万引きして現行犯以外で捕まるケースとは?

万引きして現行犯以外で捕まるケースとは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「万引きは現行犯でなければ逮捕されない」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。

たしかに、現行犯で捕まらない限り、たしかな証拠は残らないし何とでも言い訳ができるように感じてしまうかもしれません。

しかし、その情報を信じて万引きをすると、うまく逃げているつもりでも現行犯以外で逮捕されてしまう危険があります。

万引きをして現行犯以外で逮捕されるケースを見ていきましょう。

1. 現行犯以外の万引きも逮捕されることがある

「万引き」は、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、書店などで、店頭に陳列されている商品をポケットやかばんなどに入れて、代金を支払わずに盗む行為です。刑法に照らすと、万引きは刑法第235条の「窃盗罪」に該当します。

(1)逮捕の種類

逮捕には3つの種類があります。

①通常逮捕

裁判官が発布した逮捕状に基づいて身柄を拘束します。犯行の後日に逮捕されるため「後日逮捕」と呼ぶこともあります。

②現行犯逮捕

犯行の最中や直後の身柄を拘束します。逮捕状が不要なうえに、犯行を目の当たりにしており犯人を取り違えるおそれが低いため一般の私人にも逮捕が認められています。

③緊急逮捕

一定の重大犯罪に限り、逮捕状を請求する時間がない場合は、逮捕後、直ちに逮捕状を請求することを条件に緊急逮捕が認められています。そのため、裁判官に逮捕状請求をして却下された場合は、直ちに釈放されます。

(2)現行犯逮捕以外でも逮捕されることがある

その場で店員や警備員に確保されなければ発覚しないケースが多いため「万引きは現行犯以外では逮捕されない」と考えている方もいるようですが、刑法にはそのような規定は存在しません。

「万引きをした」と疑うに足りる理由があり、身柄を拘束しなければ逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、現行犯逮捕以外でも逮捕されます。

後日の通常逮捕では、警察が捜査を進めたうえで逮捕状の発付を受けるため、いつ逮捕されるかもわかりません。窃盗罪の時効は7年なので、犯行後7年間は逮捕の危険があると考えておくべきです。

(3)逮捕につながる万引きの証拠となるもの

万引きを現行犯以外で逮捕するには、そのとき、その場所で万引きがあったと証明する証拠が必要です。

万引きの証拠としては、次のようなものが挙げられます。

  • 店内の防犯カメラの映像
  • 店員・警備員の「犯行を目撃した」という供述
  • 万引きしたと思しき商品の被疑者による所持
  • 被害品をリサイクルショップやフリマアプリなどで売却した履歴

防犯カメラの死角をねらって証拠が残りにくいように注意していても、目撃情報や犯行後の処分などから特定されて逮捕されることもあります。

商品を盗んだまさにその瞬間をとらえていなくても、警察が捜査すればさまざまな証拠をつなぎ合わせて容疑を固めて逮捕されます。

「現行犯以外では逮捕できない」などと軽く考えるのは禁物です。

2. 家族が逮捕されたら、やるべきこと

家族が万引きで逮捕されたとき、残された家族が適切に対応することで厳しい処分の回避が期待できます。

(1)誠実な謝罪と弁済で示談成立を目指す

逮捕されてしまった本人は、警察・検察官からの取り調べをうけるため72時間の身柄拘束を受けたうえで、検察官が勾留を請求して裁判官が許可すると、さらに20日間にわたって社会から隔離されてしまいます。

どんなに本人が反省していても、身柄を拘束されているので被害者に謝罪する機会もなければ、代金を支払い、許しを請うこともできません。

本人に代わって家族が被害者に謝罪し、万引きした商品の代金を支払って被害届の取り下げを交渉しましょう。

(2)弁護士に対応を任せる

万引き事件をできるだけ穏便に解決するには、被害者との示談交渉が重要です。

とはいえ、大切な商品を盗まれてしまった被害者のなかには「謝罪してお金を支払えば許されるという問題ではない」と強い怒りを感じている人も多いという現実もあります。

示談交渉の難航が予想される場合は、家族による対応では解決が期待できません。直ちに弁護士に相談してサポートを依頼し、示談交渉を一任するのが適切です。

弁護士に依頼すれば、代理人としての示談交渉だけでなく、警察・検察官・裁判官へのはたらきかけによる身柄拘束からの早期釈放、示談成立を理由とした不起訴処分や執行猶予などを実現できる可能性が高まります。

逮捕されてしまった本人には、一度限りで当番弁護士に相談できる制度も用意されていますが、必ずしも刑事事件の解決が得意な弁護士が派遣されるとは限りません。

スピード感をもって解決を目指すには、家族が刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士を探し出してサポートを求めるのが最善策です。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年05月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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