還付金詐欺とは? 定義や逮捕後の流れ・対処方法について
オレオレ詐欺の流行からはじまった「特殊詐欺」の手口のひとつとして、社会的な保障制度の存在を逆手に取ってお金をだましとる手口を「還付金詐欺」と呼びます。
令和2年中は、還付金詐欺を含めた特殊詐欺の被害が1万3550件も発生し、合計で285億2335万9039円もの大金が犯人グループに流れ出てしまいました。
全国の警察は取り締まりを強めているため、還付金詐欺に関わってしまうと逮捕される危険がきわめて高くなります。 「還付金詐欺」とはどのような手口なのか、逮捕されるとどうなるのかを見ていきましょう。
1. 還付金詐欺とは
どのような行為が還付金詐欺となるのか、実際の事例を含めて確認します。
(1)「還付金詐欺」の定義
平成後期ころから全国で流行した「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などと呼ばれる犯罪は、警察庁の定義では「特殊詐欺」と呼ばれています。おもに電話やメール、ハガキなどの非対面による方法で、親族や公共機関の職員を名乗って被害者を信じ込ませて、大金やキャッシュカードなどをだまし取る犯罪です。
特殊詐欺は10の類型にわかれており、そのひとつが「還付金詐欺」と呼ばれています。医療費・税金・保険料などについて「手続きをすれば還付金を受け取ることができる」とだまし、被害者自身にATMを操作させて大金を奪う手口です。
還付金詐欺において被害者にATMを操作させる行為は、刑法第246条の2「電子計算機使用詐欺罪」に該当するとされており、有罪になると10年以下の懲役が科せられます。罰金の規定はなく、必ず懲役が科せられるという意味でも、厳しい刑罰が規定されている重罪です。
(2)実際にあった事例
令和元年12月、当時81歳の高齢女性が還付金詐欺の被害に遭いました。
犯人グループのひとりが市役所の職員をかたり「介護医療保険の還付金がある、手続きはATMでするので、金融機関から連絡させる」とだまし、さらに金融機関の職員をかたるひとりが操作を指示してATMから99万8500円を指定口座に振り込ませたという事例です。
この事件では、自分の口座にお金を振り込ませたうえで数回にわけて引き出した「出し子」の役割で関与した消防士を含めて8人が逮捕されています。
令和3年4月にも、やはり還付金詐欺の出し子としてATMで被害金を引き出した人気バンドのメンバーが逮捕される事件が発生しました。
犯行グループの中心となっていなくても、アルバイト感覚で「出し子」や「受け子」として関与してしまい、逮捕される事例が目立ちます。SNSやインターネット掲示板を通じた闇バイト・裏バイトに手を出すと特殊詐欺に関与する危険が高まるため、応募は控えたほうが賢明でしょう。
2. 還付金詐欺で逮捕された場合の対応
還付金詐欺に関与してしまうと、警察に逮捕されたうえで身柄を拘束され、厳しい処分を受ける可能性があります。
(1)発覚すれば逮捕・勾留される危険がきわめて高い
還付金詐欺を含めて、特殊詐欺に関与してしまうと逮捕・勾留される危険が非常に高くなります。令和2年版の犯罪白書によると、詐欺事件で逮捕される割合は57.9%でした。刑法犯全体では36.5%なので、発覚すれば逮捕されやすい犯罪だといえます。
さらに、検察官が勾留を請求した割合が98.9%、裁判官がこれを認めた割合は94.1%なので、ほぼ確実に勾留が請求され、裁判官が許可している状況がうかがえます。逮捕・勾留されてしまうと、最長で23日間にわたる身柄拘束を受けるため、自宅へ帰ることも、仕事や学校に行くことも許されません。
また、検察官が起訴に踏み切れば刑事裁判が終わるまで勾留を受けてしまい、有罪判決が下されれば刑務所へと収監されてしまうこともあります。
特殊詐欺は、その行為自体が巧みで悪質と評価されており、被害額も高くなりがちなところから、前科がなくても刑務所に行くことになる可能性が高い犯罪です。
(2)被害者への謝罪・弁済が重要
還付金詐欺への関与を疑われて逮捕されてしまった場合は、ただちに弁護士に相談してサポートを受けることをおすすめします。
早期に身柄を解放し、不起訴や執行猶予などの有利な処分を得るためには、被害者との示談交渉が欠かせません。真摯に謝罪したうえで被害金の賠償を尽くせば、起訴・不起訴の判断や刑事裁判において刑罰の重さを決定する際の判断で有利にはたらく可能性があります。
ただし、加害者側にとっては、被害者がどこの誰なのか、どうやって連絡を取ればいいのかもわからないケースも少なくありません。たとえ連絡先がわかっていても、加害者からの連絡は警戒されてしまうため、示談交渉は難航してしまうでしょう。
被害者との示談交渉は、公平中立な第三者である弁護士に一任するのが最善策です。
還付金詐欺に関与してしまい、逮捕された場合はただちに弁護士に相談して、逮捕後の取り調べに対するアドバイスや身柄解放・処分の軽減に向けたサポートを受けましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年12月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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