とは
多くの方が利用していると思われる「日本学生支援機構」では、返済が困難となった場合に、以下の救済措置を定めています。
(1)減額返還
減額返還制度とは、災害に遭った、病気やケガをした、経済的に困難な状況にある、仕事がないなど奨学金の返還が困難となる事情が生じた場合に、一定期間毎月の返済額を減額する制度のことをいいます。
減額することができる金額は、返還金額の2分の1または3分の1です。毎月の奨学金返還金額を減額することによって、月々の負担は減りますが、利息を含む返還予定総額には変わりありませんので、一時的な事情によって返還が困難となった場合に利用するとよいでしょう。
なお、減額返還は、1年ごとに申し出ることによって最長で15年間利用することができます。
(2)返還期限猶予
返還期限猶予制度とは、災害に遭った、病気やケガをした、経済的に困難な状況にある、仕事がないなど奨学金の返還が困難となる事情が生じた場合に、月々の返還を猶予し、先送りにする制度のことをいいます。
返還期限猶予は、最長10年間認められますが、利息を含む返還予定総額は変わりません。減額返還制度を利用しても奨学金の返還が困難となった場合には、返還期限猶予制度を利用するとよいでしょう。
(3)返還免除
本人が死亡した場合や、精神または身体の障害によって労働能力を喪失したような場合には、奨学金の返済の全部または一部が免除される場合があります。このような事情に該当する場合には、返還免除の申し出をするようにしましょう。
2. 奨学金を含む借金を整理できる、3種類の債務整理とは
「日本学生支援機構」が定めている救済措置を利用したとしても、返済を継続することが困難という事情がある場合には、以下の債務整理を検討するようにしましょう。
(1)任意整理
任意整理とは、債権者との交渉によって、借金減額や分割払いを認めてもらう債務整理の方法です。任意整理は、現在の返済金額では支払いを続けていくことが厳しいけれども、返済金額が減れば支払いを続けていくことができる、という場合には有効な方法となります。
しかし、奨学金については、任意整理に応じていないところが多いため、奨学金を対象に任意整理をすることは難しいといえます。奨学金の場合には、減額返還や返還期限猶予などの救済措置を利用しながら、毎月の負担を抑えるのがベストな方法といえます。
そして、奨学金以外の消費者金融から借り入れがあるような場合には、そちらを任意整理の対象として債務整理を行うことで、さらに毎月の負担を減らすことが可能となります。
(2)個人再生
個人再生とは、債権者との交渉によって行う任意整理とは異なり、裁判所に申し立てをすることによって、借金の総額を大幅に減額し、3~5年での分割払いによって返済をしていく債務整理の方法です。
後述する自己破産とは異なり、借金の金額がゼロになるというわけではありませんが、財産を処分する必要はないため、主に住宅ローンなどがある場合に利用される手続きです。
もっとも、個人再生の手続きによって奨学金が減額されるのは、あくまでも債務者本人であり、連帯保証人や保証人に対しては、全額の請求がされることになりますので、注意が必要です。
(3)自己破産
自己破産とは、個人再生と同様に裁判所に申し立てをすることで、借金をゼロにすることができる債務整理の方法です。
自己破産をする際には、法律上定める最低限の資産以外は保有することができず、それ以外の資産については原則として換価したうえで債権者への配当にまわさなければなりません。
多くの資産がある場合には、不向きな債務整理の手段ですが、ほとんど資産がないという場合には、借金をゼロにして再出発できるため有効な手段となります。
ただし、個人再生と同様に、連帯保証人や保証人に対しては、全額請求がされることになりますので、あらかじめ連絡をして事情を伝えておくようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年08月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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