勾留を受ける場所はどこ? 留置場と拘置所の違いとは?

勾留を受ける場所はどこ? 留置場と拘置所の違いとは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

刑事事件の被疑者や被告人になると「勾留」による身柄拘束を受けることがあります。
勾留を受けると、自由な行動が制限され、自宅へ帰ることも会社や学校に通うことも許されません。

では、実際に勾留された被疑者や被告人はどこで身柄を拘束されるのでしょうか?

1. 勾留されるのは被疑者・被告人として身柄拘束されるとき

勾留を受けるのは、刑事事件の被疑者として身柄を拘束されるときと、刑事裁判の被告人として起訴されたときです。

(1)被疑者としての勾留

刑事事件を起こして逮捕されると、警察段階で48時間、検察官の段階で24時間の合計最大72時間にわたる身柄拘束を受けます。
検察官は、自らも被疑者を取り調べたうえで起訴・不起訴を判断しますが、逮捕からわずか2日程度しか時間が経過していないため、取り調べが徹底されたとはいえません。
起訴・不起訴という重大な判断を下すためには、材料が足りないのです。

そこで、検察官は「さらに身柄を拘束して取り調べる必要がある」として、裁判官に身柄拘束の延長を求めます。
この手続きを「勾留請求」といいます。

裁判官が勾留を認めると、初回の許可では最大で10日間、延長によってさらに10日間、合計で最大20日間までの勾留を受けます。
被疑者段階での勾留は、1個の犯罪、1個の逮捕につき20日間が限界です。
20日間の勾留が満期を迎えるまでに、検察官は被疑者を起訴するか、あるいは不起訴として釈放しなくてはなりません。

(2)被告人としての勾留

刑事裁判の被告人として起訴されると、刑事裁判への出廷を確保するために勾留されることがあります。

被疑者段階で逮捕・勾留を受けていた場合は自動的に被告人としても勾留を受けますが、身柄を拘束されず在宅起訴された場合は、裁判官の判断による勾留が認められています。

被告人としての勾留を受ける期間は、原則2か月間です。
ただし、被告人が証拠隠滅を図るおそれがあるなどの状況があれば1か月ごとの更新が可能なので、実質的に刑事裁判が終わるまで無制限で勾留が延長されることになります。

被告人としての勾留が決定した段階からは保釈の請求が可能です。
保釈が認められれば勾留が解除されて一時的に身柄拘束が解かれるので、裁判に向けた対策を講じたり、実刑が避けられない場合は身辺整理を進めたりする時間が確保できるでしょう。

2. 勾留はどこで受けるのか?

勾留を受ける場所も、被疑者段階と被告人段階とで異なります。

(1)被疑者段階では警察署の留置場

被疑者として勾留される場合の勾留先は「刑事施設または代用刑事施設」です。
ただし、実質的には代用刑事施設として警察の留置施設で勾留する運用が取られています。

警察の留置施設とは、警察署内に設備されている留置場や、警察本部が管理している留置センターなどです。
被疑者段階の勾留では、検察官による指揮のもとで警察による取り調べが続くため、警察の施設で勾留したほうが都合がよいという事情もあり、留置場での勾留が一般的な運用となっています。
なお、各都道府県で女性を留置できる場所は限定されており、地域によっては結構な移動を要する場所にもなってしまうようです。

警察署の留置場は、あくまでも被疑者を留置するための施設なので、懲罰として身柄を拘束する場所ではありません。
自由な行動が許されるわけではありませんが、睡眠や食事といった当然の権利は確保されており、家族などとの面会や差し入れを受けることも認められています。ただし、一度に差し入れられる数や物については、各警察署でそれぞれ異なるところもある点には、注意が必要です。事前に差し入れが可能かどうかなどの確認を取るのも無難でしょう。

(2)被告人段階では拘置所

被告人段階での勾留先は「拘置所」です。起訴後しばらくしたところで、留置所から移動します。
拘置所は法務省が管轄する施設で、被告人のほか、死刑が確定している囚人、懲役刑等を受けている受刑者も収容されています。

検察官に起訴されて被告人となった段階で、警察署の留置場から拘置所へと移送されますが、拘置所の収容可能人員は多くないので、被告人になっても警察署の留置場で勾留されるケースも少なくありません。

拘置所に勾留されている間は、期日に従って刑事裁判に出廷することになります。

刑務所のように懲罰として身柄を拘束されているわけではないので、刑務作業は強いられません。
提供される食事が物足りないと感じる場合は弁当や飲料の自費購入も可能です。

拘置所が定めている制限はあるものの、家族などによる面会も認められています。

警察署の留置場で勾留されている間の処遇と比べると自由に過ごすことができますが、あくまでも刑事裁判の被告人として身柄拘束を受けているため、不自由に感じることが多いのは事実です。
保釈が認められる状況であれば積極的に保釈を請求して身柄拘束の解除を目指すべきでしょう。

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