【犯罪・刑事事件】公然わいせつ罪とは? 具体的事例で解説

【犯罪・刑事事件】公然わいせつ罪とは? 具体的事例で解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

ニュースや新聞などの報道に目を向けると「わいせつ」行為に関する犯罪で逮捕・検挙されたという事例を見ない日はほとんどありません。「公然わいせつ罪」も、日常生活に近いところで頻発する犯罪のひとつです。

令和3年版の犯罪白書によると、令和2年の一年間に全国で2463件の公然わいせつ事件が警察に認知され、1379人が検挙されています。割合でいえば70%以上は検挙されるため、公然わいせつ罪にあたる行為があると逮捕・検挙される危険は高いといえるでしょう。

「公然わいせつ罪」とはどんな行為を罰する犯罪なのか、具体例や罪の重さを解説します。

1. 公然わいせつ罪とは?

公然わいせつ罪は、刑法第174条に定められている犯罪です。条文には「公然とわいせつな行為をした者」を罰すると明記されていますが、どういう意味なのでしょうか?

(1)公然わいせつ罪が成立する要件

公然わいせつ罪が成立するのは「公然とわいせつな行為をした」場合です。それぞれの意味を分解してみます。

  • 「公然と」の意味
    不特定または多数の人が認識し得る状態を指します。実際に人が見ていたかどうかではなく、人目につく可能性があるのか、と考えればわかりやすいでしょう。
  • 「わいせつな行為」の意味
    いたずらに性欲を興奮・刺激し、かつ、普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反する行為を指します。一律の基準があるわけではなく、社会や文化の変化に応じて社会通念に照らしたうえで判断されると考えるのが定説です。

(2)公然わいせつ罪で科せられる刑罰

公然わいせつ罪には、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料が科せられます。

拘留とは1か月未満の刑事施設への収容、科料とは1万円未満の金銭徴収を受ける刑罰です。わが国の法律において定められている刑罰のなかでは軽微なものとして位置づけられていますが、前科がついてしまうので軽視してはいけません。

2. これってもしかして公然わいせつ罪?

「わいせつな行為」の考え方は社会や文化の変化に影響を受けるので、一律ではありません。公然わいせつ罪といえば、通行人などの前でとつぜん裸や局部を見せつける、いわゆる露出狂と呼ばれる行為に適用されるのが典型です。

ほかにも、ここで挙げるようなケースは公然わいせつ罪が適用される可能性が高いので注意しなければなりません。

(1)恋人同士が公園などで性行為をする

恋人同士の性行為は、自宅や宿泊施設でおこなう限りは何ら問題がありません。ただし、人目につくおそれがある公園などの屋外で性行為をしてしまうと、公然わいせつ罪が成立するおそれがあります。

夜間、利用者が少ない公園や裏路地などで性行為に及んでいると、通行人などに通報されて現行犯逮捕されてしまうことがあるので注意しましょう。

(2)ネットでわいせつ行為を生配信する

インターネット環境や動画配信プラットフォームの発達によって、誰でも気軽に動画を配信できる環境が整っています。

インターネットは不特定・多数のユーザーが閲覧できる世界であり、まさに「公然」の条件を満たすため、性行為や局部の映像をリアルタイムで配信する、いわゆる「生配信」を行えば公然わいせつ罪が成立するおそれがあります。

また、生配信でなくても、撮影・編集した動画や静止画をアップロードしてユーザーが閲覧可能な状態におけば、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪など、別の犯罪に問われる可能性があることを覚えておきましょう。

(3)ストリップ劇場で過激な演出をする

ショー形式で主に女性が裸姿を観客に見せる、いわゆる「ストリップ劇場」と呼ばれる店舗は、風営法第2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」のうち、3号の「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行」にあたります。つまり、必要な許可を取得したうえで条件を守って許可の範囲内で営業する限りは合法とするのが通例です。ただし、許可の範囲を超えた演出や方法を行うと、公然わいせつ罪が成立することもあります。

実際に摘発された事例では、下半身に照明を当てるなど、局部の露出を強調する演出があったそうです。たとえ許可を得ていても、露出の程度や内容によっては犯罪になると心得ておきましょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2023年03月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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