借金を減額することはできる?仕組みや弁護士に相談するメリットを解説

借金を減額することはできる?仕組みや弁護士に相談するメリットを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

借金が高額になると、毎月の支払いがとても厳しくなり、借金を減額したいと思うものです。

そこで今回は、実際に借金を減額する方法はあるのか、借金減額のメリット・デメリット、借金減額にかかる費用等について解説していきます。

1. 借金を減額することはできる?

「借金を減額する方法」と聞くと、詐欺のように感じられる方もいるかもしれません。しかし、実際に合法的に借金を減額する方法があります。その方法を解説します。

(1) 本当にある借金の減額方法とは

①過払い金請求をする

過払い金とは、利息制限法で定められた上限の金利を超えて支払った利息のことです。貸金業者から借りたお金とその正当な利息よりも返済したお金の方が多くなった場合に発生します。

現在、過払金が発生するのは、以下の条件に当てはまる場合です。

  • 2010年6月17日以前に利息制限法の上限を超過した金利で借り入れをしていた
  • 過払い金請求権を使できるようになった時(完済日または最後に返済や借入をしたとき)から10年以内(消滅時効の期間内)

同じ貸金業者から借り入れと返済を繰り返している場合には、全体が一連一体の取引と扱われ、消滅時効が完成していない場合があります。

過払金を請求することが可能な事態になっている場合にこれを請求すれば、借金が減額するだけでなく、お金を取り返すことが可能となります。

②債務整理をする

債務整理とは、借金を減額・免除してもらうために、債権者と交渉したり、裁判所を介して所定の手続きを行うことを指します。

任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法があります。これらの3つの方法について解説します。

(2) 債務整理の仕組みとは?

①任意整理の仕組み

任意整理とは、裁判所などの公的機関を通さずに、貸金業者などの債権者と交渉して借金の減額や支払い方法などについて合意を目指す方法です。

弁護士、または司法書士(140万円未満のケースのみ)に依頼して、債権者との間で減額の交渉をしてもらうこととなります。なお、債権者へ受任通知を送付してもらえば、債権者からの督促はストップします。

②個人再生の仕組み

個人再生は、裁判所に申し立てをすることによって行う借金の減額方法です。

借金総額の最大10分の1まで減額した金額を、3年~5年の間に返済するよう再生計画を立て、これが裁判所によって認可された場合には、再生計画にしたがって支払いをしていくことになります。

なお、再生計画に従った返済ができない場合には、裁判所の判断で自己破産に移行する可能性があります。

③自己破産の仕組み

自己破産は、裁判所に申し立てをすることによって借金の支払い義務を免責してもらい、借金をゼロにする方法です。

自己破産の申し立てをした後、裁判官による免責審尋という手続きを経て、問題がないと判断されれば、支払い義務を全て免れることができます。

2. 債務整理のメリット・デメリット

債務整理の3つの方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

(1) 任意整理のメリット・デメリット

①任意整理のメリット

任意整理のメリットは以下の通りです。

ア 自己破産と異なり財産を失わない
自己破産は原則として預貯金や不動産、有価証券といった全ての財産を換価して債権者に配当する必要があり、財産を失ってしまいます。これに対し、任意整理を選んだ場合にはそのようなことはありません。
イ 職業の制限を受けない
自己破産をすると、免責決定が確定するまで、警備員など一定の職業に付くことができなくなりますが、任意整理の場合には、そのような問題はありません。
ウ 官報に記載されることがない
個人再生や自己破産は申し立てをすると官報に氏名などが掲載されてしまいますが、任意整理の場合はそのようなことはありません。

②任意整理のデメリット

  • 債権者の承諾が必要

    任意整理は債権者との間で和解をすることによってできるものであるため、借金の減額について債権者の承諾が必要となり、これを得られないと行うことができません。

  • 支払いのための原資が必要

    自己破産と異なり、借金が全て免責されるわけではないので、支払いをするための原資が必要となります。

  • 減額の幅が小さい場合もある

    債権者は、任意整理についてどの程度までならば減額に応じるかの内部基準を定めていることがあり、実際には遅延損害金の全部または一部しか減額できないケースもあります。

(2)個人再生のメリット・デメリット

①個人再生のメリット

ア 借金を大幅減額できる
個人再生は、借金総額を最大10分の1まで減額する手段なので、その後の支払いが従前よりも楽になります。
イ 資産を処分せずに済む
自己破産と異なり、個人再生では原則として資産を処分する必要がなく、財産を守ることができます。
ウ 返済中の利息が発生します
再生計画にしたがって返済している間は利息が発生しないため、「払っても払っても借金が減らない」ということがありません。
エ 職業の資格制限がない
自己破産の場合と異なり、どのような職業でも個人再生をすることができます。

②個人再生のデメリット

  • 官報に掲載される

    個人再生を申し立てると官報に氏名などの個人情報が掲載されてしまいます。

  • 保証人に迷惑をかける

    債務に保証人がついている場合、債権者は保証人に代わりに債権全額の支払いを請求できます。したがって、保証人は債務者が支払えない部分の債務の額を肩代わりする形になり、迷惑をかけます。

(3) 自己破産のメリット・デメリット

①自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットは、借金の支払い義務が全て免責され、借金がない状態になるということです。

