
ギャンブル依存症とは|借金を解決する方法や相談先
ギャンブルで多額の借金を抱えた方の中には、ギャンブル依存症に陥っている方も多いことでしょう。そんなときは、借金問題を解決するとともに、ギャンブル依存症を改善することも重要です。
本コラムでは、ギャンブルによる借金問題を解決する方法と、ギャンブルや借金を繰り返さないための対処法や相談先を紹介します。
1. ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症とは、ギャンブルにのめり込んで仕事や日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、ギャンブルをやめられない病態のことであり、WHO(世界保健機関)にも認定された精神疾患のひとつです。公式名称は、病的賭博・ギャンブル障害とされています。
ギャンブル好きの健常者とは異なり、ギャンブル依存症の方には以下のような特徴があるとされています。
- ギャンブルをしていないと落ち着かない
- 日常的にギャンブルのことばかり考えている
- 負けた分をギャンブルで取り戻すことにこだわる
- 借金をしてまでギャンブルをする
- 周囲の人に隠してギャンブルを続ける
- ギャンブルをやめようとして努力してもやめられなかった
ギャンブル依存症の方の脳内では、報酬系という神経回路が異常に高まっていると考えられています。具体的には、ギャンブルで大勝ちするとドーパミンという快楽物質が大量に放出されて気持ちよくなります。しかし、ドーパミンの放出が収まると落ち着かなくなったり、いらついたりして、ギャンブルへの強い衝動を引き起こすのです。
2.ギャンブル依存症の再発防止と相談先
ギャンブル依存症は、れっきとした精神疾患なので、本人の意志だけで改善することは困難です。根本的に解決するためには、医学的な治療を受けることと、再びギャンブルをしないようにするための環境づくりが重要となります。
(1)ギャンブル依存症の治療を受ける
ギャンブル依存症の治療は、精神科や心療内科、メンタルクリニックといった医療機関で受けられます。できる限り、専門的な依存症外来を実施している医療機関で受診しましょう。
全国各地の精神保健福祉センターや保健所では、依存症に苦しむ方や、その家族からの相談を受け付けています。専門の医療機関を見つけられない場合は、これらの相談窓口を利用するのもひとつの方法です。
医療機関では、ギャンブル依存症に対して、主に以下のような治療が行われます。
- ・認知行動療法
- 自分の行動パターンを客観的に見つめて考え方の偏りを修正し、問題への対処法を身につける心理療法
- ・作業療法
- 趣味やレクリエーションなどの活動を通して健康的な心身を取り戻すことにより、ギャンブルから離れることを目的とした療法
その他にも「集団療法」や「生活環境調整」なども行われますが、この2つの療法は、ギャンブルや借金を繰り返さないための環境をつくるためにも、以下のように根気よく継続することが重要です。
(2)ギャンブルや借金を繰り返さない環境づくり
ギャンブル依存症を完全に克服するまでには、一般的に数年を要するといわれています。その間、依存症の方が一人きりで対処することは困難と言わざるを得ません。誘惑に負けないためにも、周囲の人のサポートを得て、ギャンブルや借金を繰り返さないための環境をつくることが重要となります。
そのため、専門の医療機関では、同じ問題を抱えている人たちが体験を語り合い、悩みを共有して励まし合う「集団療法」を実施しているところも多いです。
通院している医療機関で集団療法が実施されていない場合は、自助グループに参加するのもよいでしょう。自助グループとは、同じ問題を抱える人やその家族らが自主的に集まり、集団療法と同じようにサポートし合うグループのことです。
日常生活においては、ギャンブルや借金から離れる「生活環境調整」が重要です。医療機関が運営する専門のグループホームなどに入居できることもありますが、多くの場合は、主に家族にサポートしてもらうことになるでしょう。
ギャンブル依存症の方への接し方のポイントは症状の内容や程度によって異なるので、家族が医師や心理療法士などの専門家から具体的なアドバイスを受けた上で、根気よく本人を見守っていく必要があります。
3. ギャンブルによる借金は債務整理で解決できる可能性あり
ギャンブルによって返しきれないほどの借金を負った場合でも、債務整理によって解決することが可能です。
債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあり、どの手続きが適しているかは、以下のように異なります。
(1)任意整理
任意整理は、債権者と直接交渉することにより、返済の負担を軽減する手続きです。将来の利息を全額カットし、残元金を3~5年の分割で返済するのが一般的です。
基本的に残元金はカットできないので、任意整理が適しているのは、借金総額が比較的小さいケースです。ただし、家族などの親族が返済に協力できる場合は、借金総額がある程度大きくても、任意整理で解決できる可能性があります。
任意整理は、3種類の債務整理の中では手続きが最も簡易的であり、費用の負担も軽い傾向にあります。財産を処分する必要はありませんし、整理する借金を自由に選べるため、保証人付きの借金や自動車ローンなどを除外して手続きをすることも可能です。
(2)個人再生
個人再生は、裁判所への申し立てにより、借金を大幅に減額できる手続きです。5分の1~10分の1程度にまで減額した借金を、原則3年、最長5年の分割で返済していきます。
任意整理では解決できないほどに借金が膨れ上がったケースでも、個人再生をすれば解決できる可能性があります。また、住宅ローン特則の要件を満たせば、マイホームを処分せずに借金を整理できるという、非常に大きなメリットも得られます。
ただし、個人再生をするためには、減額後の借金を継続して返済できるだけの安定収入が必要です。本人の収入だけでなく、家族などの協力によって返済できる見込みがあれば、個人再生を利用できます。
個人再生でも基本的に財産を処分する必要はありませんが、高価な財産を所有している場合には、返済額が増える可能性があることに注意が必要です。
(3)自己破産
自己破産は、裁判所への申し立てにより、借金を全額免除(免責)してもらうための手続きです。
ただし、自己破産には、一定の事情がある場合には借金が免除されない「免責不許可事由」というものがあります(破産法252条1項4号)。ギャンブルは免責不許可事由に該当するため、原則として、自己破産でギャンブルによる借金問題を解決することはできません。
しかし、免責不許可事由に該当する場合であっても、諸般の事情を考慮して相当と認められる場合は、裁判所の裁量により免責が許可されることもあります。このことを「裁量免責」といいます。
たとえば、借金全体の中でギャンブルによるものはごく一部であり、大部分は生活費の不足や負債の返済など正当な理由によるものである場合は、裁量免責が認められる可能性があります。
裁量免責が許可される基準は明確に示されていませんが、最低限、ギャンブルをやめ、深く反省し、生活状況や家計の収支の改善に努めることなどが要求されます。
借金問題をスムーズに解決するためにも、適切な治療を受けてギャンブルをやめることは欠かせません。
債務整理を弁護士に依頼すれば受任通知が送付され、債権者からの督促と返済が一時的に止まります。それによって本人のストレスが大きく軽減されますので、ギャンブル依存症の治療にも有効です。
ギャンブルによる借金の返済が苦しい場合は、早めに弁護士へ相談してみましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2025年04月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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