GPSの浮気調査は違法? 相手にバレたら民事・刑事の責任はどうなる?
配偶者やパートナーが浮気や不倫をしている疑いがある場合、GPSを利用して浮気・不倫調査を行おうとする方もいるでしょう。しかし、GPSを利用した浮気・不倫調査は、やり方によっては犯罪に該当し、罪に問われる可能性があります。また、相手にバレたら民事上の損害賠償請求をされるリスクもあります。
このようにGPSを利用することにはさまざまなリスクがありますので、それ以外の方法で証拠を集めた方がよいでしょう。
本コラムでは、GPSの浮気調査は違法か、相手にバレたらどうなるのかなどについて解説します。
1. GPSを使った浮気調査は罪に問われる?
GPSを使った浮気調査は、刑事上の罪に問われることはあるのでしょうか。
(1)ストーカー規制法「無承諾位置情報取得」
ストーカー規制法では、恋愛感情、好意の感情またはその感情が満たされなかったことに対する怨恨(えんこん)の感情を充足させる目的で、以下の2つの行為をすることを禁止しています。
- 相手の承諾を得ないで、GPS機器などにより位置情報を取得する
- 相手の承諾を得ないで、相手の所持する物にGPS機器などを取り付ける
GPSを利用した浮気調査は、目的犯としてのストーカー規制法上の要件を満たさないため、同法では処罰されることはありません。なお、要件を満たす場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
(2)都道府県の迷惑防止条例で処罰される可能性
各都道府県が独自に制定する迷惑防止条例では、以下の行為をつきまとい行為として禁止しているところが多いです。
- 相手の承諾を得ないで、GPS機器などにより位置情報を取得する
- 相手の承諾を得ないで、相手の所持する物にGPS機器などを取り付ける
ストーカー規制法では、恋愛感情などが要件とされていましたが、迷惑防止条例ではその要件がありませんので、ストーカー規制法による処罰対象とはならない行為でも、迷惑防止条例違反となる可能性があります。
なお、迷惑防止条例に違反した場合の罰則は、各都道府県により異なりますが、代表的なものを挙げると、以下のとおりです。
-
東京都
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
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神奈川県
6月以下の懲役または50万円以下の罰金
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埼玉県
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(3)不正指令電磁的記録供用罪で処罰される可能性
相手のスマホに無断でログインし、GPSの位置情報を共有できるアプリを仕込む行為は「不正指令電磁的記録供用罪」(刑法168条の2第2項)で処罰されます。なお、同罪が成立すると3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
2. GPSを使った浮気調査が相手にバレたら訴えられる?
浮気調査のために、相手の物(自動車やバッグなど)にGPS発信機やGPSアプリを仕掛ける行為は、正当な行為(民法720条、刑法35条)として、法律上の責任は原則として問われません。他方で、相手のプライバシーを侵害する行為ですので、相当な範囲を逸脱する行為は民事上の不法行為が成立する可能性があるので、注意が必要です。
不法行為が成立すると、プライバシーを侵害された相手から、慰謝料などの損害賠償請求をされる場合があります。相手が不貞行為をしていた場合には、不貞行為を理由として慰謝料請求をすることができますが、相手からもプライバシー侵害を理由に損害賠償請求をされてしまいますので、もらえる慰謝料が減るまたはなくなる可能性もあります。
3. GPSで違法に取得した証拠は民事裁判で採用してもらえる?
民事裁判では、刑事裁判とは異なり、証拠能力を制限する規定を設けていませんので、違法に収集した証拠であっても、そのことだけで直ちに証拠能力が否定されることはありません。
しかし、いかなる場合でも証拠能力が認められるとすると、違法行為を助長するおそれがあることから、違法性の程度が高く、悪質・やりすぎと判断されると証拠採用してもらえない可能性があります。
GPSを利用して明らかになった浮気や不倫の証拠についても、調査方法によっては証拠として認められない可能性もありますので、GPSを利用した浮気調査はできれば避けたほうがよいでしょう。
4. GPSを使った浮気調査についてお悩みなら弁護士に相談を
GPSを使った浮気調査に関してお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
(1)不貞の証拠をそろえたいなら、他に適法で有効な方法がある
不貞行為の証拠は、GPS調査以外にもさまざまな方法があります。GPSによる浮気調査は、刑事上および民事上でリスクの高い方法ですので、それ以外の方法で不貞行為を立証するほうがよいでしょう。
弁護士であれば、状況に応じてGPS以外でも活用できる有効な証拠をアドバイスしてもらえますので、適法に証拠収集を行うことができます。また、すでにGPSを利用して浮気調査をしてしまった場合には、違法なのか合法なのか、裁判で証拠として使えるかなどについての判断してもらうこともできます。
(2)相手にバレてしまった場合の対処法についても相談できる
GPSによる浮気調査が相手にバレたら、刑事上および民事上の責任追及をされるリスクがあります。しかし、弁護士に相談すれば、具体的な対処法をアドバイスしてもらえますので、そのようなリスクを最小限に抑えることが可能です。
(3)弁護士には守秘義務があるため、相談内容が漏れることはない
弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に相談した内容が外部に漏れることはありません。GPSによる浮気調査が犯罪行為にあたるケースでも、弁護士から警察に通報することもありませんので、安心してご相談にお越しください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年08月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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