- (更新:2021年09月21日)
- 犯罪・刑事事件
逮捕・勾留からの自由を勝ち取れ~身柄解放:基礎知識編~
「私は逮捕されるんですか!?」
犯罪の疑いをかけられた時、真っ先によぎる不安だと思います。実際、日々の相談を受けていても、逮捕されるのかという不安を抱えて相談される方は多いです。私がいつもお伝えしていることは、逮捕や勾留にはルールがあるということです。このルールに従ってやれる時はやれる、やれない時はやれないという結論になります。また、捜査機関がやれると思って逮捕・勾留に踏み切ったとしても、弁護士を通して身柄解放を勝ち取っていく方法もあります。これも、逮捕・勾留のルールに従って、戦っていきます。
今回は、そのような逮捕・勾留のルールについて、まずは基礎知識をお伝えしようと思います。
1. 逮捕・勾留には、罪証隠滅と逃亡を防ぐという目的がある
この世の中で犯罪を疑われた人の大半は、逮捕されていません。逮捕・勾留をするには、人の自由を奪うだけの理由がないといけません。刑事訴訟法は、「罪証隠滅のおそれ」と「逃亡のおそれ」がある時、それだけの理由があると考えます。勾留について定める刑事訴訟法60条や、保釈に関する刑事訴訟法89条には、住居不定や犯罪の重さ、常習性など、もう少し具体的な条件も書かれていたりしますが、これは「罪証隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」が認められる場合を具体化したものであり、結局は上記「罪証隠滅」「逃亡」の2点が問題です。
罪証というのは犯罪の証拠を指すわけですが、この証拠には人の供述も含まれています。そのため、組織的に行っていて関係者が多かったり、被害者が顔見知りだったりすると、逮捕・勾留の可能性は上がることになります。また、前科があったり、今回の犯罪が重いもので、刑務所に行く可能性が高かったりする時も、刑務所に行きたくないから逃げる可能性が高いとして、「逃亡のおそれ」が認められやすくなります。
よくある質問として、罪を否定していると逮捕されるのではないかというものもありますが、これも罪証隠滅と逃亡の観点から説明すると、罪を否定する以上、犯罪の成立にむかう証拠や証言を何とかしたいという動機が働き、罪証隠滅のおそれが高まるということになります。逆に言えば、罪を否定していようが、そもそも何とかしなければいけない証拠がすでに全て警察の手元にあるのなら、罪証隠滅のおそれはないことになります。
なお、「罪証隠滅」「逃亡」が認められてしまうとしても、勾留によって防げる問題に比して、仕事や家庭、被疑者の病気の状態など、勾留されることによって受ける不利益が大きい場合は、勾留の必要性に欠けるとして、やはり勾留を認めない判断をすることがあります。
このように、逮捕と勾留は、なぜ認められるか認められないかについて、ある程度論理的に説明が可能なものです。
2. 逮捕・勾留は時間制限を生む
「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」が認められるとしても、捜査機関は必ず逮捕・勾留をするわけではありません。なぜなら、捜査機関にとって、逮捕・勾留をすることによるデメリットもあるからです。ひとつの事件につき逮捕は最大3日、勾留は最大20日しか認められず、約20日内に事件を処理する必要が生じるため、非常にスケジュールが厳しくなります。そのため、何が何でも逮捕・勾留をするというわけではなく、また事件によってはある程度証拠を集めた後に、逮捕・勾留へ踏み切る判断をします。このような捜査側の戦略については、各証拠の取り扱いにどれくらいの時間がかかるかといった事情を理解している弁護士に相談すると、現在なぜ逮捕されていないのかについて、より正確に把握できるかもしれません。
なお、法律は勾留の期間を原則10日としていますが、勾留の延長は、身柄拘束下で捜査を続ける必要性がある場合に認められるため、最初から20日想定でスケジュールを組んでいる捜査機関の希望通りに、原則20日認められるのが実情です。
3. 勾留は裁判で決まる、そして意外と勝てる
逮捕と比べて、勾留は20日と長い期間の身柄拘束につながるため、裁判官が裁判で決定をしています。もっとも、書類だけで行う裁判であるため、そのままだと捜査機関が作った書類だけで判断されます。被疑者側の事情は、弁護士が裁判官に提出しないと反映されません。しかも、勾留前だと国選弁護士はつかないため、自ら弁護士を雇わないと、そういったアクションは取れないです。
逮捕後いち早く弁護士に依頼する一番のメリットは、この最初の勾留の裁判に関与できるところが一番大きいです。令和2年版犯罪白書(法務省)を見ると、勾留請求の却下率は上昇し続けているようですが、それでも1桁%にとどまります。一方で、私が逮捕前に依頼を受けた事件の体感で言うと、勾留請求却下を取れているケースも決して少なくないです。罪を否定している事案でも、勾留を阻止できたことがあります。
「1.逮捕・勾留には、罪証隠滅と逃亡を防ぐという目的がある」で述べた、「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」、そして勾留されることによって生じる不利益と比較する「勾留の必要性」、それぞれの刑事訴訟法上のルールを踏まえて、その事案に合わせた必要な事実を示せる資料を用意し、ルールに従った主張を意見書として提出する。当たり前と言えば当たり前のことですが、これを逮捕後、依頼を受けて勾留の裁判があるまでに準備するのは、かなりのフットワークの軽さが必要になります。
しかし、それを行って、いち早く依頼者を牢獄から解放してみせるのは、刑事弁護を行う醍醐味のひとつと言っても良いのではないでしょうか。
普通の裁判が控訴できるのと同様、勾留の裁判も別の裁判官の判断を求められるのですが、チャンスは最初からあった方が多くなります。身内や知人が逮捕された方や、逮捕される危険と不安を抱えている方は、刑事事件と身柄解放に精通した弁護士にご依頼されることをおすすめします。
次稿では、もう少し具体的に、身柄解放のための活動内容を紹介してみようと思います。
- こちらに掲載されている情報は、2021年09月21日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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