労働条件の不利益変更とは? 実施する場合の注意点と進め方
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労働条件の不利益変更とは? 実施する場合の注意点と進め方

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

新型コロナウイルスの感染拡大によって、業績が大幅に落ち込み、従業員の雇用を守るため、労働条件を変更できないかと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

労働条件の不利益変更は、労働者からの反発も予想されるため、経営者や総務担当者たちはどのように話を進めればよいのか頭を悩ますものです。

今回は、労働条件の不利益変更をする場合の注意点についてまとめました。

1. 労働条件の「不利益変更」とは?

労働基準法第15条では、「労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなければならない」と規定しています。

また、労働契約法第8条では、「労働者および使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定しています。

労働条件も契約の内容である以上、その内容を変更するには原則として労働者との合意が必要ということです。

労働条件の不利益変更の具体例としては、「月給を30万円から27万円に引き下げる」「労働時間を9時〜17時だったのを9時〜18時とする」などがあります。

2. 不利益変更の基本的な手続きの進め方

(1)同意を得る方法

労働条件をどのように変更するのかを決めたら、労働者に経営の状況や変更する必要性について説明し、従業員から個別の同意を得ることがもっとも丁寧なやり方です。

給料を減額するにしても、労働時間を延長するにしても、その理由を労働者にしっかり説明して理解を得ることが重要です。たとえば、会社の置かれた厳しい状況を説明しつつ、同業同規模の他の会社の給与水準や労働時間などと比較して遜色がないといった客観的な事実を明示して理解を得られるよう試みるなども一つの方法です。

労働条件の不利益変更で問題になることが多いのは、会社側が開き直って、「同意書にサインしなければ、会社はつぶれる」などと同意を強要することです。

また、「同意書にサインをしなければ、リストラ対象になる」などと言うことも許されません。後で裁判になった場合、「会社に同意書を強要された」と主張されてしまいます。

自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かが、同意の有無の認定に大きな影響を及ぼします。そのため、同意を強要されたという事情があれば、同意の存在が認められない可能性が生じるのです。

あくまで労働者とは対等であることを忘れてはなりません。「持ち帰って検討させてほしい」と労働者に言われた場合には、それを認めて自由な意思で同意してもらうことが大事です。

なお、労働者全員から同意が得られた上で、就業規則に記載された内容を変更する必要のある場合には、就業規則の変更の手続きを行います。常時10人以上の労働者を使用する場合は、労働基準監督署に変更届の提出も忘れずに行いましょう。

また、会社に労働組合がある場合には、労働組合と話し合いを行い、合意を得るという方法があります。だだし、労働組合に加入していない人もいるので、それらの人には個別で同意を得る必要があります。

個別労働者との同意や労働組合との合意は、口頭ではなく書面にしておくべきです(労働組合との合意につき、労働組合法第14条参照。)。

(2)同意を得ず、就業規則を変更する方法

労働者または労働組合に説明して合意を得られればよいですが、合意が得られない場合には、労働契約法第10条に基づき、就業規則を変更することで労働条件の不利益変更を行うことができます。法律上要求される要件は次の2点です。

  • 変更後の就業規則を労働者に周知させること
  • 労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること

合理性があるかどうかは、変更の内容によって異なるため、類似する事件の裁判例に照らして検討する必要があります。福利厚生の廃止などは緩やかに判断されますが、賃金の減額は厳しく判断されます。

3. まとめ

今回は労働条件の不利益変更を行う場合の手続きや注意点について解説しました。労働条件というのは、使用者と労働者との契約の内容なので、一方的に不利益変更することは原則として許されません。

同意を得て不利益変更する場合はもちろん、同意を得ないで不利益変更する場合にも、労働者らにしっかりと説明を行い、理解を得ることが大事です。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年11月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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