器物破損で警察は動かない? 逮捕されることはある?

器物破損で警察は動かない? 逮捕されることはある?

器物損壊は、暴行事件や窃盗事件などに比べると検挙率が低いですが、逮捕される可能性がないわけではありません。もし器物損壊をしてしまったら、刑事弁護などについて速やかに弁護士へご相談ください。

本コラムでは、器物損壊罪の概要や検挙率、逮捕された場合の手続きやリスク、器物損壊をしてしまった場合の対処法などを解説します。

1. 器物破損をしても警察は動かない? 捕まらない?

器物損壊は比較的軽微な犯罪であるため、やってしまっても警察に逮捕されることはないと思われがちです。しかし実際には、器物損壊によって逮捕されているケースは少なからずあります。

(1)器物損壊罪とは|構成要件を解説

「器物損壊罪」とは、故意に他人の物を損壊した場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料」とされています(刑法第261条前段)。

器物損壊罪は、以下の構成要件を満たす行為について成立します。

  1. 他人の物

    器物損壊罪の対象物は、他人の所有物です。ただし、公用文書等・私用文書等・建造物・艦船の損壊は別の犯罪によって処罰されるので、器物損壊罪の対象からは除外されています。

  2. 損壊したこと

    「損壊」とは、物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為をいいます。具体的には、物を破壊する行為に加えて、物に対して放尿や落書きをする行為なども「損壊」にあたります。

上記の構成要件に加えて、行為者の故意も処罰の要件とされています。したがって、誤って物を壊してしまった場合には、器物損壊罪による処罰の対象になりません(民事上の損害賠償責任を負うことはあります)。

(2)器物損壊罪の検挙率

令和5年版犯罪白書によると、器物損壊罪の認知件数5万4750件に対して検挙件数は7879件で、検挙率は14.4%でした。暴行(検挙率83.7%)や窃盗(検挙率36.3%)などに比べると、器物損壊罪の検挙率は低くなっています。

出典:法務省「令和5年版犯罪白書」p4

器物損壊罪の検挙率の低さには、暴行や窃盗などに比べて法益侵害の程度が軽いことや、犯罪の痕跡が残りにくいことなどが影響していると思われます。

しかしながら、実際に7879件の器物損壊事案が検挙に至っていることから、被害額の大きい事案や痕跡が顕著に残っている事案では、器物損壊罪で逮捕される可能性は十分あると考えるべきでしょう。

(3)現行犯逮捕でなくても、器物損壊罪で逮捕されることはある

器物損壊罪で逮捕されるのは現行犯のケースが多いと考えられますが、「現行犯でなければ逮捕されない」というのは誤りです。

現行犯逮捕されなかった場合でも、犯行現場の周辺に設置された防犯カメラの映像や、目撃者の証言などを手がかりにして捜査が行われ、後日逮捕されることはあります。

特に被害額が大きい場合には、被害者はなんとかして犯人を突き止め、刑事訴追と損害賠償を求めようと行動する可能性が高いでしょう。「器物損壊で逮捕される可能性は低い」などと安易に考えることなく、逮捕のリスクは十分にあることを正しく認識すべきです。

2. 器物損壊罪で逮捕されたらどうなる?

器物損壊罪で逮捕されると、刑事手続きを通じて処分が決定されます。逮捕によって家族・知人・職場の人などからの信頼を失ってしまうほか、最終的に有罪判決が確定すれば前科が付いてしまうので注意が必要です。

(1)逮捕後の手続きの流れ

器物損壊罪で逮捕された場合、大まかに以下の流れで刑事手続きが進行します。

①逮捕~起訴前勾留

被疑者を身柄拘束したうえで、警察官や検察官による取調べ(質問)が行われます。逮捕の期間は最長72時間(3日間)、起訴前勾留の期間は最長20日間です。

②起訴・不起訴

起訴前勾留の期間が満了するまでに、検察官が被疑者を起訴するかどうかを決定します。不起訴処分の場合は刑事手続きが終了となり、被疑者は釈放されます。

また、器物損壊罪で罰金または科料が求刑される場合は、被疑者の同意を得て略式起訴が行われることもあります。略式起訴の場合は、罰金または科料を納付した後、被疑者は釈放されます。

③起訴後勾留

正式起訴された被疑者は、「被告人」へと呼称が変わり、引き続き身柄が拘束されます。被疑者は起訴後勾留の期間において、公判手続きの準備を整えます。

なお、起訴後勾留に移行した後は、裁判所に対して保釈を請求することができます。保釈が認められた場合は、保釈保証金を預けることを条件として、被告人の身柄が一時的に解放されます。

④公判手続き・判決

裁判所の公開法廷で公判手続きが開催され、被告人の有罪・無罪および量刑が審理されます。審理が熟したら、裁判所が判決を言い渡します。

⑤控訴・上告

一審判決に対しては控訴、控訴審判決に対しては上告を行い、不服を申し立てることができます。

⑥判決の確定・刑の執行

控訴・上告の手続きを経て、判決が確定します。有罪判決であれば原則として刑が執行されますが、一定期間刑の執行が猶予されることもあります。

なお、器物損壊罪については、逮捕されずに在宅で捜査が行われるケースも多いです。在宅捜査の場合は、検察官が適宜のタイミングで不起訴・略式起訴・正式起訴のいずれかの処分を行います。

(2)器物損壊罪で逮捕された場合のリスク

器物損壊罪で逮捕されると、家族からの信頼を失ってしまうかもしれません。また、知人や職場の人に逮捕を知られれば、人間関係やキャリアへの影響も避けられないでしょう。

また、刑事裁判によって有罪判決が確定すると、前科がついて生活に支障が生じるおそれがあります。特に実刑判決の場合は刑務所に収監されてしまうので、早い段階で弁護士に相談して対応を検討しましょう。

3. 器物破損をしてしまった場合の対処法

器物損壊をしてしまったら、逮捕や重い刑事処分を避けるために以下の対応を行いましょう。

  1. 弁護士に相談する

  2. 被害者と示談交渉をする

  3. 自首する

(1)弁護士に相談する

器物損壊をしてしまったら、まずは速やかに弁護士へ相談することが大切です。刑事事件を得意とする弁護士に相談すれば、逮捕や重い処罰を避けるため、どのような対応をすべきかについて具体的なアドバイスを受けられます。

(2)被害者と示談交渉をする

器物損壊罪は親告罪なので、被害者などの告訴がなければ刑事訴追されることはありません(刑法第264条)。

被害者との示談交渉がまとまれば、器物損壊罪の告訴を控えてもらえる(または告訴を取り下げてもらえる)可能性があります。被害者に対して誠実な被害弁償を提案し、示談交渉の妥結を目指しましょう。

(3)自首する

器物損壊が警察に発覚する前に自首すれば、その事実が良い情状として考慮され、逮捕・起訴される可能性が低くなります。また、実際に刑事訴追されたとしても、自首を理由に刑を減軽することが認められています(刑法第42条第1項)。

器物損壊をしてしまったら、弁護士と相談したうえで、警察への自首を検討しましょう。

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年09月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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