転売ビジネスが違法になるケースとは? 罰則と順守すべきルール

転売ビジネスが違法になるケースとは? 罰則と順守すべきルール

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

フリマアプリやネットオークションを利用した転売ビジネス、いわゆる「せどりビジネス」は、わずかな時間さえあれば誰でも気軽にお金を稼ぐことができる副業として人気を集めています。

一方で、違法な転売ビジネスによる逮捕の報道も目につきます。そのため、転売をしてみたいが違法になるかもしれないと不安を感じている方もいるでしょう。そこで今回は、転売ビジネスの違法性や、逮捕を避けるために必ず守るべきルールを解説します。

1. 転売が違法になるケースとは?

第一に、フリマアプリやネットオークションを活用した転売行為そのものは違法ではありません。ただし、転売する物品や転売の態様によっては法律に違反してしまうことがあります。

(1)迷惑防止条例に違反するケース

コンサートやスポーツの会場などで、転売を目的として入場券・チケットを購入したうえでこれらを買い求めている客に高値で転売する行為を「ダフ屋」といいます。

以前は人気アーティストのコンサート会場やチケットの入手困難なスポーツ観戦の会場でよく目にする行為でしたが、ダフ屋行為は各自治体が定める迷惑防止条例で禁止されています。一部、ダフ屋行為が禁止されていない自治体もありますが、現在では、ほとんどの地域で禁止されています。

(2)古物営業法に違反するケース

転売する商品が未使用の新品でも、転売目的で購入した物品をビジネスとして販売するためには古物営業の許可が必要です。

そもそもフリマアプリやネットオークションは、使用済みや余剰など不要となった物品を販売できるサービスであり、転売目的で仕入れた物品を販売できるサービスではありません。そのため、古物営業の許可を得ていない場合は古物営業法違反となります。

(3)チケット不正転売禁止法に違反するケース

チケットの不正転売が大きな社会問題となったことを背景に、令和元年6月に「チケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)」が施行されました。

この法律の制定によって、アーティストのコンサートやスポーツ観戦のチケットの転売行為のほとんどが禁止されています。違反とならないのは、興行主の同意があり、本来の販売価格以下で転売するケースのみです。しかし、高額で転売しないとビジネスとしては成立しないので、フリマアプリやネットオークションで横行している高額なチケット転売は違法だといえます。

2. 転売の罰則と逮捕の可能性

違法な転売行為をすると、警察の捜査を受けたうえで刑事裁判にかけられ、刑罰が科せられる可能性があります。捜査の必要によっては、逮捕による身柄拘束を受けることもあるでしょう。

(1)各法律に違反した場合の罰則

転売行為が法律に違反する場合の罰則は次の3つです。

①迷惑防止条例違反の場合

6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
※各自治体によって異なります

②古物営業法違反の場合

3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。なお、古物営業法に違反した場合は、新たに古物商の許可を申請しようとしても5年間は許可を受けられません。

③チケット不正転売禁止法違反の場合

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらを同時に科されます(併科)。

(2)転売行為で逮捕される可能性は?

転売行為が違法となる場合でも、必ず逮捕されるとは限りません。逮捕は、被疑者が逃亡・証拠隠滅をはかるおそれがある場合に認められる強制手続きのひとつであり、これらの危険がなければ逮捕は認められないことになります。

転売行為で逮捕されるのは、厳しい処罰から逃れようと画策する疑いがあるケースが主となるでしょう。そのため、長期間にわたって転売行為を繰り返して巨額の利益を得ていたケースや、複数の人間が共謀して組織的に転売ビジネスを展開していたケースでは、逮捕の可能性が高まります。

また、人気商品や入手困難なチケットの転売など、世間の注目を浴びやすいケースでも告発を受けた警察が捜査を始める可能性が高く、逮捕されやすいといえます。

(3)転売ビジネスで守るべきルール

フリマアプリやネットオークションでは、運営者が利用規約を示して違反行為がないように注意を喚起しています。出品禁止の商品などは利用規約に記載されているだけでなく、各サービス・サイトの利用に関するガイドにもわかりやすく記載されているので、利用規約を順守して正しく利用しましょう。

フリマアプリやネットオークションの利用規約を順守していれば法律に違反してしまう事態にはならないので、運営者からの出品削除やアカウント停止などの措置を受けた場合は、利用方法を見直すように心がけましょう。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年12月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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