3つの債務整理の方法の中では、効果が最も高いといえます。

②自己破産のデメリット

ア 財産を失う
先ほども述べたとおり、自己破産においては、預貯金や不動産、有価証券などの資産が債権者への配当に回されることとなるため、債務者は資産を失うこととなります(ただし、現金は99万円までは自由財産として手元に残ります)。
イ 官報に掲載される
自己破産を申し立てると、氏名等の個人情報が官報に掲載されてしまいます。
ウ 保証人に迷惑をかける
債務に保証人が付いている場合には、保証人は、債権者の請求により、その時点で残っている債務の全額を支払う義務を負うことになります。

3. 借金減額は弁護士への相談がおすすめ

借金の減額には、専門的な知識も必要であるため、弁護士へ相談することを強くおすすめします。

以下では、債務整理を弁護士に相談するメリットや相談する弁護士の選び方について解説します。

(1) 債務整理を弁護士に相談するメリット

①状況に合わせた方法を選んでもらえる

3つの債務整理方法のうち、どれを選ぶべきかは、借金の総額や資産状況、収入、借金の理由、職業などを総合的に考慮して決定することが必要であり、その判断には、専門的な知識や経験が必要です。

弁護士に相談すれば、上記のような情報を元に、債務者の状況に合わせた債務整理方法を選んでもらうことができます。

②自分で債務整理を行うのは難易度が高い

先ほども述べたとおり、どの債務整理方法を選択するかについては専門的な知識や経験が必要です。

また、任意整理では、交渉術も必要となりますし、個人再生や自己破産においては裁判所の書式にしたがって申立書を作成することや提出書類もそろえる必要があり、これらを専門的な知識がない一般の方が自分で行うことの難易度はとても高いといえます。

弁護士であれば、これらの点もその専門的な知識や経験でクリアすることができます。

(2) 弁護士の選び方

①借金問題・債務整理の経験・知識が豊富な弁護士を選ぶ

弁護士に依頼するときには、借金問題や債務整理の経験・知識が豊富な弁護士を選びましょう。

経験や知識がない弁護士に依頼すると、任意整理への着手や申し立てが遅れ、生活再建が迅速に進まなくなるリスクがあります。

目安として、借金問題・債務整理を専門に取り扱う弁護士がいる、または専門の部門がある法律事務所や、実績をHP等で詳しく紹介している法律事務所を選び、実際に話してみて選ぶことをおすすめします。

②説明のわかりやすさや相性を確かめる

相談の際に専門用語を多用するなど説明がわかりにくい弁護士や、相性がよくない弁護士に依頼して手続きを進めても、結局途中で頓挫してしまい、それだけ債務整理が遅くなってしまうリスクがあります。

一般の方にも理解できるわかりやすい言葉で話し、自分との相性が良い弁護士を選んでください。

③弁護士費用が明確で適正な弁護士を選ぶ

弁護士に依頼する場合、この後に述べる各種費用がかかります。どのような費目があり、それぞれいくらかかるか、明確に定められている必要があります。また、金額が適正かどうか確認してください。金額の相場についてはこの後に説明します。

(3) 弁護士に依頼する場合にかかる費用

弁護士に債務整理を依頼するとなるとどのような費用がどの程度かかるのかが気になる方もいらっしゃると思います。

そこで、以下に費用について解説します。

①必要となる費用の内訳(相談料、着手金、報酬金など)

必要となる費用は以下のとおりです。

ア 相談料
弁護士に依頼する前に相談する段階でかかる費用です。
債務整理の案件については初回の相談料を無料としている法律事務所も多くなっています。
イ 着手金
弁護士に業務を依頼した段階で支払う費用です。
債務整理の案件については分割払い等を可としている弁護士もいます。
ウ 報酬金
事件終了後に、得られた経済的利益に応じて支払う報酬です。

②費用の相場

任意整理、個人再生、自己破産にかかる費用の総額の相場は、おおむね以下の通りです。ただし、個人再生や自己破産の場合には、他に裁判所に納付する費用がかかります。

  • 任意整理

    債権者1件あたり5万円~15万円程度

  • 個人再生

    30万円~90万円程度

  • 自己破産

    30万円~130万円程度

③支払えない場合は

借金を負って債務整理を考えざるを得ない状況になっている人にとって、弁護士費用を支払うのは困難です。

そのような場合には、以下の方法を用いることが可能です。

ア 分割払いに応じている弁護士を利用する
上述のように、着手金等の分割払いを可能としている弁護士もいるので、そういった弁護士に依頼すると、支払いの負担を軽減することができます。
イ 弁護士費用立替制度を利用する
法テラス(独立行政法人日本司法支援センター)が行っている、弁護士費用立替制度を利用することによって、弁護士費用の負担軽減を図ることが可能です。

この制度は、法テラスがいったん依頼者に代わって弁護士費用を立替払いし、これを後日分割払いにより依頼者が法テラスに返還するというものです。

ただし、この制度を利用できるのは資力が一定金額以下の方に限られているので、利用したい人は法テラスに確認しておくことが必要です。

(4)債務整理を相談するときに準備するべき物

弁護士に債務整理の相談をするときには、以下の物を準備するようにしてください。

  1. 身分証明書

    最近は本人確認のために身分証の提示を求める法律事務所もあります。

  2. 印鑑

    相談後、依頼するときになったときには委任契約書や委任状を作成することとなり、その際に必要となります。認印でけっこうです。

  3. 借金に関するメモ

    債権者名と現在の債務残高を箇条書きにしたメモがあれば、弁護士にスムーズに見通しを立ててもらいやすくなるので、あらかじめ準備していくことが望ましいです。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2025年03月18日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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