クレジットカード滞納でどうなる?放置のリスクと対処法を解説

クレジットカード滞納でどうなる?放置のリスクと対処法を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

クレジットカードの支払いを滞納してしまい、カード会社から督促の通知が届いた場合、放置したらどのようなことが起きるでしょうか。また、問題を解決するためにはどのような方法をとるべきでしょうか。

今回は、このような点について解説します。

1. クレジットカード滞納でどうなる?放置のリスク

まず、初めにクレジットカードの支払いを滞納したまま放置した場合に、どのようなことが起こるかについて解説します。

(1)クレジット会社からの督促(1か月以内)

クレジットカードの滞納が毎月の支払い日から1か月以内の場合には、電話やメール、書面などによって、返済が遅れている、残高不足で引き落としができないなどと通知が来る程度のことが多いといえます。

この程度の滞納は、単に支払日を忘れていた場合や、口座の残高の確認を忘れた場合など、ちょっとした不注意によることが多く、返済がないことの通知を何らかの形で受けた段階で気付いて支払ってことが済むケースがほとんどです。

クレジットカードが滞納により利用停止となっても、支払いの確認が取れれば数日以内に停止が解除されることが多いでしょう。

(2)遅延損害金の発生、ブラックリストに載る(~2か月)

クレジットカードの滞納が1か月を超えた場合には、クレジット会社の督促が厳しくなり、「期限の利益を喪失する」という予告の通知が届く可能性が高くなります。

「期限の利益の喪失」となれば、債権者から一括払いを求められるようになります。また、遅延損害金(支払期限に遅れたことにより発生する法定の割合で計算された損害賠償金)が発生します。遅延損害金は支払いが遅れれば遅れるほど、日々増えていくことになります。

これに加え、滞納が2か月程度になると、いわゆる「ブラックリストに載る」という事態も発生します。これは、借入の申込や契約などに関する信用情報に事故情報が登録されることを指します。

ブラックリストに載ると、新たにクレジットカードを作れなくなるなどの不利益が生じます。

なお、事故情報は永久に登録されたままでいるわけではなく、一定の条件を満たすと一定期間後に削除されます。

(3)訴訟、強制執行、財産差し押さえ

さらにクレジットカードの滞納が続いていくと、最終的には、クレジット会社から残金と遅延損害金の支払いを求める民事訴訟が提起されるか、支払督促という書面が送付されてくることとなります。

債務者がそれらの手続きにきちんと対応し、その中でクレジット会社との間で支払方法に関する和解ができれば、その和解内容に従って支払いを行っていくこととなります。

しかし、対応せず放置した場合、自分が感知しないところで手続きが進み、ある日突然「強制執行」が行われることになります。

すなわち、訴訟を起こされた後、裁判所から呼出状が届き答弁書を提出するように求められているにもかかわらず、これを放置して、裁判期日にも出席しないと、債権者の主張をそのまま認める判決が下されることとなります。

多くの場合、判決は「仮執行宣言付判決」といって、これを根拠(債務名義)として強制執行が行われます。

強制執行とは、具体的には、債務者の預貯金や給与、不動産などの財産を差し押さえて、その中から残金や遅延損害金を回収することができるのです。

なお、判決書が届いてから14日以内に控訴しないと判決は確定してしまいます。

次に、支払督促を放置した場合、「仮執行宣言付支払督促」が送付されてきます。これも債務名義にあたるので、強制執行が行われることになります。

このように、クレジットカードの滞納をいつまでも放置しておくと、最終的には自分の財産を強制的に取り上げられてしまう危険性があるということです。

2. クレジットカード滞納は「債務整理」が有効

クレジットカードの支払いを滞納してしまい、自力で金策して支払いをすることが難しいケースでは、「債務整理」を行うことが有効です。

(1)債務整理の種類とメリット・デメリット

「債務整理」とは、負債を解決するための手続き全体を指すものです。

その中には、①交渉して利息カットや長期分割払いへの切り替えなどをしてもらう「任意整理」、②負債全体を法的に免除してもらう「自己破産」、③負債を法的に一定程度減額して3年から5年で完済することを目指す「個人再生」があります。

以下では、それぞれの手続きのメリット、デメリット等を解説します。

①任意整理

任意整理には、自分の都合で返済の契約が立てやすいといったメリットはありますが、債権者が応じてくれない場合には債務全体を減額することが難しかったり、返済している間や返済後しばらくの間はブラックリストから事故情報が削除されず、新たな借入やクレジットカードを作ることができないというデメリットがあります。


②自己破産

自己破産は債務をゼロにできるというメリットがありますが、「管財手続」になる場合には弁護士費用の他に裁判所に納める予納金(20万円程度)がかかり費用が多額になりやすい、自己破産した旨が官報に掲載される、一定の職業に就けない、免責手続後しばらくの間はブラックリストから事故情報が削除されず、新たな借入やクレジットカードを作ることができないといったデメリットがあります。


③個人再生

個人再生は債務を5分の1から10分の1に圧縮でき、これを3年から5年の期間で弁済できるため、無理なく支払いができる可能性が高いというメリットがあります。

一方で、返済している間や返済後しばらくの間はブラックリストから事故情報が削除されず、新たな借入やクレジットカードを作ることができないというデメリットがあります。

(2)どの手続きを選択すべきか

3つの債務整理のうち、どれを選択するかは、滞納の程度や収入等の債務者の事情により決することとなります。

大まかな傾向として、まず、滞納金額が収入に比してそれほど高額ではなく、一定程度の減額や分割払いにより対応できる場合には、任意整理が適しているといえます。

これに対し、滞納金額が収入に比して高額な場合や、多数の債務があるような場合には、自己破産や個人再生が適しています。

3. クレジットカード滞納で悩んだときの無料相談窓口一覧

クレジットカードの対応でお悩みの場合には、以下の無料相談窓口に相談する方法も有効です。

(1)日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)

クレジットカードや消費者ローンを利用して多重債務に陥った人に対し、構成・中立な立場からのカウンセリングを行っています。場合によっては、無料の任意整理を行ってもらえます。

電話(多重債務ほっとらいん):0570-031640

Webサイト:日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)

(2)日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター

クレジット会社等の貸金業者の業務に対する苦情や相談を受け付けています。
専門の相談員に公正・中立の立場から相談に乗ってもらえます。

(3)日本クレジット協会消費者相談室

広くクレジットに関する消費者相談を行っています。内容に応じて適切な相談先などを紹介してもらえます。

電話:03-5645-3361

Webサイト:日本クレジット協会消費者相談室

(4)弁護士会のクレジット・サラ金電話相談

各都道府県の弁護士会では、クレジット・消費者金融の電話相談窓口を設置しているところがあります。弁護士が初回のみ、30分等の一定時間、無料で対応してくれるシステムのところが多いです。

4. クレジットカードの支払い滞納は早期相談で解決を目指そう

クレジットカードの支払いを滞納した場合、どの程度に至っているかによって、対応すべき内容が異なります。単なるミスで支払いが遅れただけであれば、すぐに問題を解消することができますが、資金不足で支払いができない場合にこれを放置しておくと、問題は解決しないばかりでなく、どんどん深刻なものになっていきます。

大切なことは「支払えない」と認識したときに、現実逃避することではなく、問題を解決するためにできるだけ早く行動することです。

どのような行動をとればよいか検討するにあたり、先にあげた相談窓口に相談することも有効です。

しかし、相談窓口で「弁護士に相談した方がいい」「法的手続きをとることが必要だ」などとアドバイスをされたときには、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。

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