薬の転売は違法? 法律の規制を知らずに販売してしまった場合はどうする?

薬の転売は違法? 法律の規制を知らずに販売してしまった場合はどうする?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

フリマアプリやネットオークションなどのサービスを利用して、商品を仕入れ値よりも高い価格で転売するビジネスが、主婦や学生のほか、副業を禁止されている会社員の間でも流行しています。ネット回線さえあれば誰でも始められるという気軽さはあるものの、ニュースなどに目を向けると「転売で逮捕」との報道もあるので、気になってしまう方も多いでしょう。

転売が違法となるもののひとつとして挙げられるのが「薬」です。薬を転売するとどのような法律に違反し、どの程度の刑罰を受けるのでしょうか?

1. 医薬品を許可なく販売すると薬機法違法となる

そもそも、フリマアプリやネットオークションを利用して個人が不用品などを販売する行為は、古物営業法にも触れず、違法とはなりません。ただし「薬」については、古物営業法ではなく別の法律によって厳格な規制が設けられているため、販売・転売が制限されています。

(1)医薬品の販売には許可が必要

医薬品を販売するには「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)」に基づく許可が必要です。耳慣れない方が多いかもしれませんが新しくできた法律ではなく、以前は「薬事法」と呼ばれていました。

医薬品を販売できるのは、申請者・構造設備などの基準に適合した許可を国又は都道府県知事から受ける必要があるため、誰でも販売できるわけではありません。

(2)薬機法に違反してしまう典型的なケース

本来は特別な許可が必要であるにもかかわらず、法律の規制を知らないままフリマアプリやネットオークションで薬を販売してしまう方も少なくありません。たとえば、病院やクリニックで処方された薬の余り、薬局やドラッグストアなどで購入した市販薬を出品してしまうといったケースが考えられるでしょう。

(3)転売しても違法とならないものは?

国内で製造された医薬部外品と化粧品については、薬機法の規制を受けません。たとえば、ビタミン剤などのサプリメントや薬用化粧品は転売しても違法にならないというのが原則です。ただし、実は医薬品としての指定を受けていたという事態も考えられるので、出品の際は表示をしっかりと確認するよう心がけましょう。

薬機法によって販売・転売が禁止されているのは、処方箋によって購入した医薬品のほか、要指導薬品・第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品・体外診断用医薬品などに指定されているものです。

「薬」といえば顆粒・錠剤などをイメージする方も多いはずですが、販売が禁止されているもののなかには、湿布薬・軟膏のほか、妊娠検査薬なども含まれます。

また、人間が使用するものに限らず、動物病院で処方される動物用の薬も薬機法の規制を受けることには注意が必要でしょう。

2. 法律の規制を知らずに医薬品を転売してしまった場合の対処法

薬機法による規制を知らずに医薬品を転売してしまった、規制対象外だと思って出品した商品が実は医薬品だったというケースも考えられます。故意に医薬品を転売したのではないとしても、このような状態を放置しておくのは危険です。出品を閲覧したユーザーが事務局や関係当局に通報することで刑事事件に発展してしまうおそれがあるので、必ず正しく対処する必要があります。

(1)まだ売れていなければただちに出品を削除する

出品しただけでまだ販売していない、あるいはすでに販売した商品はあるもののほかにも薬機法に抵触する出品が残っているという状態なら、ただちに出品を削除しましょう。実際に販売した事実がなければ薬機法違反で処罰されることはありません。

(2)すでに販売していれば謝罪・回収が必要になる

法律の規制を知らないまま薬を販売してしまった場合は、ただちに購入者に連絡を取り、謝罪したうえで商品を回収しなくてはなりません。すでに販売してしまった事実を取り消すことはできませんが、謝罪のうえで返金などの対応を取れば、購入者から告発されてしまう事態は回避できる可能性は高いでしょう。

ただし、購入者への連絡・謝罪対応や厳しい処罰を求めない旨の確認書の取り交わしなども必要になるため、弁護士に相談してサポートを得ることをおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

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