
債務整理を相談するには? 弁護士の選び方や相談の流れを解説
借金問題でお悩みの方であれば、債務整理を進めることで借金の減額や免除を受けることができる場合があります。ただ、手続きは煩雑であり、ひとりで進めるのは難しいので、「誰に相談すれば良いのか」「相談はどのような流れで進むのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
そこで、本コラムでは、債務整理を相談できる窓口や弁護士の選び方、相談から手続き終了までの流れを詳しく解説します。
1. 債務整理の相談は誰にするべき?
債務整理に関する代表的な相談窓口と、それぞれの特徴を以下にまとめました。相談先を決める際の参考にしてみてください。
相談先 | 特徴 |
---|---|
法律事務所 | ・債務整理全般に対応。 ・複雑な案件や裁判に強い。 |
司法書士事務所 | ・借金総額が140万円以下の案件であれば対応可能。 ・費用が弁護士より安い場合が多い。 |
法テラス | ・国の支援機関。 ・無料相談や弁護士費用の立替制度を利用可能。 |
消費生活センター(国民生活センター) | ・事業者との交渉方法や具体的な解決策などのアドバイスを無料で提供。 |
自治体の相談窓口 | ・弁護士や司法書士などが無料で相談を受け付け。 |
全国銀行協会相談室(全国銀行協会) | ・住宅ローンやカードローンの返済が困難となっている方へのカウンセリングを無料で実施。 ・営業時間 平日:9時00分~17時00分(祝日、銀行の休業日を除く)。 |
貸金業相談・紛争解決センター(日本貸金業協会) | ・債務整理の方法などの助言や情報を無料で提供。 ・再発防止を目的としたカウンセリングや家計管理の実行を支援。 ・営業時間 平日:9時00分~17時00分(祝日、年末年始除く)。 |
2. 債務整理の相談を弁護士にするメリット
相談先はさまざまありますが、特に弁護士に依頼することで、多くのメリットを享受できます。
(1)弁護士に依頼する際のメリット
以下、弁護士に依頼する際の代表的なメリットを紹介します。
①最適な債務整理の方法で手続きできる
債務整理には3つの方法があります。
-
任意整理
債権者と直接交渉し、利息カットや返済計画の見直しを行う方法。
-
個人再生
裁判所の許可を得て、借金を大幅に減額する手続き。
-
自己破産
裁判所の許可を得て、借金を免責にする最終手段。
弁護士であれば、相談者の状況に最適な方法を提案し、手続きを進めてくれます。
②借金の督促(取り立て)がストップする
正式依頼後、弁護士は債権者に対して受任通知を送付します。受任通知を受け取った債権者は、督促行為を停止しなければなりません。
これにより、相談者の精神的な負担が大幅に軽減されるでしょう。
③債権者との交渉を弁護士に一任できる
法的な知識が必要な交渉もすべて弁護士に代行してもらえます。
④資料収集や書面作成などの手続きを一任できる
複雑な書類作成や証拠の収集も専門家に任せられるため、手間が省けます。
(2)債務整理を依頼するとき、弁護士と司法書士で何が違う?
債務整理に関しては、弁護士だけでなく(認定)司法書士に依頼することもできます。もっとも、弁護士のほうが司法書士より対応できる業務範囲が広いです。
弁護士 | (認定)司法書士 | |
---|---|---|
訴額 | 制限なし | 140万円以下に限定 |
訴えることのできる裁判所 | 制限なし | 簡易裁判所のみ |
個人再生・自己破産の申し立て | できる | できない |
よって、債務整理はあらかじめ弁護士に相談しておくのがおすすめです。
3. 弁護士に債務整理を相談する際の流れ
弁護士に債務整理を相談する際の流れを詳しく説明します。
(1)相談前の準備
①相談の際の必要書類
債務整理の相談の際は、事前に弁護士に連絡を取り、必要資料を確認しておきましょう。資料が手元になくても相談が可能なことが多いですが、できる限り準備しておくことで、相談をスムーズに進めることができます。
一般的に準備を求められる資料として、以下のものが挙げられます。
- 印鑑
- 預貯金通帳
- 債権者一覧表
- 督促状、裁判所から届いた一連の書類
- 給与明細、家計簿、借入に関する契約書類、カード類
- (住宅ローンや不動産担保ローンを組んでいる場合)土地や建物の登記事項証明書
②相談事項のリストアップ
相談時間は限られているので、時間を有効活用するためにも、以下のポイントを事前に整理しておくと役立ちます。
- 借金の総額と各借入先の情報
- 毎月の返済額と支払い状況(滞納がある場合はその期間も)
- 債務整理を検討するに至った理由や背景(返済困難になった経緯など)
(2)初回相談
初回相談では、まずは弁護士に状況を詳しく伝え、今後の流れや費用について確認します。確認したい事項や、不明点などがあれば、しっかりと質問しておきましょう。
(3)債務整理の手続き開始
①手続きの種類と流れ
債務整理の手続きは以下のような流れで進みます。
-
委任契約の締結
債務整理を進める場合、弁護士と委任契約を結ぶことで、正式に依頼したことが確定します。
