屋根修理の「点検商法」の詐欺被害が増加中…トラブル・被害を防ぐには?
高齢者などをターゲットにして、屋根修理工事を持ちかけて高額の金銭をだまし取る詐欺手口が横行しています。
屋根修理業者から勧誘を受けたら、基本的には応じないようにしましょう。もし悪徳業者による詐欺被害に遭ってしまったら、速やかに行政機関や弁護士などにご相談ください。
本コラムでは、屋根修理に関する詐欺の手口・トラブルのパターン・被害を防ぐ方法などを解説します。
1. 屋根修理詐欺(屋根工事詐欺・点検商法)とは?
高齢者などの家を訪問して、屋根の損傷を指摘し、修理を勧誘する詐欺手口が横行しています。「屋根修理詐欺」「屋根工事詐欺」「点検商法」などと呼ばれています。
屋根工事詐欺・点検商法については、国民生活センターが注意喚起をしています。
国民生活センターに寄せられた屋根工事詐欺・点検商法に関する相談件数は、2018年の923件に対して2022年は2885件と、わずか4年間で3倍以上になったとのことです。
出典:独立行政法人国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-」特に戸建て住宅に住んでいる方は、屋根工事詐欺・点検商法の被害に遭わないように注意を払う必要があります。
2. 屋根工事詐欺・点検商法の典型的な手口
屋根工事詐欺・点検商法のよくある手口としては、以下の例が挙げられます。
- 自宅を訪問し、「ドローンで屋根の損傷を見つけた」などと言って修理をすすめる
- 突然電話をかけてきて、屋根の修理をすすめる
- チラシを投函(とうかん)して、連絡してきた人に対して屋根の修理をすすめる
- 「家が損壊する」「近隣の迷惑になる」などと不安をあおり、修理契約を迫る
- 「屋根を見せてほしい」と言って屋根に上がり、意図的に屋根を損傷させ、損傷箇所の写真を見せた上で修理をすすめる
- 「火災保険を使えば自己負担なし」などと言って、屋根の修理をすすめる
なお火災保険については、屋根修理には適用できないケースが多いと考えられます。屋根修理の必要性は経年劣化によって生じることが多いところ、経年劣化は火災保険の対象外とされているためです。
また、詐欺業者が意図的に屋根を損壊したケースでは、火災保険の保険金を請求できないことは言うまでもありません。
上記のような手口はいずれも、不必要な屋根修理を押し付けて高額の代金をだまし取ることを目的としています。消費者としては、このような詐欺手口にだまされないように注意しなければなりません。
3. 屋根工事詐欺・点検商法による契約後のトラブル
屋根工事詐欺・点検商法にだまされて修理契約を締結してしまい、以下のようなトラブルに巻き込まれるケースがよく見られます。
(1)パターン①|法外な違約金・手数料等を請求される
勧誘の勢いに負けて屋根修理の契約を締結した方は、後で考え直して契約の解消を申し出るケースがよくあります。
しかし、詐欺業者が契約の解消にすんなり応じるとは考えられません。
契約書をよく読むと、契約解消時には法外な違約金や手数料などを請求できると書かれていることが多いです。詐欺業者は契約の条文を盾にして、多額の金銭の支払いを要求してくる可能性があります。
「払わなければ裁判を起こす」「弁護士を通じて強制的に回収する」などと不安をあおることも、詐欺業者の常套(じょうとう)手段です。
(2)パターン②|代金を支払った後に工事が行われない
屋根修理の工事代金を先払いしたにもかかわらず、詐欺業者が工事を行わずに逃げてしまうケースもあります。
本来であれば、工事代金を支払う義務が生じるのは、工事が完了してからです。工事業者から代金の先払いを求められても、絶対に応じてはなりません。
4. 屋根工事詐欺・点検商法のトラブル・被害を防ぐには
屋根工事詐欺・点検商法のトラブル・被害を防ぐための予防策や、実際に詐欺被害に遭ってしまった場合の対処法を紹介します。
(1)よくある手口を知っておく
屋根工事詐欺・点検商法の被害に遭わないようにするためには、そのよくある手口について知識を備えておくことが大切です。
本コラムで挙げた例や、国民生活センターのウェブサイトで紹介されている被害事例などを確認しておきましょう。そうすれば、実際に屋根工事詐欺・点検商法の勧誘を受けた際にも、適切に警戒することができます。
(2)別の業者からも見積もりを取得する
屋根修理が必要だと言われて不安になった場合は、別の業者にも相談してみましょう。そもそも屋根修理は必要ないと言われるかもしれませんし、詐欺業者よりもはるかに低額で工事をしてもらえるケースもあります。
特に工事代金については、複数の業者から費用の見積もりを取得して比較することで、不相当に高額な金銭を支払うリスクを抑えられます。
(3)クーリングオフをする
訪問販売や電話勧誘販売等によって屋根修理の契約を締結した場合は、契約締結書面の交付を受けた日から8日間に限り、特定商取引法に基づくクーリングオフが認められます。
内容証明郵便等でクーリングオフ通知を発送すれば、発送日付でクーリングオフの効力が生じます。クーリングオフの期間は短いので、早急に対応しましょう。
(4)消費者契約法・特定商取引法に基づいて契約を取り消す
事業者によって不当な勧誘がなされた場合、消費者は消費者契約法または特定商取引法に基づいて契約を取り消せることがあります(消費者契約法4条、特定商取引法9条の3など)。
屋根修理の契約に関して、契約取り消しの対象となる不当な勧誘行為としては、以下の例が挙げられます。
- 重要な事項について、事実と異なることを告げる
- 消費者の不利益となる事実を故意に告げない
- 退去を求められたのに、居座り続ける
- 消費者の不安をあおる
- 加齢による判断能力の低下に付け込む
- 霊感商法
- 契約を締結する前に工事を行い、原状回復を困難にする
- 契約を締結する前に工事を行い、契約を締結しなければ損失補償を請求する旨を告げる
など
上記の理由による契約の取り消しは、クーリングオフ期間が過ぎても行うことが可能です。
(5)行政機関や弁護士などに相談する
だまされて屋根修理の契約を締結してしまい、どのように対処すべきか分からず困っている方は、以下の窓口などへご相談ください。
①消費生活センター・消費者ホットライン
参考:消費者庁「消費者ホットライン」②公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
参考:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「相談サービスのご案内」③弁護士
特にクーリングオフや契約取り消しをしたい場合、詐欺業者に対してすでに代金を支払ってしまった場合などには、弁護士に相談しましょう。法律上必要な手続きや、返金請求の交渉・訴訟などをサポートしてもらえます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年09月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
犯罪・刑事事件に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年10月03日
- 犯罪・刑事事件
-
- 2024年09月13日
- 犯罪・刑事事件
犯罪・刑事事件に強い弁護士
-
電話番号を表示する 050-2018-0940
-
電話番号を表示する 050-2018-0940
-
電話番号を表示する 050-2018-0940
-
電話番号を表示する 050-2018-0940
-
電話番号を表示する 050-2018-0940