【少年事件】少年院は前科になる? 入所による不利益や問題点
子どもが少年事件を起こして少年院への入所が決まった際、多くの保護者が心配するのが将来への悪影響です。特に、子どもに前科がついてしまったと思うと、非常に不安を感じるのではないでしょうか。
本コラムでは、少年院の概要や、少年院と前科・前歴との関係、そして少年院への入所や前科がその後の人生に与える影響について解説します。
1. 少年院に入所すると前科になる?
少年院とは、少年法に基づき設立された施設で、主に犯罪や非行行為をした12〜20歳の少年を収容し、社会復帰のための矯正教育を行う場所です。家庭裁判所の審判を通して、事件の軽重や再犯の可能性などを考慮した結果、必要性が認められた場合に送致されます。
少年院の主な目的は、少年に罰を与えるためというより、教育を通じて少年の更生を図ることです。そのため、少年院では、出所後に社会復帰できるように、学校で行うような教育活動や職業訓練、生活指導など、さまざまな支援を提供しています。
(1)少年院への入所は「前歴」がつく
少年院への入所には「前科」はつきません。というのも、前科とは刑事裁判で有罪判決を受けた場合につくものですが、更生を主目的とする少年院への入所は、前科がつくかどうかに関係なく決定されるからです。
そもそも、少年院への入所を決定する立場にある家庭裁判所の処分によって前科がつくことはありません。
少年院に入所した場合は、警察や家庭裁判所の記録に「前歴」として残ります。前歴とは、その人が被疑者として警察の捜査対象になった記録を指します。この前歴は、最終的に不起訴処分や無罪判決になった場合にもつくものなので、有罪判決を受けたことを示す前科とはまったく異なります。
一般人や一般企業が前歴の有無を調べることはできないということもあり、前歴があること自体が将来的に就職などで不利に働くリスクは比較的低いです。
ただし、警察のデータベースには記録が残り続けるので、今後何かの事件に再び関与した場合に、警察や裁判所の心証が悪くなるおそれはあります。また、少年院に入所する事態になったこと自体を学校にとがめられ、退学処分などを受けるリスクも否めません。
2. 少年でも前科となるケース
少年が犯した犯罪が特に重大である場合、少年の身柄が家庭裁判所から検察へと「逆送」され、大人と同じように刑事裁判を受けることがあります。たとえば、殺人や傷害致死、放火などの重罪を犯した場合です。この刑事裁判で有罪判決を受けた場合は、少年であっても前科がつきます。さらに、懲役刑や禁錮刑が科された場合、入所する先は少年院でなく、少年刑務所になります。
(1)前科がつくことによる不利益
前科がつくと、今後の社会生活に悪影響が出る可能性があります。特に公務員や医師、弁護士など、就業者に高い信頼性が求められる職業への就職や国家資格の取得が難しくなるかもしれません。一般企業へ就職を希望する際も、前科があることが知られた場合は、選考過程で良い印象を与えることはないでしょう。
前歴と同様、一般企業は前科の照会はできませんが、履歴書の賞罰欄などで自己申告を求められることがあります。ここで、過去を知られたくないあまり、前科について報告しないでいると、後々職場に知られた場合、懲戒免職処分になるおそれがあります。
また、前科が個人的な人間関係に悪影響を与える場合も多いです。「前科持ち」というレッテルを貼られ、偏見の目で見られることや、これまで親しかった人にも距離を置かれてしまうこともあるかもしれません。さらに、再び事件を起こしたときに再犯として罪が重くなってしまうことや、海外への渡航や居住に制限がかかってしまうこともある点に注意が必要です。
このように、前歴と比べて前科がつくことは、将来にわたって非常に大きな悪影響を与えることになります。
3. 少年院への入所は不利益あり。出所後の問題点も
前科がつかないとはいえ、少年院への入所も決して不利益がないわけではありません。
いくら少年院が支援をしたとしても、現実に社会復帰がスムーズにいくとは限りません。少年院への入所を理由に学校が退学処分を下せば、社会復帰できる場所の選択肢がひとつ消えてしまうことになります。
うわさやSNSなどで少年院に入所していたことが周囲や世間に知られれば、これまでの人間関係が壊れたり、新たな人間関係を構築するのに苦労したりすることも考えられます。その結果、社会に居場所がないと感じて、同じような境遇の少年院時代の仲間に誘われ、犯罪に手を染めてしまうことがあるかもしれません。
このように、前科がつくことや少年院へ入所することは、その後の人生に暗い影を落とすおそれがあります。
こうした事態を避けるためには、事件発生後なるべく速やかに専門家である弁護士などへ相談するとよいでしょう。なるべく処分が軽く済むように警察や家庭裁判所、被害者、学校などと交渉にあたってもらうことが重要です。
- こちらに掲載されている情報は、2024年08月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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