-
受任通知の送付・取引履歴の開示請求
委任契約締結後、弁護士は債権者に対し「受任通知」を送ります。この通知が届いた時点で、債権者からの取り立てや督促が一時的にストップします。また、相談者の過去の返済額や返済状況などが確認できる「取引履歴」の開示請求もあわせて行います。
-
債権額の調査・引き直し計算
取引履歴をもとに、借金総額の調査や利息の再計算(引き直し計算)を行います。
-
交渉・申し立ての開始
・任意整理:和解案を作成して債権者と交渉します。
・個人再生:申立書類を管轄裁判所に提出します。個人再生委員との面談・履行テストを経て手続き開始決定が出された後は、債権者からの債権届出の内容などを参考に、再生計画案を作成します。
・自己破産:申立書類を管轄裁判所に提出します。裁判官との面談を経て、破産手続開始決定が出された後は、債権者集会や免責審尋を実施します。
-
和解・認可
・任意整理:債権者と合意できれば和解書を取り交わしたうえで、3〜5年にかけて返済を進めます。
・個人再生:再生計画案の決議のうえ、裁判所の認可が下りたら、再生計画に沿って返済を進めます。
・自己破産:裁判所の免責認可決定により、借金の免責が確定します。
②必要な書類と提出期限
債務整理を進めるためには、主に以下の書類が必要です。
任意整理 | 個人再生・自己破産 |
---|---|
・本人確認書類 ・貸金業者のキャッシュカードやクレジットカード ・債権者との借用書、契約書 ・預金通帳 ・給与明細、源泉徴収票 ・不動産の登記簿謄本 ・保険証券、解約返戻金証明書 ・退職金見込額証明書 |
・申立書 ・陳述書 ・債権者一覧表 ・家計収支表 ・財産目録 ・戸籍謄本、住民票 ・債権者との借用書、返済予定一覧表 預金通帳 ・給与明細、源泉徴収票・課税(非課税)証明書 ・年金振込通知書 ・退職金見込額証明書 ・所得課税証明書、確定申告書 ・車検証、登録事項証明書、自動車の査定書 ・保険証券、解約返戻金証明書 ・固定資産評価証明書 ・賃貸借契約書、更新契約書 ・納税通知書、督促状 ・ローンの契約書、返済一覧予定表 |
具体的な必要書類や提出期限はケースごとに異なるので、弁護士の指示に従って準備するようにしましょう。
③手続き中の注意点
債務整理の手続き中は、特に以下の点に注意が必要です。
- 新たな借り入れをしない
- そもそも債務整理は借金の負担を軽減するための手続きです。手続き中の新規借り入れは債務整理の目的に反するので、手続きが認められなくなってしまうおそれがあります。
- 必要な情報を嘘偽りなく伝える
- 手続き完了後のことを考え、少しでも手元に財産を残しておきたいという気持ちから、債権者や借金額について弁護士に嘘の報告をしてしまうケースもみられます。
- しかし、裁判所へ提出する書類に虚偽があると、手続き打ち切りになるほか、詐欺破産罪に該当するリスクがあります。嘘の報告は絶対に控えましょう。
- 必要事項に遅滞なく対応する
- 資料の準備や個人再生の履行テストなど、期限が定められている作業を確実に行うことが重要です。手続きが遅れると手続き完了も遅れ、弁済額の増加や手続きの失敗につながるおそれがあります。
4. 債務整理にくわしい弁護士の選び方
債務整理を成功させるためには、信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。ここからは、弁護士を選ぶ際のポイントや費用相場について解説します。
(1)弁護士選びのポイント
弁護士を選ぶポイントとして、たとえば以下の事項が挙げられます。
- 費用が明瞭かつ適正か
- 実績・経験が豊富か
- 対応が丁寧か
- リスクやデメリットを正直に伝えてくれるか
- 通いやすい立地にあるか
これらを総合的に踏まえ、自分に合った弁護士を選ぶようにしましょう。
(2)弁護士費用の相場
債務整理の弁護士費用の相場は、手続きの種類によって若干異なります。
種類 | 費用相場 |
---|---|
任意整理 | 1社あたり3〜10万円+減額できた費用の10%程度 |
個人再生 | 30万円〜80万円 |
自己破産 | 30万円〜130万円 |
費用を比較検討する際は、上記の相場を基準に、提示された料金が適正かどうかを判断してみてください。
(3)弁護士の無料相談を利用するメリット
多くの法律事務所では、無料相談を実施しています。無料相談を活用すれば、弁護士・法律事務所の対応や雰囲気を確認できる、目安の費用を事前に確認できる、今後の手続きの流れを把握できる、などのメリットを享受できます。
いきなり弁護士に相談するのはハードルが高いと感じる場合、まずは無料相談から始めてみるのがよいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2025年03月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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