- (更新:2021年11月08日)
- 裁判・法的手続
債務者が借金を返してくれない! 裁判のメリットや手続きの流れ
債務者が借金を返済しようとしない場合には、裁判所で民事訴訟を行うことによって、債権を強制的に回収するという手段を検討するべきでしょう。
この記事では、民事訴訟によって債権回収を行うことのメリットや、手続きの流れについて紹介します。
1. 裁判で債権回収を行うことのメリットは?
裁判で返済されない借金を回収するためには、「支払督促」や「民事調停」などの法的手段をとることができます。そのなかでも、特に強力な法的手段が「民事訴訟」です。
債権回収するために民事訴訟を行うことのメリットは、主に以下の通りになります。
(1)紛争に最終的な解決を与えられる
債務者に対しては簡易裁判所を通じて支払督促を行うことができますが、債権者は裁判所からの督促に対して異議申し立てを行うことが可能です。
一方で、民事訴訟で確定した判決は、その基準時(口頭弁論終結時)時点での最終的な結論として、訴訟の当事者に対する拘束力を持ちます。
したがって、当事者は確定判決の内容に対して、基準時以前に生じた事情を理由とした異論や反論を唱えることは認められません。つまり、民事訴訟を行うことで、紛争に最終的な解決を与えられるのです。
(2)相手方の同意がなくても結論を得られる
民事調停を成立させるためには、債務者と債権者、双方の同意が必要となります。
民事訴訟では、裁判所が抱いた自由心証に基づいて、当事者の意思内容にかかわらず判決が言い渡されます。つまり、紛争解決のために相手方からの同意を得る必要がなく、強制的に紛争を解決させることができるのです。
2. 債権回収のための裁判の流れ
民事訴訟を行って返済されない借金を回収する際の大まかな流れは、以下の通りになります。
(1)訴訟提起
まず、訴訟を提起するために、債権者が裁判所に対して訴状を提出します(民事訴訟法第133条第1項)。訴状には、当事者などの基本情報に加えて、民法に基づく貸金返還請求の要件事実を記載します。
訴状の提出先は、原則として以下のいずれかの地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所となります。
- 被告の普通裁判籍の所在地(住所地、居所地、最後の住所地)(同法第4条第1項)
- 義務履行地(同法第5条第1号)
ただし、契約書などで専属的合意管轄裁判所が指定されている場合には、その裁判所に訴状を提出する必要があります。
(2)口頭弁論期日における主張・立証
訴状を受理した裁判所は、第1回口頭弁論期日を指定して当事者双方に通知します。
第1回口頭弁論期日では、原告が訴状の内容を、被告が事前に提出した答弁書の内容を、それぞれに陳述します。その後、貸金返還請求の当否について、当事者双方が証拠を用いて自らの言い分を主張します。
なお、債務者(被告)が口頭弁論期日を2回続けて欠席した場合には、原告の請求がそのまま認められることになります(擬制自白。民事訴訟法第159条第3項、第1項)。
(3)判決
判決は、貸金返還請求の当否について、裁判所が十分な心証を抱いた段階で言い渡されます。
第一審の判決には控訴、控訴審の判決には上告という異議申し立てが認められています。これらの異議申し立てが判決書の送達から2週間以内に行われなければ、判決はそのまま確定します。
もし控訴や上告がなされた場合には、上級審で引き続き審理が行われた後に判決が確定します。
(4)強制執行
債権者が勝訴判決を得た場合、確定判決の正本を用いて、強制執行の手続きを実施することができます(民事執行法第22条第1号)。
強制執行が行われると、債務者が所有する財産(預貯金・家財・車・不動産など)が差し押さえられ、換価処分の後に債権の弁済に充当されることになるのです。
3. 債権回収のための裁判を弁護士に依頼すべき理由
民事訴訟を通じて返済されない借金の回収を行う際には、以下の理由から、弁護士に依頼することをおすすめいたします。
(1)準備・手続き遂行の手間を削減できる
民事訴訟を提起する場合には、書面の作成や期日への出席などに多大な労力が必要となります。
弁護士を代理人とすれば、これらの対応の大部分を弁護士に任せることができるので、債権者がとるべき手間はかなり削減されるでしょう。
(2)法律に沿った適切な主張・立証を展開できる
民事訴訟では、貸金返還請求の要件事実について、証拠を用いながら立証しなければいけません。訴状や準備書面も、法律に基づく要件事実に沿って作成する必要があります。また、適切な証拠を収集することも必要になります。
弁護士に依頼をすれば、法律上の要件事実を正確にふまえて、必要な情報を収集したうえで、適切に主張をしてもらうことができるでしょう。
(3)強制執行までサポートを受けられる
判決が確定したにもかかわらず、債務者が任意に借金を返さないケースは多々あります。
そのようなときには、強制執行の手続きが必要になります。そして、弁護士に依頼すれば、判決確定後の強制執行についても手続きを代行してもらうことができるのです。
- こちらに掲載されている情報は、2021年11月08日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
裁判・法的手続に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2023年03月10日
- 裁判・法的手続
-
- 2022年03月25日
- 裁判・法的手続
-
- 2022年03月11日
- 裁判・法的手続
裁判・法的手続に強い弁護士
-
電話番号を表示する 0120-047-006現在営業中 9:30〜21:00
-
電話番号を表示する 0120-047-006現在営業中 9:30〜21:00
-
電話番号を表示する 090-2906-1402現在営業中 10:00〜21:00
-
電話番号を表示する 0120-047-006現在営業中 9:30〜21:00
-
電話番号を表示する 050-1808-1106