- (更新:2021年10月22日)
- 犯罪・刑事事件
少年事件における成果とは何か? ~少年院回避にとどまらぬ、少年に満足してもらう弁護活動~
私たちは弁護士として、仕事の成果に対する報酬をいただきます。金銭の支払いを請求する事件であれば、請求が認められた、あるいは免れられた金額が成果になります。成人の刑事事件であれば、不起訴や執行猶予、無罪といったものが成果でしょう。それでは、少年事件における成果とは何でしょうか?
本稿では、少年事件において、成果と考えられるものを見ることにより、弁護士が提供できるサービスの内容について、理解を深めてみたいと思います。
1. 回避したい少年鑑別所や少年院
少年事件でも、明確に「成果」と言えるものがある時もあります。「少年鑑別所に入らずに家に帰れた」「少年院に入らずに家に帰れた」といったものは、間違いなく成果でしょう。
私も、観護措置を付して鑑別所に行くかどうかの判断をするタイミングを、ひとつの目安として活動しています(参照:“ネリカン”は嫌だ!?少年鑑別所に行かない方法 ~逮捕勾留:少年編~)。裁判所が、その少年をもっと知る必要があると考えるだけで入れることが認められる鑑別所について、不要という判断を取れた時は、「やったぞ」という気分になります。
しかし、事案の性質上、どうしても観護措置が認められてしまう事件もあります。このような場合でも、観護措置段階でしっかり活動報告を行うことには、その後の手続で主導権を握るためにも意味があることではあるのですが、はっきりとわかる成果は得られません。
少年院の可能性が高い事件では、特に気合を入れて取り組みます。上記の観護措置段階に加えて、あらゆる局面で、少年の心に影響を与えそうなことを試み、取り組みを資料化します。
また、少年院は、究極的には、家庭で今後の更生を担えるかという問いに、応えられない時に行くものです。したがって、親にも必要な知識を伝え、時に一緒に勉強してもらったりします。そうして、鑑別所などが少年院に行かせるべきだと言う意見を出してきたとしても、その問題が解決済みであることを示します。
鑑別所や検察庁などが、少年院がふさわしいと言う中、少年院に行かないで済む結論を得られた時は、大きな手ごたえを感じます。
特に少年事件は、成人の刑事事件と異なり、不利な点を全て受け入れて、かつそこへの「克服」を示すと有益なことが多いため、少年の更生のために良いことをしたという気持ちも強く持てます。
しかし、少年事件は、少年院にまで行く必要がないものも多いです。そういう事件では、時として処分を一切受けない不処分や、審判すら開かなくて良い不開始になることもありますが、大半は保護観察処分ぐらいは受けることになります。そうすると、何をやっても保護観察なら、成果とは何なのかという問いが、出ることになります。
このように少年事件では、成果がはっきりとわかる事件と、はっきりわかりにくい事件があるのが実情です。
2. 結論は同じでも道筋や未来は異なる ~少年が抱える悩みの解決こそ「成果」だ~
このように述べてきましたが、私は成果が分かりにくい事件でも、私を雇うことに意味があると思っています。より正確に言えば、意味があると言えるような、サービスを心がけています。
少年事件の登場人物となる少年は、何らかの刑事法違反にあたる行為、犯罪を行ってしまっています。世の中の多くの人が「しない」ことを「して」しまっているわけです。
その背景には、やはり何らかの悩みを抱え、通常の人では至らないような思考に陥ってしまっているということがあります。そして、それが将来的には重い犯罪として出てきてしまう前兆として、軽い犯罪が行われていたりします。
そうすると、目先の少年鑑別所や少年院といったものを抜きにすれば、刑法や大人の作った基準での評価が重いか軽いかに関係なく、少年事件では少年の悩みを解決すべきであり、そのことが問題の抜本的な解決につながる。そのような解決こそ、真に提供すべき成果ではないかとも考えられます。
少なくとも私は、そのような意識で、少年事件に臨んでいます。
3. 究極的には、「成果」の有無は少年が決めればよい
以上のような意識で取り組むと、少年事件での弁護士の活動の幅も、ぐんと広がります。少年法上の手続を利用して、少年の人生をよくするために何ができるかを必死に考えるからです。詳細は、別稿でまた紹介したいと思いますが、法律以外の専門的な知識を活用することもあれば、単にひたすら少年とお話をし続けるだけでも、意味があることもあります。
少年事件の手続がなければ話すことなかった人間と話した、そのことによって自分の考え方が少し変わった、学校や大学での過ごし方が少し変わった、世の中の見え方が少し変わった、そのような経験を少年が持ってくれて、今後の人生に良いものを少しでも得られたなら、それは立派な成果だと私は考えます。
4. 少年が「成果」を得るには親の協力が必要
問題を起こしてしまった少年が、警察署で、あるいは鑑別所で、時間制限なく話ができるのは、弁護士だけです。その弁護士と話した内容によって、今後の人生の歩み方や事件との向き合い方が変わってくることもあります。
そのことによる「成果」が、本当に実を結んでくるのは、少年事件の手続が終わった後、しばらくしてからかもしれません。しかしその中身は、目先を超えた、将来にまでわたるものかもしれません。
そんな大きな成果を生み出せる可能性が、少年事件における弁護士の活動には秘められています。少なくとも、私は秘められていることを実感してきました。
少年が人生において二度と経験しないかもしれない手続における少年のパートナーである弁護士。それを選び、機会を提供できるのは、皆さまご両親です。
- こちらに掲載されている情報は、2021年10月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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