裁判に出席することになった! 服装の指定はある?
裁判に出席する際、どのような服装が適切なのか気になる方は多いと思いますが、必ずしもスーツでなければいけないとは限りません。
本コラムでは、裁判における適切な服装について、異なるケースごとに解説します。また、持ち物の制限や撮影・録音・録画の可否、遅刻時の対応方法など、法廷での然(しか)るべきマナーは事前に確認しておきましょう。
1. 裁判所に出向くときの服装に指定はある?
裁判に出席する際の服装に、厳密な規定はなく、基本的に自分の好きな服装で構いません。ただし、短パンにサンダルなどのラフな服装や、派手な色、肌の露出が多い、汚れが目立つ服装では、裁判のいかめしさを乱すことになってしまいます。それゆえ、なるべく落ち着いた服装で出席するのが望ましいです。
裁判所では法廷警察権や庁舎管理規則を理由に、メッセージ性の強いものや政治的主張が含まれている服装を規制することがあります。
たとえば、被告が「無罪」とプリントされたTシャツを着用したり、同性婚が認められないことを違憲とする訴訟において、原告団や傍聴人等が連帯を示す意味で、レインボー柄の服やアクセサリーなどを着用したりした場合、裁判所から警告される可能性があります。
法廷の秩序維持のために強い権限を持つ裁判長によって、最悪の場合は法廷からの退出を命じられることがあります。服装の線引きは曖昧ですが、退出命令が下されないように、主張が強い服装を控えることを推奨します。
加えて、ハチマキ・腕章・タスキ・ゼッケンなどの着用は禁止されています。帽子の着用も認められていないため、必ず脱ぎましょう。
2. スーツが望ましい場合も
基本的には、自分の好きな服装で構わないと前述しましたが、裁判に出席する理由によって、スーツなどの礼儀正しい服装が望ましい場合もあります。
(1)被告人として出向く場合
刑事事件で告訴され、被告人として裁判に出席する際、裁判官に対して反省の意を示すことが重要です。スーツを着用することで、罪に向き合っている姿勢を表現します。
裁判官は、これまで多くの被告人と接しており、服装だけで好印象を持たれるわけではありませんが、だらしない服装によって、心証を損なうことは避けるべきです。特に裁判員裁判では、一般市民が参加することがあるため、より一層礼儀正しい服装が求められます。
また、保釈されずに勾留が続いている場合、留置場や拘置所内で着ている上下のジャージやスウェット、サンダルなどのラフな服装で裁判に出席することがありますが、弁護士にスーツの差し入れを依頼できます。スーツが用意できない場合でも、ジャケットや襟付きのシャツなど、落ち着いた服装を準備しましょう。
(2)情状証人として出向く場合
情状証人とは、被告人の刑罰を軽くする情状酌量のために、再犯防止と社会復帰をねらい、管理監督することを証言する人を指します。
裁判官に情状を酌量してもらうには、被告人と同様にスーツを着用するなど、フォーマルな格好が望ましいです。女性はオフィスカジュアルでも構いませんが、きらびやかなアクセサリーなどは控えましょう。
また、情状証人は裁判当日、証人出頭カードと宣誓書に押印する必要があるので、印鑑(認印で問題ありません)を持参します。もし忘れた場合は、指での押印となります。
3. そのほか裁判出席時のマナー
裁判の円滑な進行を妨げないために、法廷内にはさまざまなルールが存在します。
(1)スマホなど持ち物の注意点
法廷内では、包丁や銃などの凶器や爆発物などの危険物の持ち込みが禁止されています。また、旗やのぼり、拡声器、横断幕、プラカードなども認められていません。カメラやICレコーダーの持ち込みも、原則として禁止されていますが、一部の裁判所では、使用せずにバッグにしまえば問題ないようです。
撮影・録音機能が搭載されているスマートフォンに関しては、裁判中は電源を切るかマナーモードに切り替え、撮影・録音機能を使用しないことを前提に、持ち込みが認められています。
(2)撮影・録音・録画はできる?
民事訴訟においては民事訴訟規則第77条、刑事訴訟においては刑事訴訟規則第215条により、裁判所の許可がない限り、撮影・録音・録画はできません。理由としては、「裁判に悪影響を与えないため」と「訴訟関係者のプライバシーを守るため」です。
ただし、裁判の内容をメモすることや、法廷内の様子をスケッチすることは、進行を妨げない限り認められています。
(3)遅刻しそうなときはどうする?
裁判に遅刻すると、裁判の進行に多大な影響を与えるほか、裁判官の心証を損なうおそれがあります。民事の本人訴訟の場合、被告人の欠席により欠席裁判として結審されかねません。
このような状況は、当事者にとって不利益な結果を招くため、裁判に遅刻しそうな場合には、速やかに弁護士や裁判所に連絡し、適切な判断を仰ぐことが重要です。
裁判に出席する際の服装は基本的に自由ですが、被告人あるいは情状証人の立場である場合、態度や外見によっては裁判官の心証を損なうリスクがあるため、反省の意を示すスーツが望ましいです。裁判所での服装に加え、マナーや持ち物については、事前に弁護士にしっかり相談・確認しておきましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年08月31日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
裁判・法的手続に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年07月25日
- 裁判・法的手続
-
- 2024年07月13日
- 裁判・法的手続
裁判・法的手続に強い弁護士
-
電話番号を表示する 0120-047-006
-
電話番号を表示する 0120-047-006
-
電話番号を表示する 050-1808-1106
-
電話番号を表示する 0120-047-006
-
電話番号を表示する 011-600-2701