民事裁判の流れとは?訴訟開始から判決までの流れを解説

民事裁判の流れとは?訴訟開始から判決までの流れを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

民事訴訟とは法律上の権利を実現するための公的な手段であり、個人や法人同士の間の紛争を解決するために役立つものです。

この記事では、民事訴訟はどのような場合に提起するべきか、訴訟を提起してから判決が確定するまでの間にはどのような流れをたどるかについて、解説いたします。

1. 民事訴訟を提起すべき場合とは?よくある請求の内容

民事訴訟とは個人や法人同士の間の紛争を解決するための裁判であり、幅広い問題に対して活用することができます。
基本的に、民事訴訟では、原告から被告に対してなんらかの「請求」が行われます。

そのなかでも代表的な事例は、下記の通りになります。

(1)不法行為に基づく損害賠償請求

民事訴訟のなかでも、もっともポピュラーな請求が「不法行為に基づく損害賠償請求」になります(民法第709条)。

たとえば、交通事故・医療過誤・失火などの事故によって身体に損害を受けた被害者が、医療費や精神的苦痛に対する賠償(慰謝料)を加害者に請求することが一般的です。
また、近隣トラブルで財産に対する損害や精神的損害を受けた人が相手方を訴えて、賠償を請求するという場合もあります。

(2)貸金返還請求

貸したお金を返さない債務者に対して、お金を返還することを求めて債権者が民事訴訟を提起することを「貸金返還請求」と呼びます。

なお、貸金返還請求では、債務者が訴訟期日に欠席することが多々あります。
その場合は、債権者の言い分がそのまま認められて、判決や強制執行の手続きが淡々とすすめられることになるのです。

(3)土地・建物の明渡請求

土地や建物を第三者が不法占有している場合や、賃貸借契約が終了したにもかかわらず賃借人が土地や建物に居座っている場合に、所有者が占有者に対して土地・建物明渡請求訴訟を提起することがあります。

所有者側の明渡請求が認められると、裁判所に対する申し立てにより、執行官立ち会いの下で強制的に明渡しをすることができるのです。

(4)労働関係訴訟(残業代請求、解雇無効確認など)

会社と従業員の間で労務トラブルが発生した場合には、民事訴訟に発展する可能性があります。

労務トラブルの典型例は、残業代請求と不当解雇です。

これらの労務トラブルは、訴訟の前段階の手続きである交渉や労働審判で解決することも多いですが、トラブルが深刻化した場合には訴訟で争われることになるのです。

2. 民事訴訟の提起~判決確定までの流れ

民事訴訟の提起から判決が確定するまでの流れは、下記の通りになっています、

(1)裁判所に訴状を提出

民事訴訟は、原告が裁判所に対して「訴状」を提出することから始まります(民事訴訟法第133条第1項)。
訴状には、当事者に関する基本的な情報に加えて、裁判所に求める判決の内容や、請求の根拠となる要件事実などを記載する必要があります。

訴状の提出先は、その事件について管轄権を有する裁判所です。
また、管轄権の所在は、請求の種類や内容などによって定められます(同法第4条~第13条)。

提出された訴状は、被告に送達されます(同法第138条第1項)。
そして、被告は、訴状に対する反論として「答弁書」を裁判所に提出することになるのです。

(2)口頭弁論期日における主張・立証

訴訟が提起された後、裁判所が指定する「口頭弁論期日」において、原告は請求を基礎づける要件事実を証拠に基づいて立証しようとします。

これに対して被告は、要件事実が認められない旨の反論や、認められれば請求を阻止できる要件事実を立証しようとすることになるのです。

原告と被告が用いることのできる証拠は物的な証拠に限られず、要件事実に関係する証人を尋問して得られる証言も証拠となるのです。

(3)和解が成立する場合もある

民事訴訟は、必ずしも判決によって終了するわけではありません。裁判中に「和解」が成立して終了する場合もあるのです。

裁判上の和解とは、原告と被告の双方が一定の妥協を行って、両者の主張の中間点となる解決案に合意することを指します。
民事訴訟の各段階では、裁判所が当事者に対して和解の提案を行い(民事訴訟法第89条)、両当事者が和解案に合意することで、裁判上の和解が成立して民事訴訟が終了するのです。

裁判上の和解には確定判決と同一の効力が認められており(同法第267条)、和解調書は確定判決と同様に強制執行の手続きに用いることができるのです(民事執行法第22条第7号)。

(4)判決の言渡し・確定

裁判では「原告による請求が正当なものかそうでないかを判断するのに充分な証拠が出そろった」と裁判官が判断した時点で、判決が宣告されます(民事訴訟法第250条)。

しかし、判決に不服がある当事者は、異議を申し立てることができます。
具体的には、判決書の送達を受けてから2週間以内であれば、「控訴」を提起することができるのです(同法第281条第1項、第285条)。
さらに、控訴後に出た判決に対しても、同じく判決書の送達から2週間以内であれば「上告」が認められているのです。ただし、控訴の場合よりも、受理の要件は厳格になります(同法第311条第1項)。

控訴期間や上告期間に異議申し立てが行われなかった場合、または上告審での判断が行われた場合には、判決が確定することになります。
原告の請求が認められた場合には、確定判決の正本を用いて、強制執行の手続きをとることが可能です(民事執行法第22条第1号)。

民事訴訟の手続きは、全体的に専門性が高く、必要な工程も非常に多いため、一般的に個人で行うことは困難です。そのために、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年06月30日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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