逮捕されたらどうなる? 考えられる影響と適切な対応方法とは
  • (更新:2023年02月03日)
  • 犯罪・刑事事件

逮捕されたらどうなる? 考えられる影響と適切な対応方法とは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

テレビやインターネットの報道で「逮捕」という言葉を目にする方は多いでしょう。しかし、実際に逮捕されたらどうなるのか、何をすべきかを知っている方は少ないのではないでしょうか。

そこで、今回は身内の方が刑事事件で逮捕されてしまったケースを想定し、逮捕後の流れや今後の影響、弁護士に相談するメリットなどを解説します。

1. 逮捕されたら手続きはどのように進むのか?

まずは、逮捕されたあと、どのような流れで罪が裁かれていくのかについて解説します。

(1)警察による取り調べ

逮捕されると、被疑者として刑事施設に拘束されます。その後の取り調べなどを経て、警察は関係書類や証拠とともに被疑者を検察へ送るか、釈放するかを、逮捕から48時間を限度に判断します。

一定の極めて軽微な事件に関しては、警察の捜査段階で微罪処分となり、釈放されて事件が終了することがあります。

(2)検察による取り調べ

警察から事件を引き継いだ検察は取り調べを行い、24時間以内に勾留請求をするか、釈放するかを判断します。

なお、逮捕から勾留の有無が決定するまでの72時間、被疑者となった方は家族や友人などと連絡を取ったり面会(接見)をしたりすることはできません。接見は、弁護士にのみ許されています。

逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがない場合は、勾留されずに釈放され、日常生活を送りながら捜査が進むケースがあります。勾留されずに捜査が続く状態を「在宅事件」といいます。在宅事件扱いになったといっても、無罪放免となったわけではありません。在宅のまま捜査が続けられ、必要に応じて取り調べに呼び出されます。

(3)勾留請求〜勾留

検察官が勾留請求をすると、裁判官は被疑者と面接をして事件の内容について質問を行います(勾留質問)。結果、身柄の拘束が必要だと認めた場合、勾留されることになります。

勾留期間は原則10日間ですが、最長10日間の延長が可能です。したがって最長で20日間、刑事施設に身柄を拘束される可能性があります。勾留場所は警察の留置所になることが多く、勾留中にも捜査機関から取り調べを受けます。

(4)起訴~裁判

勾留されている場合は勾留期間が満期を迎えるまで、在宅事件の場合は取り調べが終わり次第、検察官は起訴・不起訴の判断を行います。

不起訴となれば身柄を解放され事件が終了します。起訴となると、略式起訴でない限り裁判が開かれ、有罪・無罪の判断および具体的な罰の内容が決定されます。

(5)起訴後の保釈請求

起訴から裁判まで、事実関係の争いがないケースでは1か月~1か月半程度かかるケースが多いでしょう。その間、本人は拘置所などに拘束されることになります。

ただし、起訴後は保釈請求ができ、請求が認められると身柄が解放されます。保釈された場合は裁判所からの通知書に書かれた公判期日に出頭します。

2. 今後の生活に影響はあるのか?

逮捕された場合は、次のような影響が考えられます。

(1)仕事上の影響

逮捕の事実が警察から会社へ直接知らされることは通常はありません。ただし、逮捕された本人が会社へ欠勤の連絡をすることはできないので、ご家族が対処しなければ無断欠勤となってしまいます。

数日程度であれば体調不良で隠しとおせるかもしれませんが、長期勾留ともなれば難しくなります。社会人としての評価が下がる可能性もありますし、解雇や減給といった厳しい処分を受けることもないとは言えません。

(2)実名報道される影響

成人であれば報道機関の判断によって実名が公開されることがあります。友人や知人、職場や近所に住む人々に知られてしまうと、引っ越しを余儀なくされる、再就職しにくくなる、付き合いがなくなるなどの影響が考えられます。

また、本人や家族に結婚の予定があるような場合、実名報道を受けて破談になることも考えられます。離婚原因となることもあるでしょう。

(3)有罪になった場合の影響

起訴され、有罪判決を受けるとさらに影響が大きくなります。

就職の際は、前科を自発的に伝える必要はないものの、昨今は採用担当者が応募者名を検索することもあるので、知られる可能性は残ります。また、公務員や士業、金融関係の仕事などへの就業に制限がかかります。

3. 逮捕されたらすぐに弁護士へ相談するべき理由

身内の方が逮捕されたら、ご家族はすぐ弁護士に相談をすることをおすすめします。その理由は以下の通りです。

(1)逮捕後速やかに本人と面会できる

逮捕されると、最長72時間は家族であっても本人と会うことができないケースがほとんどですので、本人は精神的につらい思いをします。弁護士は逮捕後すぐに本人と面会でき、家族との橋渡しを担いつつ、励ましの言葉をかけることができます。

(2)取り調べについてアドバイスが可能

知識がない状態で取り調べを受けると、やってもいないことを供述したり、反省の態度が見られなかったりして、今後の処分が著しく不利になるおそれが生じます。弁護士に依頼することで本人へ取り調べ中の注意点を説明し、事態の悪化を防ぐことができます。

(3)勾留回避の働きかけ

逮捕されても勾留を回避すれば、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。弁護士は勾留前の短い時間の中でも、警察や検察へ情状を説明したり、犯罪事実や証拠の確認をしたり、被害者と示談を成立させたりといった、勾留回避に向けた活動を行います。

(4)早期釈放や不起訴処分への働きかけ

不起訴となれば前科がつきません。そのため、弁護士は不起訴処分を目指してさまざまな弁護活動を行います。

また、万が一起訴された場合は、無罪であればその旨を主張し、有罪であっても裁判で量刑が軽くなるように反対尋問や弁論手続きを行い、最後まで本人と家族の味方となって活動します。

身内の方が逮捕された場合、被疑者となった本人は警察に身柄を拘束されていますので、身動きをとれません。弁護士を手配できるのはご家族となります。逮捕された身内の方をサポートしたいと考えている場合は、刑事事件の実績が豊富な弁護士を選び、早期に相談しましょう。

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