- (更新:2022年10月07日)
- 犯罪・刑事事件
自転車の危険運転で逮捕も?
道路交通法では、自動車に限らず、自転車の運転時にも適用される危険行為の禁止規定が設けられています。違反した場合には刑事罰等の対象になる可能性があるため、道路交通法のルールを正しく遵守して自転車を運転してください。
今回は、道路交通法に違反する自転車運転時の危険行為や、危険行為を犯した場合の罰則などを解説します。
1. 道路交通法違反の自転車による危険行為
道路交通法では、自転車の運転者に対して、あおり運転をはじめとする各種の危険行為を禁止しています。
(1)あおり運転
他の車両等の通行を妨害する目的で、道路上の交通の危険を生じさせる方法によって、以下に挙げる7種類の行為をすることは「あおり運転」に該当します。
- 通行区分違反(逆走して進路をふさぐこと)
- 不必要な急ブレーキ
- 車間距離の不保持
- 進路変更禁止違反
- 追い越し禁止違反
- みだりに警音器(ベル)を使用する行為
- 安全運転義務違反(幅寄せなど)
あおり運転は自動車のみならず、自転車に対しても禁止されています(道路交通法第117条の2の2第11号)。
(2)その他の危険行為
あおり運転以外にも、自転車の運転時には、以下の危険行為が禁止されています(道路交通法第108条の3の5、同法施行令第41条の3)
- 信号無視
- 通行禁止道路を通行する行為
- 歩行者優先道路における徐行義務違反
- 通行区分違反
- 路側帯を通行する際の歩行者の通行妨害
- 遮断された踏切への立ち入り
- 交差点安全進行義務違反など
- 交差点で右折する際に他の車両の進行を妨害する行為
- 環状交差点安全進行義務違反など
- 一時停止義務違反
- 歩道通行時の通行方法違反(指定部分を徐行、一時停止)
- 前輪および後輪にブレーキを備え付けていない自転車の運転
- 酒酔い運転(飲酒運転)
- 安全運転義務違反
上記の14種類の行為にあおり運転を加えた、15種類の危険行為のいずれかを犯した場合、自転車運転講習の受講義務の対象となります(後述)。
2. 自転車で危険行為を犯した場合の罰則・ペナルティ
道路交通法では、自転車運転者による危険行為に対して、罰則その他のペナルティが設けられています。
道路交通法に違反して自転車を運転した場合、悪質なケースでは逮捕・起訴される可能性もあります。思わぬ刑事処分を避けるためにも、交通ルールを遵守して自転車を運転してください。
(1)交通事故を起こした場合
業務上必要な注意を怠ったため自転車事故を起こし、歩行者などにケガをさせた場合、または死亡させた場合には、「業務上過失致死傷罪」が成立します(刑法第211条)。
業務上過失致死傷罪の法定刑は、「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。
(2)酒酔い運転をした場合
「酒に酔った状態」で自転車を運転した場合、酒酔い運転の禁止に違反し、犯罪の責任を問われます(道路交通法第117条の2第1号)。酒酔い運転の禁止違反の法定刑は、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。
「酒に酔った状態」とは、アルコールの影響により、正常な運転ができないおそれがある状態です。呼気中や血液中のアルコール濃度等は関係がなく、正常な運転ができないおそれがある状態と評価されれば、酒酔い運転の禁止違反に該当します。
なお、自動車運転者については「酒気帯び運転※」も処罰の対象ですが、自転車の場合は、酒気帯び運転は処罰の対象外です(道路交通法第117条の2の2第3号参照。軽車両が除かれているため)。
※酒気帯び運転:血中アルコール濃度0.3mg/l以上、または呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上の状態で、軽車両以外の車両を運転する行為(道路交通法施行令第44条の3)
(3)あおり運転をした場合
自転車運転者があおり運転をした場合、道路交通法違反(妨害運転罪)によって処罰されます(道路交通法第117条の2の2第11号)。
あおり運転の禁止違反(妨害運転罪)の法定刑は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
(4)危険行為をした場合、自転車運転講習の受講義務あり
自転車運転者が、あおり運転を含む15種類の危険行為を3年以内に2回以上犯した場合、公安委員会の命令により「自転車運転者講習」の受講が義務付けられます(道路交通法第108条の3の5、同法施行令第41条の3)。
(参考:「自転車運転者講習制度」(警視庁))
講習受講を義務付ける公安委員会の命令に従わなかった場合、「5万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第120条第1項第17号)。
- こちらに掲載されている情報は、2022年10月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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