履歴書に嘘を書いた…バレた場合のリスクとは? 刑事罰の可能性も
就職活動や転職活動の際には、必ず履歴書を提出することになりますが、少しでも有利に選考を進めるために履歴書に嘘の経歴・職歴などを記載してしまうことがあります。このような嘘の記載がバレた場合、刑事罰や解雇・懲戒処分などを受けるリスクがありますので注意が必要です。
本コラムでは、履歴書の嘘がバレたときのリスクと対処法について解説します。
1. 履歴書に嘘を書くと罪になる可能性がある
履歴書に嘘を書くと罪になる可能性があります。以下では、履歴書に嘘の記載をした場合に成立しうる犯罪を紹介します。
(1)学位や官公職の職歴を詐称した場合
学位や官公職の職歴を詐称した場合、軽犯罪法違反に問われる可能性があります(軽犯罪法1条15号)。軽犯罪法違反になった場合、拘留または科料の刑罰が科されます。
軽犯罪法違反の捜査では、直ちに逮捕されるのではなく在宅捜査になるケースが多いです。また、「軽犯罪」という名称ですが、有罪となれば前科がつきますので注意が必要です。
(2)保有資格を詐称し手当を受給した場合
会社によっては一定の資格を保有している人に対して、資格手当が支給されることがあります。履歴書に嘘の経歴を記載し、本来もらうことができないにもかかわらず会社から手当を受給した場合、詐欺罪が成立する可能性があります(刑法246条1項)。詐欺罪が成立した場合、10年以下の懲役に処せられます。
長期間にわたって多額の手当てをだまし取っていたなどの悪質なケースでは、初犯であっても実刑になる可能性がありますので注意が必要です。
(3)履歴書の書類を偽った場合
履歴書に添付する書類を偽造した場合には、私文書偽造罪(刑法159条)または公文書偽造罪(刑法155条)が成立する可能性があります。
私文書偽造罪は、私文書を偽造した場合に成立する犯罪ですので、卒業証明書や成績証明書などを偽った場合に成立します。私文書偽造罪が成立すると、3月以上5年以下の懲役に処せられます。
公文書偽造罪は、公文書を偽造した場合に成立する犯罪ですので、住民票、免許証、健康保険証などを偽った場合に成立します。公文書偽造罪が成立すると、1年以上10年以下の懲役に処せられます。
2. 刑事罰以外でのリスクは?
履歴書や職務経歴書の嘘の記載がバレた場合、刑事罰以外でどのようなリスクが生じるのでしょうか。
(1)内定取り消しの可能性
入社前に履歴書の嘘の記載がバレた場合、採用内定が取り消される可能性があります。
通常は企業から内定が出た時点で就職活動は終了しますので、内定取り消しを受けると、他の企業への就職も難しくなりますので大きなダメージを受けることになります。
(2)懲戒処分を受ける可能性
企業に入社後に履歴書の嘘の記載がバレた場合、経歴詐称などを理由として懲戒処分を受ける可能性があります。
懲戒処分の種類としては、戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇があり、どのような懲戒処分が選択されるかは、経歴詐称の内容や程度などを踏まえて判断されます。そのため、軽微な嘘であれば軽い懲戒処分で済む可能性もあります。
もっとも、軽微な処分で終わったとしても、懲戒処分をされたという事実や経歴詐称・学歴詐称などがあったという事実は変わりません。
社内での評判が悪化して、職場での立場が悪くなるというリスクもあり、上司や同僚からの好奇の目にさらされることに耐えられなくなれば、自ら会社を辞めざるを得ない状況になることもあります。
(3)懲戒解雇の対象となる可能性
採用にあたって重視されていた資格を有していなかった、これまでの職歴を重視して採用したのに嘘の職歴だったなど、履歴書に重大な嘘があった場合には、懲戒解雇の対象になる可能性もあります。
懲戒解雇となれば、退職金の全部または一部が不支給になる、転職活動において不利に扱われるなどのリスクがあります。また、経歴詐称が原因で会社に損害が生じたような場合には、会社から損害賠償請求をされる可能性もあります。
3. 履歴書の嘘がばれてしまった場合の対処方法
履歴書の嘘がバレたときは、さまざまなリスクがありますのですぐに弁護士に相談することをおすすめします。
(1)逮捕・勾留による身柄拘束を回避できる
履歴書に嘘の記載をしたことで犯罪に該当する場合には、逮捕・勾留による身柄拘束を受ける可能性があります。逮捕・勾留による身柄拘束は、最長で23日間にも及びますので、日常生活への影響が非常に大きなものとなります。
このような不利益を回避するためには、被害者との間で示談を行い、被害届や告訴状の提出を回避することが特に重要となります。
弁護士であれば、被害者との示談交渉を代わりに行うことができますので、本人同士で示談交渉をする場合に比べて示談が成立する可能性が高くなるでしょう。
(2)逮捕中の取り調べのアドバイスができる
警察に逮捕されてしまうと、その間は家族であっても面会をすることができません。逮捕中に面会が認められているのは弁護士だけですので、早期に弁護士に依頼をすれば、捜査機関からの取り調べに対するアドバイスを受けることができます。
警察に身柄拘束されるのは多くの方にとって初めての経験になります。そのような状態で不慣れな取り調べを受けると、不利な供述調書をとられてしまう可能性があります。
供述調書は、後の裁判の証拠となり、簡単には内容の撤回ができませんので、弁護士からしっかりとアドバイスを受けて取り調べに臨むことが必要です。
(3)不当な懲戒処分を争うことができる
履歴書の虚偽記載が明らかになった場合には、会社から懲戒処分を受ける可能性があります。しかし、履歴書の虚偽記載の内容および程度に比べてあまりにも重い処分が科された場合には、懲戒権の濫用として処分の無効を争うことができる可能性があります。
労働者個人では、会社を相手にして懲戒処分の無効を主張していくのが難しいこともありますので、会社との対応は弁護士に任せるのがおすすめです。
弁護士であれば労働者の代理人として、会社と交渉することができますので、法的観点から懲戒処分の違法性を指摘することで懲戒処分を撤回してもらえる可能性があります。
会社との話し合いで解決できない場合であっても、労働審判の申立てや訴訟提起などの法的手段により問題を解決することができます。
履歴書の嘘の記載がバレたときのトラブルは、労働者個人では対応が難しいといえますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年08月18日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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